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2022年12月 9日 (金)

生徒指導提要(改訂版)2022年12月公刊にあたって

生徒指導提要(改訂版)が公開され、TWやFBでは、絶賛の嵐です。私も、全ページプリントアウトしました。各章を担当された委員、全体にかかわってこられた委員のみなさん、そして全体をとりまとめた八並光俊座長に心より敬意を表します。また、編集にあたられた文部科学省の方々に心よりお礼申し上げます。
 この公刊が真に子どもの幸せに反映されるために、私は2つの課題を記しておきます。
 1つは、暴力、自殺、不登校、性暴力などの各章での課題未然防止教育を実践する「授業の枠」の課題です。
 例えば、暴力の章では、「暴力行為の未然防止をねらいとする教育としては、道徳科や特別活動などの時間と関連を図り、教職員が、暴力や非行をテーマとした授業を行う、」と記載になりっました。7月案(2022.7.21)では「暴力行為の未然防止をねらいとする教育としては、特別の教科である道徳、総合的な学習(探究)の時間、特別活動などの時間を活用し、
・教職員が、暴力や非行をテーマとした授業・ガイダンスを行うこと、
・外部の講師を招いて、暴力防止、非行防止、薬物乱用防止、ストレスマネジメント、アンガーマネジメントなどに関する講話を行うことなどが考えられます。」と記載されていました。7.21版の方が、授業枠が明記されていました。
 一方、自殺の章では、「例えば、「心の 危機理解」については、高等学校保健体育科の「精神疾患の予防と回復」や中学校保健体 育科「欲求やストレスへの対処と心の健康」、小学校体育科保健領域の「心の健康」、ある いは「総合的な学習(探究)の時間」等において実施することが考えられます。その際、 保健体育科の教員や学級・ホームルーム担任と養護教諭や SC、SSW 等が協働で授業づく りを行うなどの工夫が必要です。」と8.26最終版でが「総合的な学習」は明記されてなかったのが、明記されています。
 そんな些細なことをと思われる方もいるかもしれませんが、これはとても重要なことです。道徳が教科になる前には、東日本大震災被災地では、ストレスマネジメントとストレスチェックを含む心のケア授業(心のサポート授業)を、道徳の時間に行うことができていました。しかし、道徳の時間に公にはできなくなりました。授業時間の枠は特別活動(学級活動)の時間しかなくなりました。ストレスチェックさえできればいいのなら、朝の会とかでやればいいとなって、ストレスアンケートだけでは二次被害を与えてしまうことを理解していない管理職の学校では、子どもに、心に傷を与えてしまうという逆効果になってしまいます。
 2つ目は、1つ目の課題と関連するのですが、名称問題、冠問題です。ストレスマネジメント教育、アンガーマネジメント教育の推奨が改訂案には記載されていますが、それらは「心理学や医学や保健学」を学問背景に展開されてきたものであり、「メンタルヘルス教育」「心理健康教育」「心の健康教育」が大冠なのです。決して、道徳学から発展してきた教育ではないのです。現在の学習指導要領では、「心の健康」は保健体育の保健領域の一つなんです。ですから、第2章 生徒指導と教育課程 の節には、道徳科、総合的な学習、特別活動がありますが、心の健康はないのです。生徒支援を考えるなら、「心の健康科、道徳科、総合的な学習、特別活動」と記載されるべきです。しかし、それは学習指導要領の改訂によってしか実現しません。
 小学生の暴力が2015年くらいから徐々に増加して今日にいたっています。現在週3時間ですがスクールカウンセラーとして勤務しています。暴力に苦しんでいる学校から「心のサポート授業(心の健康授業)」の依頼が増えてきました。私は必ず担任と協働で授業を行うようにしています。授業の指導案はパワポで構成し、担任が発問し、児童が挙手して、担任が指名し、発言を私が板書します。小3以下では、「ストレス」という言葉を使わずに、表情絵を使い、出来事、気もちとからだ、くふうと表記して内容はストレスマネジメントを実践していきます。怒りは悪いものではないそれはどう取り扱うかということを、お湯を喩えて、子どもたちに説明し、怒りを自分で和らげる体験と怒りを自他尊重の表現に変える体験を提案しています。あるべき姿は、「心の教育」の時間を設け、そのもとに「道徳」と「心の健康」を置くことが、子どもたちにとっても、教員にとってもわかりやすいと思います。心の教育にとって重要な「教育相談」も、「心の健康」授業の枠で実施できるようになれば、道徳が教科になったとき悉皆研修が行われたように、教育相談も悉皆研修ができるようになるでしょう。それには、教員養成課程の「教育相談論」を「心の健康論(教育相談と心の健康)」の改革も必要でしょう。
 日本には、子どもの課題行動の予防と成長を促す「理論」と「方法」と「人材」(養護教諭やスクールカウンセラーなど)があります。あとは、システム・制度をよりよくしていくことです。そのシステム・制度をよりよくするためには、当事者が声をあげるしかないのです。ここで当事者とは「子ども」です。しかし、子どもは今与えられている教育があたりまえなので、声をあげることはできません。できるのは、子どもの教育にかかわっている「教師」「スクールカウンセラー」「スクールソーシャルワーカー」「スクールロイヤー(第三者委員会など)」「スクールポリス(学校問題サポートチームの警察官OB)」などと「保護者」です。大きなうねりをおこさなければ、この生徒指導要領(改訂版)は、ほんの一部の心の教育を真に理解している学校長の下だけの子どもにのみ反映されることになるでしょう。(この記事はFB冨永良喜・公開で掲載しています)

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