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2019年8月17日 (土)

災害後の子どもの心のケア(9)第11回アジア災害トラウマ心理援助国際学術大会-中国・昆明-1報

2019年8月16日雲南省・昆明で、第11回アジア災害トラウマ心理援助国際学術大会が開催されている。午前中は、まず、一丸藤太郎先生の講演「広島原子爆弾被害者の人生」があり、広島の6名の臨床心理士による原爆被害者へのインタビュー調査に基づいた知見を発表された。次に、刘正奎(中国科学院心理研究所)先生が「四川大地震で子どもを亡くした親の悲嘆のプロセス」をインタビューと量的な調査によりキューブラロスの段階モデルに基づいて考察した。そして、韓国から李延明先生による「セオル号の遺族や支援者への動作をとおした支援」の講演があった。心のケアセンターを政府が設置しても、遺族は心のケアを拒否・拒絶したなかで、受け入れられたのがマッサージや動作をとおした支援であったと報告された。阪神・淡路大震災での心のケアと全く同じ反応を被災された方(ご遺族)はされたわけである。CBT,EMDRに加えて「動作」を介入に加えることが少なくともアジアの災害後の心理支援のモデルになるのではと思った。
 午後は、楊婉秋先生(雲南大学心理健康心理センター副教授)の「雲南昭通地震後の被災者のレジリエンスとPTSD」に関する発表ではじまった。2014年8月3日に雲南省・昭通市で発生した地震から18か月後の12名の被災者(PTSD6名と非PTSD6名)のレジリエンスのリスク因と保護因を研究仮説にしたインタビュー調査による発表であった。
 午前中の刘先生の発表や楊先生の発表を聞き思ったことは、中国での災害被災者の心理に関する量的・質的研究の充実である。災害被災者を対象とした研究のむつかしさを中国は乗り越えようとしている。
 隋双戈先生の「未成年性被害者の心理社会的支援」の講演では、深圳市春風支援センターを立ち上げ、性被害者の支援を続けてこられた経験を話された。EMDRを心理療法として活用しているとのことであった。
 座談会では、マレーシア(陳如湘先生)、日本(冨永)、中国(大会を主催した蒋忠亮先生)、韓国(李先生)から10分ずつの話題提供があり、フロアから活発な発言があった。私は「日本の自殺は、大人では減少しているが、子どもはここ5年に増加しており、いじめを苦にした中学生自殺事件を契機に、いじめ対策推進法が制定され、予防対応に、「道徳」を据えたこと。日本の心の健康授業は、正規には小学校中学校9年間でたった6時間しかない。四川大地震後四川省教育庁は2008年9月から心理健康授業を必須にしたと聞いているが、雲南省での心理健康授業についてフロアから意見を聴きたい」と発言した。フロアからの発言の時間になると、雲南省の中学教師の方が、心理健康授業に夢と希望をもって取り組んでいると熱く語られた。
 夕食時に、一丸先生、高橋先生らと通訳の大学院生と刘先生を囲んで、心理健康教育の現状を詳しく聞いた。刘先生は小中高の心理健康授業の指導書・教科書を編集したとのことであった。中国政府は各学校に心理健康授業を導入することを推奨しており、心理健康授業を取り入れる学校が増えているとのことであった。心理健康授業を取り入れている学校には心理健康教師がいて、3つのレベルがあることも教えてくれた。
 日本はどうだろう。被災地では、道徳の時間に、心のサポート授業(ストレスマネジメントなどの心の健康授業)をやれていたが、道徳の教科化でできなくなった。正規には小学5・6年と中学の保健体育にしか、ストレスについての単元がない。小1から、怒りや緊張にどう対処したらいいかを学ぶ授業をやりたいが、正規の授業時間が確保されてない。
 いじめ・自殺の防止対策を、道徳学者にゆだねている日本の教育政策に多くの人が疑問を抱いている。道徳の教科書に、いじめをテーマにした教材が増えた。しかし、いじめ被害にあった者が問題であると読み取れる教材がある。いじめ被害者よりいじめ加害者の方が心の傷が深いと読み取れる教材もある。なにより、いじめによりどのような心身反応が生じ、どうすれば反応を収めていくことができるのかという視点での教材は道徳の教科書にはない。第三者委員会の報告を受けて「子どもの自殺はいじめが原因」とマスメディアは流す。大人も子どももこの情報にしか接することがなければ、「いじめられたら自殺する」といった刷り込みが行われてはいないだろうか。
なぜ、中国でできたことが日本でできないのだろうか。小学校1年から道徳の年間35コマのうち5コマでいい、「心の健康授業」ができるようにしてほしい。特に、内容項目の「節度節制」は教材「かぼちゃのつる」に代表されるように、道徳の方法論では、むしろ、子どものストレス障害(うつや心身症など)のリスクを高めることを、文部科学省の職員と国会議員ははやく気づいてほしい。

 

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