2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

心のケア

2017年3月30日 (木)

那須雪崩と心のケア(2)心のサポートチームの結成を!

NHKニュースによると、高校で全校集会が開かれ
また、スクールカウンセラーの男性が
▽事故のことを考えすぎないようにすることや
▽ストレスや不安を感じたらすぐに担任の教員に相談することなどを
呼びかけたということです。
(NHK2017・2・29 12:03)
 
と報道されています。記者さんが直接集会に立ち会ったのではなく、参加した生徒さんらからの取材での記事ですから、このメッセージが実際どうであったかはわかりません。
もし、私がこの立場であったら、なんとメッセージを送るか考えてみました。
 
□ねむれない、ずっと考えてしまう、心が(マヒして)何も感じられない、など心とからだにさまざまな変化があらわれます。それは、この出来事を心とからだが懸命に受けとめようとしている証であり、だれにでも起こる反応です。
 
□この出来事に向き合うときと、日常の生活(勉強・部活など)を送ることを、きりわけていきます。
 
向き合うこととして、
・突然、亡くなった友に、今まで出会って感じてきたこと思ったことのメッセージを手向けるのもいいでしょう。(ことばにするには、時が必要な人もいるかもしれません)。
 
わが子を亡くしたお父様が、お子さんの携帯のLINEにたくさんの書き込みがされているのをみて、「あーこんなにたくさんの友だちがいたんだ・・・」と涙ぐんでおられたのが放映されていました。ご家族が知らなかった子どもさんのこと、たくさん伝えてあげてください。
 
日常生活をしっかり送るために、
・水分をとる、糖分をとる、食欲がなくても、からだに栄養を送ってあげてください。ねむれなくても、よこになってからだを休めてあげてください。少しずつ、日常生活を取り戻していきます。
 
ストレス障害のリスク要因は、強い回避と自責感です。
「考えないようにしよう」と努力しても、考えてしまう出来事なのです。もし、夜眠ろうとしたとき、いろんなことが頭に浮かんで考えてしまうことがあれば、「『考えないようにしよう』ではなく、『そのことはとても大切なこと、しっかり考えよう。でも、今は、からだを休めて眠りにつこう』、額に力をいれてふわーっとぬこう」と。
 
また、ある報道では、4時間後に救出された生徒さんもおられたようです。まずは体の治療でしょうが、これは過酷なトラウマ体験です。マヒして思い出せないかもしれません。そして、悪夢やなにかのきっかけ(トリガー)で、その体験がありありと思いだされて苦しくなることがあります。でも、そのときは、やっと、あの記憶を受けとめる心の準備ができてきたんだ、それは回復の道のりなのだ、と思うのもいいでしょう。経験したことを思いだして、いずれ、書き綴ることは、雪崩に巻き込まれたときどうすればいいかを学ぶ大切な手がかりになるでしょう。しかし、それは、とても苦しく長い道のりかもしれません。立ち会う人の応援が必要になります。
 
大切なお子さまを亡くされたご家族、そして、友だち・教職員、全ての方に、強い悲嘆反応とトラウマ反応がみられるでしょう。
 
 
県教委は、原因究明と再発防止のための第三者検証委員会を設置すると報道されています。
 
県教育委員会は29日、原因究明と再発防止のための第三者検証委員会を設置することを明らかにした。学識経験者ら約15人で構成し、4月上旬にも第1回会合を開く。(日本経済新聞、2017年3月30日0:30)
 
ラッセル訓練を指揮した教師の会見が報道されています。
 
登山を中止しながら、雪をかき分けて進む「ラッセル」訓練を実施した責任を問われると「委員長は私」としつつ、ベテラン教諭2人と電話で相談して決めたことを強調。数年前にも同じ場所でラッセル訓練をしたことがあったといい「とにかく生徒たちに雪に触れさせたかった」と話した。(産経ニュース、2017年3月30日 0:13発)
 
 当事者が、時系列で、行動・考えをあきらかにすること、その作業はつらく苦しいでしょう。二度とこのような悲しいことが起きないようにするための大切な情報になります。ですから、第三者検証委員会の設置は必要でしょう。
 
 そして、もう一つ必要なことがあります。それは、<心のサポートチーム(心のケアチーム)>の設置です。教育関係者(臨床心理士資格などをもった指導主事)、スクールカウンセラー、精神科医などでチームを作る必要があります。学校で生徒や保護者にどのようなメッセージを送り、どのように心のケアをしていくのか、チームをつくり、今考えられるベストのサポートプログラムを作り、支援していきます。
 
スクールカウンセラー派遣がニュースで流れています。
 
4校にスクールカウンセラー派遣(毎日新聞
スクールカウンセラーが応援・支援するにしても、必ず、チームを結成しておく必要があります。それも、長期的に支援するチームです。

2017年3月28日 (火)

那須雪崩と心のケア

7名の高校生と1名の教員が亡くなり、40名がけがをしていると報道されています。今後、当事者・関係者のストレス関連障害が危惧されます。

この時期には、心のケアの専門家による個別のカウンセリングではなく、家族や身近な人によるサポートこそ必要です。しかし、治療を受けている医療機関では、体の医療支援とともに、心のケア支援も必要でしょう。この時期に大切なことは、長期支援を視野にいれた心のケアの支援体制を整えることです。

