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心と体

2015年11月 5日 (木)

子どもの自殺を防ぐために(1)日本の子どもの自殺防止対策まちがっています

 

http://blogos.com/article/142468/

中学生の自殺、過去最悪の水準

と報道されています。

 

皮肉にも、いじめ防止対策推進法ができて、子どもの自殺に「いじめ」がかかわるようななんらかの情報があれば、それが繰り返し報道されるようになりました。自殺の原因と推測される遺書が原文のままメディアをとおして、流れ続けます。こういった報道が、つぎの子どもの自殺をうんでいるのだと思います。

「死んではいけない」となんど大人がメッセージを送り続けても、子どもの自殺をとめるちからにはなりません。

いじめを発見するためのアンケートだけでは、子どもの自殺をとめることはできません。

日本の子どもの自殺防止対策はまちがっています。

子どもが死にたいと思ったとき、それをとめる力を育む教育がなされていないからです。

いじめ防止対策推進法で、重大な事案が発生したら第三者委員会を設置すると、法で定められました。そして、第三者委員会の報告がなされるたびに、学校のいじめが子どもの自殺をひきおこしたと、繰り返し報道されます。本当にそうでしょうか。

報道の在り方を変えること。

子どもが死にたいと思ったとき、それをとめる力を子どもに育む教育を徹底すること。

出来事が感情や行動を引き起こすと言うより、心のつぶやきが感情や行動を引き起こすのだという心の仕組みを学ぶ教育です。

 

2015年7月 4日 (土)

道徳授業といじめ防止(1)道徳学習指導要領改訂解説書

文部科学省は、特別の教科 道徳の一部改訂した学習指導要領の解説書を公開した。

文部科学省のtopページから、教育⇒小学校、中学校、高等学校⇒道徳教育 の最後のページにpdfでダウンロードできるようになっている

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/doutoku/index.htm

改訂のポイントは、読み物教材中心から、児童生徒が考え話しあう、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習をとりいれるなど、教育方法の大転換が、ひとつであろう。

ちなみに、平成20年度の道徳の学習指導要領解説書で「ストレス」を検索してもヒットしないが、

平成27年度解説書では、35ページに

4 希望と勇気、克己と強い意志
より高い目標を設定し,その達成を目指し,希望と勇気をもち,困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。

学年が上がるにつれて,挫折や失敗を恐れる余りプレッシャーやストレスを強く感じて健康を害したり,誤ったストレスのはけ口を求めてしまったりする生徒も見られるようになる。
指導に当たっては,まず,生活の中で具体的な目標を設定させ,その実現に向けて努力する体験をさせ,その体験を振り返って,目標の達成には何が必要かを考えたり,
自らの歩みを自己評価させたりすることが大切である。

「ストレス」という用語が記載されている。またこの文章で、「自らの歩みを自己評価させたりする」という記載があり、これは、私が、チェックリストを活用した「自分教材」と呼称しているものと一致している。

さあ、道徳の時間を、真に児童生徒が自分を振り返り、よりよい自分に高めていく貴重な時間とできるように、良い指導案を積極的に作成していきたい。

ちなみに、平成20年に公開された同じ内容項目の記載は以下のとおりである。
平成20年学習指導要領解説中学校
(2) より高い目標を目指し,希望と勇気をもって着実にやり抜く強い意志をもつ。

中学生の時期は,自分の好むことや価値を認めたものに対しては意欲的に取り組む態度が育ってくる。また,希望と勇気をもって生きる崇高な生き方に憧憬をもつ年代
でもある。しかし,障害や困難に直面すると簡単に挫折し物事をあきらめてしまうこともあり,理想どおりにいかない現実に悩み苦しむこともある。更に,変化の激しい
社会であることから,中学生にとっては目標を立てにくい状況にもあるといえる。

2015年6月13日 (土)

