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2019年4月

2019年4月29日 (月)

親からの性虐待(1)江川紹子さんの記事から

江川紹子さんの記事
[裁判所はなぜ、娘に性的虐待を続けていた父親を無罪としたのか](Yahoo!ニュース、4・28)
判決書を引用しながら、名古屋地裁岡崎支部が3月26日に下した判決について江川さんが発信しています。

判決書を引用しながら、検察の証拠の不備を指摘しています。
そのなかの、下記の判決書の引用は、とても気になります。それは、「Aの本件各性交時の記憶が比較的良く保たれている」「解離性障害の程度に関する心理検査も実施されていなかった」という記述です。トラウマに関わる仕事をしている専門家なら、鮮明な記憶とあいまいな記憶の相反する記憶がトラウマ記憶の特徴であり、「記憶が比較的良く保たれている」からというのは、トラウマ記憶の一側面しかとらえていないのではないでしょうか。また「解離性障害の程度に関する心理検査も実施されていなかった」という記述から、PTSDの最も信頼性の高い検査であるPTSD臨床診断面接尺度(CAPS)も実施してなかったのでしょうか。
「抗拒不能」自体が、行動だけでなく心理・精神の活動を反映した用語である以上、どのような心理・精神の検査や医師との面接診断がなされたか、知りたいところです。江川さんの記事では、証拠はすべて検察が用意しなければならないと受け取れる記載がありますが、裁判官は精神医学や心理検査の知識をもってなくていいということでしょうか。
常識感覚と全く乖離していることから、この判決を機に、おそらく法改正が求められる判例になるのではと思います。

以下、記事より抜粋。
〈検察官は、この点をAが抗拒不能の状態に陥っていた裏付け事情の1つとして上げているが、Aの本件各性交時の記憶が比較的良く保たれていることに加え、鑑定においてAにつき解離性障害の程度に関する心理検査も実施されていなかったことからすると(中略)抗拒不能状態の裏付けとなるほどの強い離人状態(乖離状態)にまで陥っていたものとは判断できない〉
出典:判決書

2019年4月18日 (木)

親からの性虐待で苦しむ人への強力なサポーター(4)ペコちゃんのメッセージ:親への怒りについて

宮本ゆかりさんのブログの紹介に、ペコちゃんのブログ「性虐待サバイバーの未来」を紹介させていただきました。今日は、そこで記載されている「親への怒りについて」(2019年3月15日掲載)を読んで思ったことを書いてみます。(「」は本文から引用)

「自分がこんなに苦しいのは親のせいだとか、親に謝ってほしい、という気持ちが出てくるのはプロセスとして当然のこと。
遅まきながら、不当な扱いを受けていたことに気づき、怒りを感じるのは当たり前です。」

「遅まきながら」とは、なかなか怒りの感情が心にあるということを認めたり受けとめたりするのがむつかしいことを意味しているのだと思います。心の奥に、ずっとしまって、がんばってきた。トラウマを体験した方は、その深い心の傷を抱えた一方、もともともっている能力や資質ですぐれている自分をがんばっていきていくことで、その深い傷に気づかないように、切り離して生きぬいていかれる方が多いと思います。ペコちゃんは次に、ものすごく大切なことを書かれています。

「むしろそういう本当の感情が出てこない方が危ない。危ないからこそ感情を抑圧し、しっかり箱にしまって鍵をかけてあるのですもんね。一気に箱の蓋を開けると、自分が吹き飛んでしまって、壊れかねないくらい強いのかもしれません。」

この文は田嶌誠一さんの<壺イメージ療法>そのものですよね。このトラウマの記憶の箱には、激しい怒りと深い悲しみが詰め込まれていて、すごいエネルギーをもっています。だから、ずっと鍵をかけて封印していて「本当の感情が出てこない」のも危ない。「一気に箱の蓋を開け」ても危ない。

ではどうすればいいのでしょうか。ポイントは、Gradual Exposure(段階的エクスポージャー:少しずつ少しずつ触れては離れそこで沸き上がる感情をコントロールする、そうはいってもそれがむつかしい、ふれすぎて、自分の感情に圧倒されてしまうことがありますよね)私は、トラウマイメージ動作療法で、眠りのためのリラクセーションなどまずは日常生活を送るのにプラスになるような体験を提案します。つぎに<体験の内容を語らなくてもいいですよ>と伝えて、まず、トラウマ記憶の箱やイメージと距離をとる練習を提案します。
長時間エクスポージャー療法は、トラウマの記憶を現在形で語ることを3セッション目から求めます。しかし、このトラウマナラティブの前に、マインドフルネスなどトラウマによって引き起こされる症状をやわらげる方法を身に着けることが、「一気」に歯止めをかけ、少しずつ、向き合う心の準備ができていくのではないでしょうか。

そしてさらに、最も大事なことを書かれています。

「パンドラの箱を開けるには、まず、開けても大丈夫な自分の土台を作ることだと思います。」

EMDRでは、安心できる場所のイメージから取り組みますよね。私はイメージもですが、現実に、自分がやっていて少しでも充実感のある活動を大事にしてはどうかといつも提案してきました。高校生の性被害のケースでピアノを弾くのが好きで得意であれば、トラウマの反応や記憶に取り組む前後に、面接室に置いているピアノを実際に弾いてみることを提案したりもしました。自分ができていることやれていることを認めてあげて、自分を信頼することが大切だよとペコちゃんは言われているんだと思います。