 しばらくは睡眠・食欲・体調といった日常の健康観察をベースにサポートしてほしいです。そしてトラウマ・ストレスについて学ぶ機会を3週間(この時期の特定は現場での支援を続けている専門家とも協議して)後には設けてほしいです。ストレス障害のリスク要因は強い回避と自責感です。時が経つにつれ、そのことにはふれたくない、思いだしたくないといった反応が強くなることがあります。それが回避ですが、この回避は当事者だけでなく、関係者にも起こります。ですから、このことに関連すること全てを避けたくなり、心のケアの企画もやりたくないといった動きが起こることがあります。

しかし、思いだしてつらくなった(再体験)ときどうしたらいいか、怖い夢をみた(再体験)ときどうしたらいいか、それらを学んでおくことが必要です。再体験とマヒが対の反応で、再体験が起こるきっかけ(トリガー)にふれないように避けるのが回避です。回避は反応であるとともに対処です。急性期の回避は必要ですが、少しずつ向き合う対処をとりいれていく方が、ストレス障害のリスクを減じます。そして、亡くなった人を心のなかに生かしていく喪の作業をすすめていくことが必要です。

今必要なことは、教育関係者・臨床心理士・医師らで、長期サポートチームを作ることです。そのチームが長期的な支援計画を立て、サポートしていきます。また、地元の医療機関に、トラウマフォーカスト認知行動療法などが実践できるストレス関連障害の治療の専門家を配置することも必要です。

一方で、安全教育の一環として行われていた中で起きた事故(ご遺族は事故ではなく事件といわれるかもしれません)です。雪崩といった自然現象をどのように学んでいたのか、教師の提案に生徒が意見をいえる体制ができていたのか、この悲しい出来事を二度と繰り返さない体制づくりを構築する必要があります。

2017年2月16日 (木)

自殺予防のために必要なのは、道徳教育ではなく、健康教育です。

の記事を読んで、「誕生学」なるプログラムの危うさが、少し理解できた。
 
松本先生のこの記事のなかでの「自殺予防のために必要なのは、道徳教育ではなく、健康教育です。」という一文に、日本の現状を憂う。
 
というのは、健康教育の時間が学校教育ではほとんど確保されていないからです。「保健体育」の保健に、健康教育が位置づけられていますが、「心の健康」に関して言えば、小学校5・6年の保健体育の教科書に3時間分がおさめられているのみです。
 
道徳が特別の教科になって、体験的な学習や問題解決型学習を取り入れるようになったものの、やはり「道徳教育」という枠のなかでのこと。
 
今度の学習指導要領の改訂には、「健康教育」の拡大はみえてこない。
 
道徳の時間、35コマのうち、15コマを心の健康教育の時間にするといった改革を次の学習指導要領の改訂で実現してほしい。
そのためには、松本先生のような有識者を教育改革の会議のメンバーにして、大改革をおこなわなければ、いじめ・自殺を抑止することはできないのではないか。
中国では、2003年に、道徳とは別に、心理健康教育が科目として打ち立てられている。
中国にできて日本にできないことはない。

2017年2月 5日 (日)

災害・紛争後の子どもの心のケア(13)台風10号から5ヶ月スクールカウンセラーと教師の協働

岩手めんこいテレビが、東日本大震災、台風10号の被災小学校での教師とスクールカウンセラーの連携について取材したものがFNNニュースに掲載されています。
http://www.fnn-news.com/localtime/iwate/detail.html?id=FNNL00046318
掲載の期間は限定でしょうから、はやめにアクセスして、ご覧ください。
やはり地元のメディアは、息長く取材を続けていますね。

2017年1月29日 (日)

熊本地震と心のケア(44)21の団体による親子教室

2017年1月28日(土)の午前中に、益城町の小学校にて、「親子あったか体験教室」が開催されました。全国から22のボランティアが、小学校にかけつけました。「段ボールジオラマ防災教室」「フラワーアレンジメント教室」「食品サンプル製作体験教室」・・・・「ミュージカル俳優さんと楽しくダンス」「おもしろ理科実験講座」「世界が拡がる国際理解講座」などなど。
私は「試合で実力を発揮するためのイメージトレーニング講座」を担当しました。いっぱい楽しい企画があるので、メンタルトレーニングには参加希望者はいないかな、と思いましたが、親子、姉妹での参加がありました。
 
ワークシートを活用して、大リーガーで活躍した選手の呼吸法、オリンピック選手のストレス対処を紹介、そしてイメージトレーニング。親子や姉妹での参加だったので、最後は、絆のワーク。
ブログに掲載していいよという感想を掲載します。
 

【子どもの感想】

・息をゆっくりはいてすうという感じでやると心と体が温まりました。前にも、授業でやって、授業の復習をしたので、ふり返りみたいで楽しかったです。

・きょうはありがとうございます。

・来年の大会に生かしたいと思います。

・ねむりにつくやつがおもしろくて家でもやってみようとおもう。

・試合前とかはすごくきんちょうしていたけど、次の試合でリラックスして試合ができると思いました。

・これから様々な試験やコンクールや発表でもやってみようと思いました。

・きもちよかったです。

・試合とかに使っていきたいです。かたに手をあてたりするのが気持ちよかったです。今日はありがとうございました。

・大切な日の前は考えすぎて眠れなかったりしたので今日教えてもらったイメージトレーニングを寝る前と起きる前にやってみたいと思います。

 

【おとなの感想】

・イメージする大切さを知りました。ついつい悪くことを考えがちですが、常に良いイメージを喪ち、緊張しやすい性格なので、呼吸法でリラックスし、何事も思い通り、うまくいくようになれらたいいなーと思います。ありがとうございました。