不登校・いじめ抑止のための教育改革(1)小中一貫教育は効果的か

公認心理師法の再提出が国会になかなかでない。

それで、参議院・文教科学委員会の国会中継をみていると、小中一貫教育の改革の是非をめぐって、3名の参考人の意見と質疑が行われていた。

文教科学委員会(第十三回) 2015年6月11日
   学校教育法等の一部を改正する法律案(閣法第四九号)(衆議院送付)について参考人白梅学園大学子ども学部教授無藤隆君、共栄大学副学長藤田英典君及び法政大学キャリアデザイン学部教授佐貫浩君から意見を聴いた後、各参考人に対し質疑を行った。

1名は賛成、2名は反対の論を展開していた。そもそも、この改革は、中学生の不登校・いじめを抑制するために発案されたようだ。

藤田先生と佐貫先生は、小学校5・6年で、リーダーシップを育成する貴重な機会が、中高一貫教育のために奪われることの損失、小中一貫教育に取り組んできた品川の例をあげ、管理職は小中一貫教育を評価しているが、養護教育は評価していないという結果も報告していた。

藤田先生は1970年代、西欧の著名な学者たちが日本の教育を視察し、絶賛したのが、この30年間、日本の教育改革はそのよき日本の教育を壊していく改革の連続だったと主張されていた。

また、議員との質疑のなかで、いじめ対策を例にとるなら、教育制度改革よりも、児童生徒にいじめの構造を教え徹底して話し合う場を設けるべきだ、という意見もいわれていた。

私は、藤田・佐貫両先生の主張に同じ思いをもった。

いま、道徳の改革が行われようとしている。読み物教材中心から、体験的な学習、話し合う道徳の時間への転換はよしとしても、道徳的価値を中心に据えた道徳内容だけではやはり不十分ではないか。怒りや悲しみ、いじめ、暴力を積極的に、道徳の時間に取り上げる教育改革が必要ではないか。

そして、不登校・いじめの対策としては、スクールカウンセラーよりも、スクールソーシャルワーカーに、その効果を期待する論調が折々に多くみられるようになっている。この委員会でも、スクールソーシャルワーカーへの期待が語られた。もちろんスクールソーシャルワーカーは必要だ。

いまやらないといけないのは、すべてのスクールカウンセラーの活動の見直しだ。スクールカウンセラーは児童生徒へのカウンセリングはもちろんだが、教師と共同して「こころのサポート授業」を実施してほしい。

児童生徒が困難を抱えたとき、それを乗りこえる力を育む授業-ストレスマネジメント-を展開してほしい。

子どもが自死したとき、第三者委員会が設置されて、学校でいじめがあったと報告される。第三者委員会の報告がマスメディアでながされ、それを受け取る大人も子どもも、困難に直面したら死ぬしかないと思い込むような社会になってないだろうか。

なかには、無視や悪口をいわれたと。もちろん、無視や悪口はよくないが、「自死」という行為こそ許される行為ではないという共通認識をわが国の社会はもっと共有すべきではないか。ただ「許される行為」ではないというと自死した子どもを責めるメッセージに受け取られる。大切なことは、大人が社会が、困難に直面したとき、「自死」以外に、困難を解決する方法(コーピング方略)があるということを組織的に提案する必要があるということだ。

すなわち、大人が子どもの命を守る教育とともに、子どもが子どもの命を守る教育政策を展開する必要がある。

すべてのスクールカウンセラーが、教師と共同で、こころのサポート授業を展開してほしい。

昨日、臨床心理士を取得した教師が、ゲストティーチャーとして、ある小学校5年生3クラス合同の授業を担任と共同で行っていた。「心のつぶやきをキャッチしよう」を、担任の見事な寸劇で、悲しみ、怒り、落ち着きに対応した、心のつぶやきと行動を再現していた。

こんな授業を日本のどの学校でもあたりまえに行われる時がくるように、教育改革をすすめてほしい。

実は、国家資格・公認心理師法は、不登校・いじめ抑止への国の政策として直に影響を与える。それは、2条の 業の定義に

四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

が記載されているからだ。すべての公認心理師を取得したスクールカウンセラーすべてが、この4の業務ができるように、養成段階で、訓練が行われる。自分は、集団への対応は苦手だからできない、といったスクールカウンセラーは、もう不要な時代がくる。

