厚生労働省と文部科学省は、子どもの自殺防止のための「SOSの出し方教育プログラム」を展開しているようです。
Googleで検索すると、金子・井門・馬場・本橋「児童生徒のSOSの出し方に関する教育:全国展開に向けての3つの実践モデル」の論文がネットに掲載されています。そして、東京都教育委員会の小・中・高校対応のDVDが配信されています。みると、ストレスマネジメント理論をベースに構成しているようです。
このような教育プログラムが国の政策として提案されていることを大変うれしく思っています。おそらく子どもの自殺がとまらない、増加している対策として、発信されているのでしょう。
私の研究室である学生が卒論で取り組んだデータによれば、中学生で、いじめられたとき家族に相談をする子どもは57%、担任には26%でした。
最近、小学5年生に、いじめにあったときの相談行動を高めることをねらいとした「心のサポート授業」を行いました。指導案とワークシートを添付します。
ダウンロード - bullyingdisasterpowerpoint.pdf
ダウンロード - bullyingdisasterworksheet.pdf
私が留意したのは、
①児童の相談希求を授業のはじめとおわりに求め、授業が児童の相談希求意識の変化をもたらしたか検討する(もちろん、アンケートの回答と実際の相談行動とは異なるが)。
②いじめが心身につよいネガティブな影響を与えることを災害ストレスを例に伝える。
③いじめられている子が相談しずらいのはア。教師に相談するとかげでいじめがもっとひどくなることを恐れているから イ。いじめられていることがはずかしい(自分にも問題があるとまちがったメッセージを抱えている)と考え、この2つを払拭することをねらいとし、いじめられている子役(スクールカウンセラー)と担任とのロールプレイをいれた。
④いじめは、いじめている人がいじめをやめれば、いじめはなくなるにもかかわらず、いじめをしている人が、どのようなストレス、どのような心理でしているかを取り扱った教材がほとんどないため、いじめをしている人の心理やストレスを考える時間をとった。
⑤いじめをしていた子がカウンセラーにいじめをみとめ、被害をうけていた子に謝罪するロールプレイをみてもらった。
いじめを中心になっているAさん(君)といじめられているBさん(君)に焦点をあてた授業とした。以前、周りのみている子がいじめの解決に力をもっているとのメッセージを送るために、周りの子どもにできることを考えてもらったが、過去にいじめていた子が「助けてあげないとあかんやろ」という声をきいて、「むかついた」といじめをされていた児童の感想があったため、AさんとBさんに焦点化した。
道徳の教科書には、いじめの教材が増えたが、残念なことに、いじめ加害をした人が被害を受けた人に心から謝罪をしたのかどうかわからないもの(卒業文集の最後の2行)があったり、いじめられている子にも問題があるような印象を与える教材まである。これでは、授業が二次被害を与えてしまう。
中国からの留学生がいいました。「中国は首飾りをつくるときまずひもを用意します。日本は玉を一つ一つみがきます」と。中国は四川大地震のあと、道徳とは別に「心理健康教育」を教科にして、小1から週1コマを必須としました。「SOSの出し方教育」がひとつの玉におわり、全国のどの学校でも実施されないうちに消えていくのではないかと危惧しています。それと、子どもにとってストレスは、試験・試合などもあり、メンタルトレーニングをどの子どもも授業で経験できる日本になってほしいです。また、自分がどのていどストレスをかかえているのか、ストレスチェックを、自分のストレスを知り良い対処法を学ぶための自分教材として提案することも、子どもが自分のストレスと真剣に向き合う機会になると思います。
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