・リラックスの方法が役に立った。子供の視線と親の視線でわかりやすかったと思います。

・約20年ぶりに仕事を始めて家事をうまくこなせていないのが先生に教えていただいたイメトレで、できるような気がしてきました。がんばってみます!また、小6・高1の子どもについつい「~しなさい」と言い続けてしまっているので、言い方を変えようと思いました。そして、マッサージをしてあげようと思います。ありがとうございました。

 

「imagetrainingws.pdf」をダウンロード 使ったワークシートです。

益城町の倒壊した家屋のあと、ほとんどが更地になっていましたが、まだ倒壊したままの家屋も少しありました。

これから報道が増えていくでしょう。アニバーサリー反応の意味と対処について、多くの人が知ることが大切だと、被災地の学校を訪問して思いました。

 

2016年10月30日 (日)

災害・紛争後の子どもの心のケア(12)地震後の3段階心理支援モデル-急性期は日常ストレスと余震への対処

1995年阪神淡路大震災、2004年中越地震、2004年インド洋大津波、2008年四川大地震、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、そして鳥取中部地震。この20年で、災害後の急性期での支援のあり方がデブリーフィングからPFAに、被災体験の表現から、安全・安心の育成に変わっていきました。アメリカPTSDセンター版PFAには、2安全安心 7対処に役立つ情報があります。2の安全安心の章に、トラウマを思いだすきっかけになるものから身を守る という節があり、そのことが ”地震”という言葉を使わない方がいい、”避難訓練は心が安定するまでは控える”といった見解につながっていったのだと思います。一方で、7対処に役立つ情報では、「苦しみを軽減し適応的な機能を高めるためにストレス反応と対処を知ってもらう」という節があります。しかし、PFAには、避難訓練をどうしたらいいか、具体的なことが記載されていません。
東日本大震災、熊本地震での活動を通して、災害後の急性には、日常ストレス(眠り、イライラ、体調)への対処と、余震への対処をクラス単位で行う心のサポート授業1を基軸にするべきだと考えるに至りました。そして、まさに余震が落ちついたこと、トラウマティックストレス(思いだしてつらい、安全な刺激を避ける、自責)にどう対処したらいいかを学ぶ心のサポート授業2を、そして、1年後、2年後と、体験を整理する表現活動を中心に行う心のサポート授業3をという3段階心理支援モデルを提案するにいたりました。
鳥取中部地震では、熊本地震のように、震度6以上が頻発するということがなければ、心のサポート授業2はかなり早い時期、1ヶ月後くらいが適切かもしれません。
そして、このことは、虐待を受けてきた、犯罪被害やひどいいじめを受けてきた子どもたちへの支援につながる大切な活動ということを実施者は心して取り組んでほしいと思います。
ストレスチェックリストは、大人がハイリスクの児童生徒を発見するためのものではなく、子ども自身が自分のストレスを知りどう対処したらいいか学ぶための自分教材なのです。
そのためにも、ストレスアンケート(特にトラウマ項目を含んだもの)を10分間でやってしまう、ということがないようにしてほしいものです。

2016年10月22日 (土)

災害・紛争後の子どもの心のケア(11)災害後の心のケアの資料 雑誌「学校教育相談」

昨日も鳥取で震度6弱の地震がありました。ちょうど、修士論文中間発表会中、みんなの携帯が一斉になりだし、数秒後に、揺れを経験しました。揺れは小さく震度3くらいでした。
ちょうど 鳥取で教育実習中のゼミ生がいて、すぐにメールでやりとりしました。
ほんの森出版の「月刊学校教育相談」雑誌に、災害後の心のケアの資料が掲載されています。だれでもダウンロードできるようになっています。私も、3段階心のサポートモデルを執筆しています。眠りのためのリラックスなどの資料もダウンロードできます。
小林正幸先生の論文資料もダウンロードできますよ。
 

2016年9月 8日 (木)

災害・紛争後の子どもの心のケア(10)台風10号の傷跡

  2016年8月31日に山田町で公開心のサポート授業と教師研修が予定されていたため、30日の夜は宮古の旅館を予約していました。しかし、台風の進路情報から、30日の午後は新幹線が止まるのではと予想されたため、朝一番で自宅をでて、東海道新幹線・東北新幹線を乗り継いで、12時まえには盛岡につきました。新幹線は4分の遅れのみでした。
 
  そして、31日7時にレンタカーで山田に向かいました。すでに、106号が不通になっていたため、どうやって沿岸部に車で行くかについて、情報をとるのがとてもむつかしかったです。レンタカー店も、情報をもってないんですね。レンタカー店が仙人峠が通れるかどうかの情報をもってないんです。ツイッターで、どうやら大船渡まわりの107号線は大丈夫らしいとのことで、遠野に向けて走りました。仙人峠が通れればいいがと思いながら、NHKラジオの8時前の交通情報でも、仙人峠の情報は流れませんでした。仙人峠が近づくと、電子看板に、「全面通行止め・旧仙人峠」と点灯していました。あれ、ひょっとして、仙人峠はとおれるのか?と思いながら、走っていると、仙人峠は通行可でした。仙人峠を走っていた9時前のNHK道路交通情報では、仙人峠が通行可ということを流していました。
 釜石市内が渋滞がありましたが、山田には10時すぎに到着し、授業と研修を終えました。宮古の旅館は床上浸水で、泊まれず、大船渡のホテルをとって泊まりました。
 
 9月1日宮古市内にはいりびっくりしました。宮古小学校地域が床上浸水していたらしく、家具や畳を外にだしている家がたくさんありました。これは、津波を思いだしたり、やっと再建してきたのに、この水害でつらいだろうなと思いました。
 