そういった重要な法案なのに、なかなか、再提出されないのは、なんともやりきれない。

2015年6月 9日 (火)

自殺防止とストレスマネジメント(1) 自殺総合対策の更なる推進を求める決議

参議院文教科学委員会で、6月2日に、「自殺総合対策の更なる推進を求める決議」文を

神本美恵子議員が読まれているのをインターネット参議院で視聴したので、その文書を検索したら、下記のpdfを発見しました。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/189/i069_060201.pdf

その最後の文に、

十一、児童生徒を含む若年者の自殺対策については、生活上の困難やストレスに直面しても適切な対処ができる力を身に付けさせる教育が重要であることに鑑み、全ての児童生徒を対象に「SOSの出し方教育(自殺の0次予防)」を実施すること。

とあります。

まさに、自殺予防のストレスマネジメント教育を実施しなさい、と決議しているのです。

さて、この「SOSの出し方教育」の指導案・授業案・活動案は、どこから提案されているのでしょうか?

検索してみると、

「子供に伝えたい自殺予防(学校における自殺予防教育導入の手引)」及び「子供の自殺等の実態分析」について 平成26年7月1日 児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/063_5/gaiyou/1351873.htm

が掲載されていました。

1時間目 いのちの危機を乗り越えるために

などが掲載されています。

私は、この指導案のまえに、怒りや悲しみを抱えたときどうする? と自殺に特化しない

授業を実施しておく必要があると思います。

ところで、どんなに効果的な指導案が作成されても、それを全ての児童生徒が体験する仕組みができていないのが、わが国の最大の課題です。

これらの指導案を実施する授業のコマがないのです。

本気で、子どもの自殺対策をするのなら、文部科学省・教育課程課と共同で発信すべきではないでしょうか。教育課程のなかに、きちんと位置づけるべきではないでしょうか?

そうでなければ、ごく一部の熱心な教師やスクールカウンセラーの学校でのみ実施され、

これらの教育が必要な児童生徒には提供されないことになります。

2015年5月24日 (日)

アンガーマネジメント-ティクナットハンの「怒りの炎を抱きしめる」に思う

マインドフルネスが注目を集めている。

心理療法としても予防的開発的な方法としても。

NHKあさイチでも、社員の能率を高める方法として紹介されていた。

そんななか、NHKで、ベトナムの高僧で、フランスで活躍しているティクナットハンの特集が2015年5月7日・8日の深夜2時ころ、再放送された。

朝方生活をしていて、たまたま目がさめて、「怒りの炎を抱きしめる」という第1回をみた。

衝撃的な番組だった。

それで、「反応しない」「判断しない」なのか。

ACTJapanのホームページに、マインドフルネスの日本語訳の尺度が掲載されている。なかでも、Five Facet Mindfulness Questionnaire(FFMQ)が最も活用されている尺度の一つのようだ。しかし、どうも、「反応しない」の因子の項目を読んでもなにか釈然としないものがあった。

例えば、

4それにどうしても反応してしまうということなく、自分の気分や感情に気づく。
4. I perceive my feelings and emotions without having to react to them.

them ってなんなの? 

もちろん them=my feelings and emotions なんだけど、「react しないで」ってどういう意味?

24 つらい考えやイメージが浮かんだとき、大抵じきに気持ちが落ち着く。

24. When I have distressing thoughts or images, I feel calm soon after.

もちろん、react 反応する なんだけど、どういう意味だろうとわからなかった。

それが、ティクナットハンの特集をみて、「そうか、反応しないということは、怒りの感情を抱えて、人を傷つける・自分を傷つけるといった「反応」をしない、という意味なんだと理解して合点がいった。

ティクナットハンは、ベトナム戦争で仲間を虐殺された怒りを抱えて、ただ、ひたすら、呼吸に注意を向け続けた。そして、虐殺を行った人間の課題性・問題性を意味する心のメッセージにたどりつく。

怒りの炎を鎮めるというのは、怒りの火を消火することではない。怒りの炎が、自他を慈しむ行動のエネルギーに変わっていくのだ。それは、怒りの炎を抱えながら、自他を慈しむ合理的な行動を引き起こす前向きな心のつぶやきや信念が心のなかからわき上がることで、どちらが先かはわからないが、ともかく、相手の課題性・問題性を自分の感情に振り回されることなく、離れて、思い至る、そのことが本質なんだと思った。

これは、戦争・殺戮を繰り返している人類にとって、人類史上歴史的な活動であり発見ではないだろうか。

そうすると、FFMQの尺度項目は、ティクナットハンのマインドフルネスを反映しているのだろうかという疑問がわいてくる。

そこで、「マインドフルネス尺度」でGOOGLE検索すると、

https://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/41227/1/BungakuKenkyukaKiyo1_59_Maekawa.pdf

という前川真奈美論文を発見した。

もともと東洋の智恵から生まれた方法なのだから、東洋人によって、マインドフルネスの尺度を構成してもいいと思う。こういった試みをどんどん展開してほしい。

そして、インスタント・マインドフルネスではなく、マインドフルネスの神髄にせまる尺度を開発してほしい。

アンガーマネジメントに絞ってのマインドフルネスの尺度構成があってもいいかもしれない。とくに、子どもの尺度をだれか開発してほしい。もうすでに開発されていたらだれか教えてほしい。

2015年5月22日 (金)

ストレスマネジメント理論によるこころのサポート授業ツール集(2)VideoStudioX4による映像作成

ビデオカメラによる映像を編集し、字幕をいれて、商品として、作成したい。

わからないことに次々に直面しました。

VideoStudio X4(これは2年前にビデオ映像を編集しようと購入していたものが研究室で眠っていたのですが)をパソコンにインストールしました。

①ビデオ映像を取り込もうとしましたが、取り込みの仕方がわからない。

⇒ 1取り込み にして、デジタルメディアの取り込み をクリックして、映像のリストまでがでるのですが、「取り込み開始」がOFFになったまま。あれこれしているうちに、映像の左上に□があり、ここをポチッとすると、「取り込み開始」がONになり、これをクリックでやっと取り込み方がわかりました。

②ビデオカメラはSony HANDYCAM HDR-PJ760 それに、新たに FDR-AX100を購入、ワイヤレスマイクはSONY ECM-HW2を購入、収録。しかし、シャーと背景音、ホワイトノイズがのり聞きづらい。これをカットする方法がわからない。

⇒永浦さんに応援をもとめ、あれやこれややっているうちに、なんと、VideoStudio に ノイズカット機能がついていることを発見。

2編集で、映像をクリップして、マイクマークにドポンと落とすと、音声がコピーされ、マイクの箇所をダブルクリックすると、上右画面に、「オーディオフィルター」がでてきて、これの「NewBlue ノイズリジューサー」を追加すると、きれいにノイズがカットされました。

ちなみに、映像はミュートにしないと、ノイズが消えません。

③編集をするのですが、音声は聞こえるのですが、緑画面になって、映像がみえない。

⇒テクニカルサポートは登録してないとうけれない。しまった。登録しておけばよかった。と思い、ネット検索。同じ現象で悩んでいる方がおられた。

映像にカーソルをおいて、クリックすると、再生速度変更/タイムプラス・・ のところをクリック、なんと、速度を100から99に変えると、緑画面にならずに、再生できました。

ほかにも数々、わからないことだらけでしたが、なんとか、このソフトわかってきました。

ただ、まだまだ、わからないことがいっぱい。また、このコーナーで質問しますね。

あれから2年、いまは VideoStudio X8 のようですね。

ストレスマネジメント理論によるこころのサポート授業ツール集(1)制作にあたって

あいり出版から発刊した「ストレスマネジメント理論による心とからだの健康観察と教育相談ツール集」の第2弾をはやく出版したいと思いながら、なかなかやる気が起きませんでした。