 岩泉の小本小中は津波で校舎がこわれ、この3月に新校舎でスタートしましたが、小本川の近くで子どもたちの家は大丈夫だろうかと心配しています。度々宿泊してきた龍泉洞のホテルや旅館、岩泉の町が心配です。
 
 ただ、子どもたちのサポートは、津波経験を生かして、教師とスクールカウンセラーがスクラムを組んではじめています。

2016年8月19日 (金)

大泣きする子への母のかかわり

大泣きをする男の子への母親のかかわりがずごい とニュースになっています。
それはtwitterに投稿されたそうです。

「男の子が怪獣みたいに大泣きしてたんだけど、その男の子の母親が「いーよー!すごぉーく大きな声出ててるよー!えらいねー!おーヨチヨチ!赤ちゃんは泣くのが仕事だもんね!!」ってむちゃくちゃ煽ったら顔真っ赤にして「あがぢゃんじゃない!」って泣き止んで笑った。2016年7月28日 16:12         ドスを振り回すコメオ」

この母のかかわりは、怒りや悲しみを抱える子ども(ひと)への適切なかかわりです。

この子育てがみなできると、思春期青年期でのさまざまな苦しみを抱える子ども(不登校、非行・・・)がどれだけ少なくなることでしょう。

 

2016年8月17日 (水)

Disaster prevention education and psychological support for children after disaster.

Disaster prevention education and psychological support for children after disaster.

 Yoshiki TominagaHyogo University of Teacher Education, Professor, Clinical psychologist, Ph.D.

 

Within time to the tsunami arrival from the earthquake occurrence, the people who were able to evacuate to the higher places were saved, but the people who could not do so died. Therefore, the Great East Japan Earthquake was the disaster which made the importance of the disaster prevention education relevant in ordinary days. On the other hand, a disaster causes trauma reactions, such as hyperarousal, re-experience, avoidance, and numbness. Some people suffer from PTSD which obstructs everyday life.

Therefore, in Japan, the center of “KokoronoCare” has been founded in the stricken area. Japanese word “Kokoro” means mind and heart. The staff in that center consists of psychiatrists, clinical psychologists, and psychiatric social workers. To children, the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT) has urgently dispatched the school counselors. It is a system in which teachers and a school counselor support children together.

However, there is an important issue which is not discussed theoretically or methodically in disaster prevention education and psychological support. The point is that disaster prevention education reminds people of their traumatic memory. The guideline of “Psychological support for children after disaster” published by MEXT, "Doesn’t provide reminders of traumatic memory as prevention of PTSD (6p)" (MEXT, 2010). However, in order to protect a person’s life, the disaster prevention education is needed. The disaster prevention manual (MEXT, 2012) published by MEXT has the paragraph of the psychological support. Teacher’s actions are written in each period, from the disaster to the school reopening and one week from the school starting. However, there is no mention of "implementation of the evacuation drill" in this chapter. Of course, there is the chapter of an evacuation drill in this manual. However, there is no description when you should conduct the evacuation drill in consideration of the psychological support after disaster in the stricken areas.

I would like to introduce the combination of disaster prevention education and psychological support.

 

Disaster prevention education for the acute period in the stricken areas.

 

In those days when many schools in the stricken area were reopened, the title of "Does the disaster prevention education give a damage to children’s heart? There is a story of tsunami in the textbook." was reported in the newspaper. (Yomiuri Shimbun, April 25, 2011). It is a story of the man who saved village people from tsunami caused by the Ansei Nankai earthquake which occurred in 1854, in the textbook of the language for five grade elementary school. The title is "Protecting the home country 100 years later." The teachers in the stricken areas worry about how they should use these teaching materials.

The child psychiatrist commented "While aftershock also continues, learning about an earthquake or tsunami may cause PTSD. In the stricken areas, you should not conduct the disaster prevention education without enough consideration for the time being. "  (Emeritus Professor Kansai University of International Studies, Masayuki Shimizu).

 

The writer of the teaching materials commented that ”I understand well that teachers are hesitating to make children read these teaching materials. I want you to judge and decide about delaying the period to have a lesson. However, also in order for a child to be able to protect own life from a disaster, disaster prevention education does not occur nationally. I want you to utilize it all means except the stricken areas.” (Professor of Kansai University, Yoshiaki Kawada).

On the other hand, there was an elementary school in which almost children did not show strong traumatic reactions in spite of having conducted the evacuation drill at this period (Saijo, 2013; Tominaga, 2012). The Ofunato Horei elementary school conducted the evacuation drill of tsunami on April 25, 2011, several days after school reopening.

The teachers told children the purpose of training intelligibly. “If you conduct the evacuation drill, you can protect your life even if big earthquake and tsunami happen again. Are you OK? “. The teachers performed activity of taking a walk the evacuation route for every classes on the day preceding the evacuation drill.

It is necessary to formulate the method and the theory for the combination of disaster prevention education and psychological support

 

Trend in Western countries about psychological support after disaster

There is the difference between twenty years ago and now about the expression of the disaster experience. American mental health teams recommended "Psychological Debriefing”(Mitchell & Everly,2001) after Kobe Earthquake in 1995. They insisted that if victims talked about disaster experiences as soon as possible, it could prevent PTSD. However, Tominaga (1995) thought this guideline was not appropriate for the situation where more than 6,400 people died, and did not practice it. Psychological First Aid became new guideline after 9.11 terrorist attacks in 2001. PFA is superior guideline in acute period that emphasizes security, relief and information.