2012年度に、社会応援ネットワーク制作、日本ストレスマネジメント学会監修で、文部科学省委託事業としてDVD「こころのサポート映像集」が作成され、被災3県の全学校に配布されました。それには、日常ストレスに対処するこころのサポート授業や災害後に必要なこころのサポート授業が収録されています。

これは被災県のみならず、虐待やいじめで苦しむ子どもたちへの心の健康授業としても活用できるものです。

そして、ストレスチェックの実施方法などをつめこんだ書籍を、2014年3月20日に「ストレスマネジメント理論による心とからだの健康観察と教育相談ツール集」(DVDつき)として、あいり出版から発刊しました。

第一弾を発刊したとき、第二弾の構想はできていました。しかし、どうも書籍としてまとめるのに、なかなかやる気が起きませんでした。

そして、2014年6月28日に、NHK教育のエデュカチオで、「子どものストレス」をとりあげてもらいました。被災地の小中学校では、引き続き、折々に、こころのサポート授業を実際に巡回型スクールカウンセラーといっしょに行ってきました。

2013年6月にいじめ防止対策推進法が制定され、2013年12月には、道徳教育の充実に関する懇談会が道徳の時間に、体験的学習もとりいれることを提言し、2015年2月に学習指導要領が改訂され、2018年から本格実施となりました。

もう、これ以上、先延ばしにできない。やっと、とりまとめる気力がわいてきて、この1ヶ月で、仲間たちへの原稿依頼もあわせて、昨日、入稿しました。

この本のポイントは、パワーポイントによる「こころのサポート授業」を構成している点です。そして、体験的な活動として、DVD映像ファイルをそのパワーポイントに組み込んで活用してもらえるようにしています。

あと、DVD映像の仕上げが残っていますが、DVDの方もほぼできあがりました。

DVD映像の編集に、手こずりました。第一弾のときは、統計やパソコンに強い博士課程の永浦拡さんがビデオ作りをしてくれました。

ビデオカメラからの映像を自分で編集できれば、思うような教材が作れるので、今回は、自分で挑戦してみたい。永浦さんも博士号をとり多忙。それで、ひとりで編集にチャレンジしてみました。それがまたわからないの連続。

次のブログで、VideoStudio X4の使い方の苦闘を綴りたいと思います。

2015年4月18日 (土)

公認心理師法について(4)「公認心理師」実務重視で を読んで

読売新聞の論点(2015417日朝刊)に 石川啓・日本臨床心理士養成大学院協議会会長の寄稿が掲載されました。東日本大震災のような災害後の心のケアに臨床心理士への要請があったことや、悩みを抱える人の相談を受けていることが記されています。また、養成大学院で2年間、実践的な臨床心理学を修めた上で試験を受けることが記されています。

 そして、20146月、「公認心理師法」が国会に提出され、衆議院解散になり廃案になったが再提出の動きがあると記しています。また、臨床心理士の国家資格化は、日本臨床心理士養成大学院協議会など関係4団体が四世紀半にわたって要望してきたこと、「国家資格になると、医師や看護師などと同様に様々な法律に専門職として記載され、社会的評価は高まる。病院など職場での待遇が向上し、心理士を目指す人も増えるだろう」と記載しています。

 ここまで読むと、社会的に評価を得てきた臨床心理士が国家資格になるのか?と思いますよね。そして、そうなってほしいと。

「だが今回の法案には、内容にいくつかの疑問や懸念が残ることになった」と続きます。

 「臨床心理士養成大学院の実習では、教員の個別指導を受けつつ、来談者の臨床心理面接を初回から終結まで担当する。こうして臨床の技術だけでなく、対人援助職としての態度や倫理を身につけていく。」

 

まさに、そのとおりです。私も教員の立場として、来談者を大学院生が担当し、毎回スーパービジョンをし、来談者に危機的状況が起きたときは直接に大学院生と対応し、また必要に応じ医療機関への紹介・連携を図っています。そして、確かに、大学院生が実力をつけていきます。修士1年で入学してきたときの顔と修士2年を終えて修了するときの顔は変わっています。

 「ところが法案では、4年生大学で心理学を学んだだけでも一定の実務を積めば、受験資格が得られる。臨床心理学の学習や教育的な実戦経験のない人が実務に就くことを法律で認めると、心理支援の水準は大きく低下してしまう。」と記載しています。

 この法案を知らない人は、タイトルの「実務重視」と「一定の実務を積めば」ということと「水準が大きく低下」ということが、どうつながっているのか、わかるでしょうか?

 ちなみに法案の受験資格は以下のように記載されています。

 (受験資格)

第七条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。

 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者

 二 学校教育法に基づく大学において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの

 三 文部科学大臣及び厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者

 

 すなわち、学部と大学院・6年間の養成が基本(第7条の1)なのです。記事で指摘しているのは第7条の2が懸念ですよ、ということです。

司法の専門家養成の法科大学院の失敗は、一つは司法試験合格者数に比べて大学院生をはるかに多く募ったこと-合格率2割前後の国家資格に高額の学資を出し続ける親の身になれ!ということでしょう-もうひとつは予備試験とやらの抜け道受験を認めたこと。第7条の2が抜け道にならないか危惧しているのだと思います。蛇足ながら某4大法律事務所の新規採用者をみると法科大学院修了者と予備試験組が半数ずつなのです。

「文科・厚労両省が認める施設で(心理の)業務に従事したもの」となっているので、業務に従事すればいいの?誰から指導を受けて業務にあたっているの?そういう疑問ではないでしょうか?実務をしっかりと指導を受けて従事する体制が 第7条の2ではとれないのではないですかという懸念だと思います。

それは私もそうだと思います。でも、第7条の2のみが受験資格であれば、私もこの法案には不賛成です。いかに、実務経験をきちんとした指導体制の下でつくるかが重要なのだと思います。だから、これまで臨床心理士養成に携わってきた人たちが積極的に、第7条の1のカリキュラムを現実化し、そのことで、国民の利益になることを実証していくシステムを作ることだと思います。そして、第7条の2では、指導体制を明確にする、そうすれば、大学院教育と同等の労力をその施設の職員が求められることになります。いま大学院は専門職大学院が一つの流れになってきています。要は、7条の1の養成システムを十分なものにすることです。

そうであれば、実務に従事するだけで、専門的な指導体制のない人にだれが心の内を任せようとするでしょうか。

つぎに、「相談者に主治医がいる場合、公認心理師は「その指示を受けなければならない」とされているのも問題だ。主治医との連携は大切だが、医療機関外の心理相談室での対応まで常に主治医の「指示」を求めることは現実的でない。相談者が主治医に気兼ねし、相談を控える恐れもある。」と2つめの懸念が記載されています。

私も法案をはじめて読んだときは、「え!スクールカウンセラーでみている生徒を医療に紹介したとき、医師の診断・治療方針と、臨床心理士の見立てと異なるときはどうするのだろう?医師の「指示」に従わないといけないの?従わないときは罰則が科せられるの?」と思ったものです。でもよく考えると、大学附属の臨床心理相談室にクリニックに通院している人からカウンセリングの依頼があったときは、かならず、主治医の許可をえているか、確認するようにしています。そして、了解をえられているとクライエントがいい、カウンセリングを開始することになったら、時期をみて、クライエントに了解や確認をえて、主治医にカウンセリング方針などを記載したお手紙をだすようにしています。主治医の方針にクライエントが不満をもっていれば、セカンドオピニオンをえればいいのです。要は、心理職者と医師がクライエント・患者のことについて「緊密な連携」が図れる方がいいに決まっているのです。