On the other hand, there is not description about expression of disaster experiences and disaster prevention education in PFA.

Trauma-Focused Cognitive Behavioral Therapy (Cohen, Mannarino, & Deblinger,2006) is the most reliable psychotherapy that is used for children who suffer from PTSD. It has been developing as a therapy for PTSD that is mainly caused by sexual crimes. There is the description about "Safety skills" in this book. However, it is desirable to use after the client finishes with the “trauma narrative”. According to this logic, only the child who talked about disaster experience may participate in evacuation drill.

However, it is not realistic to use it when it comes to situations in which children experienced disaster.

In disasters, children have to save themselves when a big aftershock comes.

 

What is the difference between recovery from trauma and stress disorder from trauma?

The trauma reactions can occur to anyone when they experience a trauma. They are normal reactions in the abnormal situation. In those situations the person has power to recover. Kessler et al.(1995) surveyed prevalence of PTSD, prevalence of PTSP for natural disaster was 4%, and sexual violence was 50%. The conclusion has not been given yet. However, the stress disorder is regarded as a result of the failure for the spontaneous recovery. And risk factors might be "strong avoidance" and “negative thought as self-blaming".

The exposure therapy (Foa,Hembree,& Rothbaum,2007) is composed of "image exposure" (A patient talks about traumatic experiences at a safe place) and "invivo" exposure (A patient tries to challenge progressively stimulus for example: places that he/she has avoided) ".  "The breathing method for feelings control" and "the psycho-education of stress and trauma" are added. It is the most reliable psychotherapy for PTSD. “Exposure” is translated to "Bakuro" in Japanese, “Bakuro” gives an impression as if "Therapist opened the lid of his/her trauma memory by force". However, “ex” means “to outside”, “pose" means put in his/her body". When a patient put his/her body in a safe place, his/her heart throbs at first, but the pulse of heart decreases because that place is safe already.

Disaster prevention education is composed of the action training that includes the evacuation drill and the learning about the history of the tsunami. They can respond to " in vivo " exposure and the" image exposure" in exposure therapy. The practice of the evacuation drill in an elementary school was with " in vivo" exposure. The children participated in the evacuation course beforehand, enjoying with classmates. They conducted evacuation drill on the next day. In addition, they were provided with the psycho-education about stress and the trauma and how to cope with memories of tsunami. On the other hand, evacuation training can become a trigger which causes children to re-experience reaction.

 

Conbination of disaster prevention education and psychological support after disaster

 

I will describe concretely about the combination of disaster prevention education and psychological support after disaster in the immediate period after disaster (3 months), the middle-term period (4 months -1 year) and long term period (1-10 years).

1.Please conduct the evacuation drill that includes psychological support for the immediate period!

The evacuation drill causes children to re-experience reaction strongly if the drill is conducted without previous announcement.  Therefore please conduct the evacuation drill considering the next points.

  Please explain a purpose of the training to children with plain words before conducting an evacuation drill. "You can save life even if an earthquake occurred, and a big tsunami came. The aim of the training is to learn how to save yourself. The warning siren informing about tsunami is an important signal. Nobody escapes if a siren's sound is comfortable enough. Therefore the siren's sound is an unpleasant sound.”(Cognition of siren)

 Please take a walk through the refugee course beforehand. It lets children feel relieved and helps them have a prospect if you conduct it within a class. (In vivo exposure)

 Please give children information even if they remember a hard things during an evacuation drill and they start to throb, it is very natural response for them. (Psycho-education).

 Please teach children how to control their traumatic stress responses.  " If your throb continues even after conducting the evacuation drill, please straight your back, and breathe in and out slowly or raise your shoulders up and hold a few seconds and then relax, so you might calm down.”(Stress management)

 

2.Psycho-education for traumatic stress and disaster prevention learning for the medium term period.

 

You should utilize the painful rating scale to check how child feels during the expression activity and the disaster prevention learning.

Teachers could know the pain of the child beforehand, and a counselor should counsel the child who has high results on the pain scale beforehand.

 

How painful are you about each items?

  Nothing 0.1.2.3.4.5.6.7.8.9.10 max painful

1, To do evacuation training

2, To see or hear word “Tsunami”

3,To watch video of tsunami

4,To learn the mechanism of tsunami

5,To check your stress and trauma responses

6,To write your experience after disaster

7,To talk to anyone about your experiences after disaster

8,To hear the siren warning of the tsunami

9,To feel strong tremors of the earthquake

 

From item 1 to 7, it is originally safe activity. Therefore a class teacher and a counselor should do the counseling to child who checked high score 7-10. As for item 8 and 9, feeling pain is appropriate. You should take care of the child who checked 0 in these items.

We conducted a special lesson for integration of disaster prevention education and psychological support after disaster at the junior high school within the stricken area. They checked the painful rating scale at first. I presented the data to students where I showed them that the child at low-grade elementary school had high score for traumatic stress . And then I asked students: ”How will you take care of child when he or she hears word tsunami?”

At that time, a school counselor who wore the stuffed Doraemon came to that classroom. He said :“I could not sleep. I am scared now.” I had exercise with Doraemon and students felt relaxed enough to sleep. And then, I asked students :”What does make him scared?” A student said :“ Mouse makes him scared!” Doraemon cried :”Do not say that word!” I asked them :”Does a word “mouse” bites his ears?” Students said: “No it doesn’t”. I told them :”When you are able to use the word “tsunami” calmly, you can learn about the structure of the tsunami.”