スクールカウンセラーは医療従事者ではないので、医療行為を教育の場でできるはずはありません。医師の「指示」は医療行為の「指示」ではないことはあきらかです。医師の一部の方は、精神科医療の治療を受ければその方の生活の質が向上するのがわかっているのに、医療機関に紹介もしないで、クライエントを臨床心理士が「抱え込んでいる」と疑念ももっているのではないでしょうか。

この42条の2がクライエントに不利益をもたらす事案があれば、数年後にその事例を集めて、修正を求めればいいのです。しかも、公明党・古屋範子議員のご尽力で、45条の2が設けられました。

 

(経過措置等)

 

第四十五条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 

2 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。

 

いまの日本の実際の医療の現場では、精神科に受診した患者に医師から依頼されて医療施設で仕事をしている臨床心理士が心理検査をしたり、心理療法を担当しても、保険診療の点数がとれません。チーム医療の専門職のなかで国家資格がないのは臨床心理士だけです。

だから、医療関連施設に従事してきた臨床心理士は国家資格になることを切望してきたのです。42条の2と今の医療現場での臨床心理士の待遇・処遇の現状を天秤にかければ、不透明な点(スクールカウンセラーに医師はどのような「指示」をするの?)はあるにせよ、国家資格を作ることの方がはるかに、国民の利益に資することだと思います。また、スクールカウンセラーは時給が高くて高給取りと思われているかもしれません。でも、私の研究室で学び臨床心理士を取得した50歳前後の人が、教師を辞めて、被災地のスクールカウンセラーとして活躍しています。でも彼らは、教員の年収と比べ、200万円~250万円も少なくなってしまったのです。スクールカウンセラーもせめて教員と同等の年収がとれるように一部常勤化をすすめる必要があります。そのためにも国家資格・公認心理師の成立は必須なのです。

私は、国家資格・公認心理師が成立したら、その養成システムもですが、つぎに、公認心理師取得後研修の整備、及び、より専門的な心理療法ができる国家資格・公認心理療法師の法整備をすすめていく必要があると思います。

だから、これまでの臨床心理士養成の英知は公認心理師養成及び取得後研修システムにいかしてほしいと思うのです。

追記:疑問や懸念が残る中、国家資格・公認心理師法に賛成なのか、疑問や懸念があるから、反対なのか?その主張がもっとも重要なのだと思います。そのことは、この「論点」には記載されていません。私は、前者であってほしいと思います。(2015年4月18日追記)

2015年4月11日 (土)

公認心理師法について(3)さあ船出のとき!

 臨床心理士養成大学院協議会の会報21号(2015年3月31日)に伊藤良子・国家資格検討委員会委員長が、「また、多くの臨床心理士が修正を願っている医師の指示条項については、大きな困難を乗り越えてチーム医療推進会議を厚生労働省に発足させた議員ご本人から「チーム医療を推進するためにも、医師の指示条項は弊害になるのではないですか?」とのご意見もいただきました。」と記載しています(5p)。

http://www.jagpcp.jp/letter/vol_21.pdf

 ここで疑問があります。この議員はどなたで、いつの発言なのだろうかと思います。議員ですから、公人であり氏名を伏せることはないと思います。

 ちなみに、「チーム医療の推進に関する検討会の報告書(平成22年3月)」が発刊されています。そのなかで、例えば、「保健師助産師看護師法(以下「保助看法」という。)第37条に規定する医師から看護師への「指示」については、看護師が患者の状態に応じて柔軟に対応できるよう、患者の病態の変化を予測し、その範囲内で看護師が実施すべき行為を一括して指示すること(包括的指示)も可能であると解されているが、「包括的指示」が成立するための具体的な要件はこれまで明確にされていない。」など、指示の課題が議論されています。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/dl/s0319-9a.pdf