After this lesson, they watched a photography of the tsunami, and they learned the mechanism of the tsunami. There was nobody who felt worse during and after the disaster prevention learning.

# Doraemon is famous cartoon hero in Japan. He is a cat robot. Since his ear was bitten by a mouse, a mouse became a traumatic stressor for him.

 

3, Expression and sharing of disaster experience and disaster prevention learning in the midium-and-long term period.

 

Expression of their disaster experiences through writing or drawing which runs the risk of the activity becoming the trigger of PTSD and the expression of the traumatic experience can possibly prevent PTSD. PFA(Psychological First Aid: National Child Traumatic Stress Network and National Center for PTSD,2006) and SPR(Skills for Psychological Recovery: Berkowitz, etal.2010) don’t include those activity.

However, CBITSCognitive Behavior Intervention Trauma in School: Jaycox,Langley,& Dean,2009) and TF-CBT(Trauma forcused Cognitiv Behavior Psychotherapy: Cohen , Mannarino, & Deblinger,2006), which are psychotherapy for PTSD have component of “trauma narrative”.

The role of teacher is different between Asian countries and Western countries. Japanese teachers conduct not only teaching of subject but also educational counseling and career guidance. The teacher supports children's expressive activities in exchange diary.

I will describe some points for expression activity of disaster.

  Principal and class teacher told the meaning of the expression activity to the children and parents  one month ago.

 The teachers wrote their experience after disaster beforehand. And then a teacher told the students its advantage and disadvantage.

 The teacher requested students to pick up the keyword of the experience on the day before.

 The teacher set widely the theme of the composition: not only the experience after or at that time of an earthquake and the tsunami but also having done your best until today, and your dream for the future. The student who doesn't want to write about suffering experience himself doesn’t need to write it.

 This activity was conducted during the class unit in morning before lunch time.

The teacher and counselor helped students to relax and calm down before writing using a progressive relaxation or breathing or Dohsa-hou which is self-control technique developed in Japan.

A school counselor and a school counselor supervisor have supported those activities and had counseling with a student who showed strong stress responses.

The students chose someone who can read it.

 

    Their writings can be utilized as a teaching tool for disaster prevention program in the future. The risk factors of PTSD are self-blaming and strong avoidance. Tsunami has attacked Tohoku areas three time during the last 100 years.Tohoku people have a culture of overcoming traumatic stress.For example, Osawa, Yamada-machi, Iwate Elementary School has been conducting the tsunami drama "Shine the sea" every year. Ofunato, Iwate Elementary School has been learning disaster prevention using “The black sea” which was written by the students who suffered in Chile tsunami at 1960. An combination of disaster prevention education and psychological support may be a new approach in the world , not just in Japan.

 

教育と医学」20143月号掲載

 

子どもの心のケアと防災教育

   冨永良喜(兵庫教育大学)

 東日本大震災では、地震から数十分間の避難行動が生死を分けた。そのため平時の防災教育がいかに大切かを知らしめた災害であった。一方、災害は過覚醒・再体験・回避マヒといったトラウマ反応を惹き起こし、一部の者は日常生活を阻害するストレス障害に移行する。そのため被災地に心のケアセンターを設立し、災害後の心のケアの政策をすすめている。子どもに対しては、スクールカウンセラーを緊急派遣し教師と共同で子どもを支援するシステムを構築している。

 しかし、防災教育と心のケアには理論的にも方法論的にも整理されていない重要な課題がある。それは、防災教育が一部の者につらい記憶を蘇らせるという点である。文部科学省の心のケアのガイドラインでは、PTSDの予防や対応として「トラウマを思い出させるようなきっかけをつくらないようにする(6p)」(文部科学省、2010)とある。しかし、命を守るために防災教育はやらなければならない。文部科学省の防災マニュアル(文部科学省、2012)には、心のケアの節が設けられ、災害から学校再開まで、学校再開から1週間に分けて、行うべきことが列挙されている。しかし、その項に「避難訓練の実施」という記載はない。もちろんそのマニュアルに避難訓練の項はあるが、被災地で災害後いつからどのように心のケアに配慮して避難訓練を実施すればよいかという記述はない。本論では、心のケアの理論と方法を取り入れた防災教育の実際を紹介したい。

 

 被災地での急性期の防災教

 被災地の多くの学校が再開された時期に、「防災教育 心の傷が心配・・教科書に津波の恐怖」とのタイトルの記事(読売新聞、2011425日)が掲載された。小学5年の国語の教科書に1854年に起きた安政南海地震で村民を津波から救った男性の物語の「百年後のふるさとを守る」という教材がある。被災地の教師はどのようにこの教材を扱うかについて苦しんでいると記されていた。記事には児童精神科医のコメント「余震も続く中、地震や津波について学ぶことがPTSDを引き起こす可能性がある。被災地では当面、防災教育には十分な配慮が必要(清水将之・関西国際大名誉教授)」と、その教材の執筆者のコメント「現段階で教師がこの教材を読ませることをためらう気持ちはよく分かる。指導時期を遅らせるなど、 学校などで判断して対応してほしい。ただ、子どもが災害から自分の身を守れるようにするためにも、全国的に防災教育が後退するようなことがあってはならない。被災地以外ではぜひ活用してほしい(河田恵昭・関西大学教授)」が紹介された。