 ここで重要なことは、この報告書のなかに、「臨床心理士」や「臨床心理技術者」という用語がないということです。文章を検索してもヒットしない。まして、「心理」という用語もないのです。委員のなかに心理専門家はいません。すなわち、心理専門家は「チーム医療」のなかに位置づけられていないのです。

 公認心理師法の公認心理師は診療補助職ではありません。その法案のなかに記載された42-2の「指示」が具体にどのような行為をさすのか、それは、「チーム医療」のなかにはいって議論し明確化していくことではないでしょうか。

 それとも、「チーム医療推進会議を厚生労働省に発足させた議員」を中心に、公認心理師法に替わる臨床心理職の国家資格法案が用意されていますか?そんな話は微塵もきいたことがありません。

 2011年3月15日、卒業式を中止した校長メッセージふと浮かんできました。

http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8549/

 いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。

  いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。

  海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 船出の時が来たのだ。思い出に沈殿するな。未来に向かえ。別れのカウントダウンが始まった。忘れようとしても忘れえぬであろう大震災の時のこの卒業の時を忘れるな。

  鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。愛される存在から愛する存在に変われ。愛に受け身はない。

伊藤先生!被災地で活躍しているお弟子さんたちと、一緒に船にのりましょう!

伊藤先生らの英知は荒れ狂う海のなか安全に舵をとり帆をすすめていく力になると思いますよ。

2015年4月 4日 (土)

公認心理師法について(2)公認心理師推進ネットの紹介

公認心理師推進ネットワークが、とてもよい情報発信をしています。日本臨床心理士会代議員選挙では、だれが推進派なのかがわかったし、Voiceのコーナーでは、臨床心理士からの熱いメッセージだけでなく、精神科医からのメッセージも寄せられています。

最新の松本俊彦先生のメッセージは圧巻で、まさに私が日頃感じていることを痛快に文章にしてくださっています。松本先生のメッセージに触発され、思いう浮かぶままに、書いてみました。

★臨床研究をやってほしい 

 修士論文は質問紙調査法による研究をやっても、臨床分野で仕事をしはじめるとパタリと調査研究から身を引いてしまう。日本の臨床心理士は、そのとうりです。一方尺度研究は、現場で使えるものがない。日本の基礎系心理学への警告ですね。

 大災害後、緊急支援にはいったスクールカウンセラーへのインターネット調査を日本臨床心理士資格認定協会の研究助成で行いました。また、日本心理臨床学会支援活動委員会では、発災から2年半後、ある県の養護教諭全員への心のケア・心のサポートアンケートを実施しました。それらの共同研究にあたってくれる人が極めて少ないことに驚きました。

 中国には、四川大地震後、日本心理臨床学会・日本臨床心理士会派遣で、2週間後に、四川省の隣の重慶の西南大学に支援にはいった経緯から、JICA四川大地震人材育成プロジェクトにかかわるようになり、中国の心理専門家と深く交流を続けています。中国は、基礎と臨床の両方をうまくすすめています。中国科学院という北京大学と双璧の研究者集団が、被災地に心理援助ステーションを作り、そこに滞在しながら、臨床研究も並行して進めていました。当時、このシステムだと、日本の臨床心理学はあっというまに、中国に遅れをとるだろうと思ったことが今まさに現実になろうとしています。

★大学教員の選考について

松本先生のメッセージのなかで、「臨床心理学の教員ポストは、学閥的サークル内のコネクションが重要であり、そのために、若い臨床心理士は、著名な臨床心理士の取り巻きとなったり、そうした人が主催するサロン的研究会に日参したりすることに熱心となる。」とありますが、少なくとも本学の教員選考に関しては、そのようなことはありません。学術誌の論文内容、論文数、第一著者の論文ばかりか、共著論文も評価対象になります。私の大学では、力動系、行動系、発達、トラウマ、精神保健とさまざまな分野のさまざまな方法論をもった研究者がチームワークよく仕事をしています。国立独立行政法人の多くの大学の人事選考はそうだと思います。ですから、若手の臨床心理士は医師との共同研究もどんどんやってほしいと思います。