 一方、この時期に避難訓練を実施した小学校で、児童がほとんど強い心身反応を示さなかった取り組みがあった(西條、2013;冨永、2012)。大船渡市甫嶺小学校は、学校再開から数日後の2011425日に、津波の避難訓練を行なった。再び大きな地震・津波が来ても大丈夫なように避難訓練を実施すると訓練の目的を子どもたちにわかりやすく話した。避難訓練の前日には、クラスごとに避難経路を散策するという活動を行った。

災害後の心のケアの理論と方法が阪神大震災当時と現在では大きく変わったことを踏まえて、心のケアを取り入れた防災教育を構築する必要がある。

 

災害後の心のケアに関する西欧の動向

 被災体験の表現をめぐってこの10年に世界の動向が大きく変わった。1995年阪神大震災のあと、アメリカの精神保健チームは、当時最新の方法とされた「心理的ディブリーフィング(Psychological Debriefing)」(Mitchell & Everly,2001を推奨しに来日した。それは、なるべく早期に怖い感情を吐き出し被災体験を語らせることがPTSDを予防するとしたガイドラインであった。しかし冨永(1995)6400人以上が亡くなっている状況でこのガイドラインは適切でないと考え実践しなかった。そして2001年9.11同時多発テロ後に登場した新たなガイドラインである心理的応急法(PFA:Psychological First Aid; National Child Traumatic Stress Network and National Center for PTSD,2006)には、心理的ディブリーフィングは「やってはいけない」と明記された。PFAは安全・安心や情報の提供などが強調された急性期の優れたガイドラインであった。しかし、このガイドラインには被災体験の表現や防災教育についての記述はなく、中長期にこのガイドラインを適用すると、被災体験を封印してしまい、回避を強め、ストレス障害のリスクを高めることが危惧される。

 ところで、PTSDの子どもの治療法として最も信頼性の高いトラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT; Trauma-Focused Cognitive Behavioral TherapyCohen,Mannarino,& Deblinger,2006)には、安全スキル(Safety skills)の記載がある。TF-CBTは、主に性被害などによるストレス障害に対応した治療法であり、安全スキルは被害を防ぐスキル訓練である。しかしその実施の時期については「安全スキルを教えるタイミングは、慎重に考えられなければならず、一般的に、子どもが、トラウマ体験の語りを終えた後に教えられることが望ましい(158p)」と記されている。この論理では、避難訓練は被災体験を語れるようになったあと行うことになる。しかしそれは災害では現実的ではない。いつ大きな余震が来るかわからないからである。ただし、TFCBTはストレス障害化した子どもへの治療法であり、災害後学校生活を送っている子どもはストレス障害には至っていない。このため、余震が続く急性期に安全感を高めるための避難訓練のあり方を整理しておく必要がある。

 

回復する人とストレス障害になる人の違い

 トラウマ体験をすると誰しもトラウマ反応が生じる。異常事態の正常な反応である。しかし人は回復する力をもっている。PTSDの生涯有病率を調べたKessler et al.(1995)のデータでは、自然災害では数%、性被害では約半数の者がPTSDを罹患する。回復するものとストレス障害になるものの違いはなにか、まだ十分に結論はだされていないが、ストレス障害は自然回復の失敗の結果と考えられている。そして、そのリスク因は「強い回避」と「自責感」であろう。 

PTSDに最も信頼性の高いとされている長時間エクスポージャー療法(Foa,Hembree,& Rothbaum,2007)は、「イメージ・エクスポージャー(つらかった体験を安全な場で語りつくす)」と「実生活内エクスポージャー(すでに安全な場所や人や刺激を避けていることに段階的にチャレンジする)」の2つを柱に、「感情コントロールのための呼吸法」と、「ストレスやトラウマの心理教育」を学ぶことから構成されている。自然回復を損なう強い回避に集中してチャレンジする治療法である。エクスポージャーは「曝露」と訳されることがあるため、「封印したトラウマ記憶をあばく」といった印象を与える。しかし、exは「外へ」、poseは「身を置く」という意味であるから、exposureは、すでに安全になった場所や事柄に身を置き、心身反応が一時的に生じても、人は回復する力があるので、その心身反応が収まるのを待つということが本質であろう。そこで、防災教育を、避難訓練など行動を中心とした活動と「百年後のふるさとを守る」といった読み物教材による防災学習に大別すると、これらが、実生活内・エクスポージャーとイメージ・エクスポージャーに対応していることがわかる。甫嶺小での避難訓練の実践は実生活内エクスポージャーの段階的練習(gradual exposure)の理論に一致した取り組みだったのである。事前の避難経路のクラスごとの散策は、次の日の避難訓練にとっては、段階的な練習になっていたのである。また避難訓練はつらいことを思いださせることそしてドキドキしてもそれは自然なことであるとの知識を伝えることは「ストレスとトラウマの心理教育」であった。

 

防災教育を心のケアと一体で取り組みたい

 ドキドキなどの心身反応をコントロールできるほどの課題に少しずつチャレンジするという段階的練習が重要である。心理的ディブリーフィングの失敗は、被災直後は過覚醒状態にあり、感情のコントロールが難しい状況で、つらかったことを語らせることで、つよい感情反応を収められないことがあり、そういう体験が「二度と語りたくない」と回避を強めてしまうというリスクであろう。 

ここで、急性期と中長期における心のケアを取り入れた防災教育を整理しておく。

 1.急性期には心のケアを取り入れた避難訓練を!

 被災地で予告なしの避難訓練を行なえば、被災体験を強く想起させ強い心身反応を生じさせることが考えられる。そのため次の点を考慮する。

避難訓練を行う前に訓練の目的を子どもの発達に応じたわかりやすい言葉で説明する。「もし地震があり大きな津波が来たとしても、君たちは自分の命を守る力があります。そのための訓練です。津波警報を知らせるサイレンは、命を守ってくれる大切な合図です。」

②事前に避難経路の散策をする。クラス単位などの安心できる環境で、ゆとりと見通しをもたせる。

③つらいことを思いだしたときの対応についての情報提供(心理教育)を行う。「地震が発生したとの放送は辛いことを思いださせてしまうけど、それは自然なこと、自分の心とからだが大変なことを乗り越えようとがんばっていると思ってください。」

④心身反応への対処法を練習する。「一生懸命避難したあと、ドキドキしていたら、背筋を立てて肩の余分な力をぬいて、息をゆっくり吐いてみましょう。」呼吸法や肩の動作法などの体験を取り入れた活動を行う。

 2.中長期には少しずつの被災体験の表現と地域調べなどの防災学習を!

 子どもは被災状況も異なり、心身反応のあらわれ方も個人差がある。そこで、子どもに被災体験の表現活動や防災講演会をどれくらい苦痛と感じているかを事前に教師やカウンセラーが知ることは、個別にサポートをする契機となる。

 冨永(印刷中)は、防災学習と心のサポートアンケートを考案した。防災学習や防災講演会や語り継ぐ表現活動を実施する前に、児童生徒にクラス単位で、朝の会や帰りの会で5分程度の時間で実施できる。

項目1から7までは、本来は安全な活動である。そのため、苦痛度が7-10と高いスコアを申告している者には、担任やカウンセラーが事前に、どんなことが心配なのか、不安になったときどうすればいいかを話しあっておくといい。項目8と9は、苦痛を感じる方が適切である。この項目の0に○をしている子どもは設問をよく読んでいないか、回避しているかのいずれかで配慮を要する。

筆者は、被災地のある中学校で津波の仕組みを学ぶ特別授業の前に、こころのサポート授業を行った。津波の仕組みを学ぶ特別授業では、津波の写真や映像をみる。そのため、生徒が不安にならないか心配なので、事前に「こころのサポート授業」をやってほしいと依頼を受けた。「こころのサポート授業」では、眠りのためのリラックス法を体験したのち、阪神淡路大震災から10年後にPTSDになりその後回復した人のメッセージ(植松,2013)を視聴してもらい、避け続けるのではなく、安全な刺激には少しずつチャレンジしていくことが大切なことを伝えた。

「津波という言葉はつらいことを思いださせるかもしれません。でも、”津波”という言葉が人の命を奪うことはありません。津波ということばを落ち着いて使えるようになると、津波の仕組みについて学べるようになります。今日の4時間目に津波の仕組みを学ぶ特別授業がありますね。その時ドキドキして不安になる人もいるかもしれません。それはとても自然なことです。安全な場所でドキドキしても段々ドキドキが小さくなっていくことを観察しましょう。あまりに苦しすぎるときは、保健室を利用してもいいでしょう。でも次の防災学習の機会のとき、今度はドキドキがどうなっているかな、とチャレンジしてください」と伝えた。津波防災の学習で気分が悪くなる生徒はいなかった。

 岩手県山田町大沢小学校は「海よ光れ」という津波劇を毎年行ってきた。岩手県大船渡小学校は1960年のチリ地震津波後に子どもたちが書いた作文集「黒い海」を毎年学び防災学習を行ってきた。津波の歴史を抱える地域では津波トラウマを乗り越え、命を守る教育が展開されてきている。防災教育と心のケアの一体的取り組みを世界に発信する時が来ている。

文献

Cohen JA, Mannarino AP, Deblinger E2006Treating Trauma and Traumatic Grief in Children and Adolescents. Treatment Manual. New York: Guilford Press.

Foa E,Hembree E,Rothbaum B2007Prolonged Exposure Therapy for PTSD.Emotional Processing of Traumatic Experiences Therapist Guide.Oxford University Press.

Kessler R, Sonnega A, Bromet E, Hughes M, Nelson C1995 Posttraumatic stress disorder in the National Comorbidity Survey. Archives of General Psychiatry 52,1048- 1060.

Mitchell JT & Everly GS2001Critical Incident Stress Debriefing.Chevron Publishing Corporation. 高橋祥友2002 緊急事態ストレス・PTSD対応マニュアル・金剛出版

文部科学省(2010) 子どもの心のケアのために-災害や事件・事故発生時の対応を中心に www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1297484.htm (2014.1.5取得)

文部科学省(2012) 学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き

www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1323513.htm2014.1.5取得)

National Child Traumatic Stress Network and National Center for PTSD2006: Psychological First Aid. Filed Operations Guide 2nd edition. 兵庫県 こころのケアセンター(訳)2011 災害時のこころのケア: サイコロジカル・ファーストエイド 実施の手引き 原書第2版 医学書院 

西條剛志(2013) 避難訓練のあり方 DVD「こころのサポート映像集・教職員スクールカウンセラー編」日本ストレスマネジメント学会監修、一般社団法人社会応援ネットワーク企画制作

冨永良喜(1995)被災者の心のケアとしての臨床動作法.リハビリテイション心理学研究,21,59-82.

冨永良喜(2012) 大災害と子どもの心-どう向き合い支えるか 岩波書店

冨永良喜(印刷中)災害・事件後の子どもの心理支援.創元社

植松秋(2013):震災を経験して先輩からのメッセージ.DVD「こころのサポート映像集」日本ストレスマネジメント学会監修、一般社団法人社会応援ネットワーク企画制作.

より以前の記事一覧