「重大なトラウマを抱えている場合は、一気に開けると、日常生活が送れなくなってしまうこともあるので、小出しにしたり、一旦、棚に上げてまた日常に戻ったり。私もいろんなことを試しました。
行きつ戻りつ。逆戻りしているのかと思うことも何度もありましたが、そうではなくて、上の蓋が開かないと感じられない感情がたくさんある、ということだったと思います。」

「小出しに」「一旦、棚に上げ」「上の蓋が開かないと」・・・まさに、田嶌さんが提案した技法そのものですよね。

そして、「原家族以外との人との信頼関係」を築くことがとても重要と綴っています。

「怒りや悲しみを感じるために必要なのは、まず自分への信頼
自分を頼りにする、という感覚が少しでも持てていることと、原家族以外の人との信頼関係、つまり安全を確保することは必須ですよね。
自分ひとりではなく、爆風を受けとめてくれるパートナーや、支えてくれる友人、カウンセラーなど、周囲のサポート体制を作っておく方が安全です。」

このペコちゃんのブログも、多くの人の学びになると思います。

 

2019年4月15日 (月)

親からの性虐待で苦しむ人への強力なサポーター(3)山本潤さんのメッセージ

実の娘(当時19)と性交したとして準強制性交等罪に問われていた男性被告に、一審・名古屋地裁岡崎支部は無罪判決を言い渡し(2019年3月26日)、twitterなどで、裁判官の罷免を求める運動が起きています。


刑法の問題点を伊藤和子弁護士が、判決文(<>で抜粋)を引用しながらわかりやすく解説しています。


「19歳の娘に対する父親の性行為はなぜ無罪放免になったのか。判決文から見える刑法・性犯罪規定の問題
伊藤和子 | 弁護士」2019・4・11・0:23Yahooニュース


刑法178条の2項、準強制性交等罪は、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。」
精神科医から、女性は抗拒不能な心理状態だった、という鑑定意見が出ている
<鑑定意見などによって裁判所の判断は左右されない>
<Aが本件各性交時において抗拒不能状態の裏付けとなるほどの強い離人状態(解離状態)にまで陥っていたものとは判断できない>
そこには法律の問題があるようです。


「なぜ、娘と性交で「無罪」なのか? 被害者が明かす、実父の性暴力に抵抗できない理由」2019.4.13 AERAdot
「抗拒不能な心理状態」について、山本潤さんの著書を引用して、AERAdotが記事を掲載しています。
「同じく実父により、13歳から7年間にわたって性暴力を受けていた女性がいる。性暴力被害者支援看護師として活動をする山本潤さんだ。
山本さん自身も、状況的に抵抗が困難だったわけではないようにみえるにもかかわらず、被害に遭っているときは、父親に抵抗することが適わなかった。
それは、なぜだったのか? 被害者だからこそわかる当時の心境を『13歳、「私」をなくした私』(朝日新聞出版)から紹介する。」
その本の 第2章刻印 なぜ逃げられなかった?(56p)から、


<トラウマになるような「死ぬかもしれない」と思わされる出来事に遭遇すると、人間の身体は生き残ることに全てを集中させる。
脳のスイッチが切り替わり、人間がサバンナにいたころから用いてきた生き残り戦略が優先されるのだ。
 そして逃げることも戦うこともできないとき、もう一つの自衛策としてフリーズ(凍りつき)が起こる。
医学生物物理学博士で心理学博士であるピーター・リヴァイン氏は、フリーズ(凍りつき)も逃走や戦闘と同じように、
生き残るためには普遍的で基本的なものだと述べている。> <>はこの記事、本57pより抜粋。


Peter.A.Levine 博士は、1942年生まれ、Somatic Experience というPTSDの治療法を開発した人です。
日本にもこの療法のサイトが立ち上がっているようです。YouTubeで、PTSDの元兵士への療法のセッションがみれるようです。
長時間エクスポージャー療法が、トラウマ体験の語りを求めるのに対して、この療法は、フリーズした身体のエネルギーをゆるやかに
解き放つ技法で治療を展開していくという点が大きく異なるようです。それは、イメージ動作療法とも相通じるものがありますね。


 


山本さんの本には、「初めてのカウンセリング体験は大失敗」との記載もあります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「実は父親に体を触られていたんです」
彼女(カウンセラー)は大げさに顔をしかめた。
そして胸の前で両手を握りしめ、身を乗り出して、
「まぁ、かわいそうに」と言った。
・・・
私は自分の経験が理解されたと感じられなかった。
どうしてこういう症状が起こっているのかという説明もされなかった。
・・・
専門家への強い不信感だけを刻んで、私のカウンセリング体験は終わった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1996年のことのようです。1995年に阪神淡路大震災が起き、わが国で、はじめてPTSDが専門家に理解されはじめようとしていた時期です。
今では、トラウマについて、専門家はかなり知識を得てきたと思いますが、
公認心理師・臨床心理士及び卵は、この山本さんの声をしっかり受けとめないといけないと思います。
専門家として相談をうける以上、トラウマの知識と、被害に遭われた方の接し方は、臨床の場にでるまえに、学んでなければなりません。


私は、山本潤さんや宮本ゆかりさんのように、過去に被害にあった人が、日々の生活をしっかり送られているその姿が、
今被害にあって苦しんでいる人、過去に被害にあってトラウマの症状に今苦しんでいる人に、希望と勇気のエネルギーを送るのだと思います。


犯罪被害者の声が、犯罪被害者等基本法の制定に大きな力を果たしたように、
親からの性被害や虐待を受けた人の声が、日本の法律を変え、日本の教育を変え、日本の医療を変え、日本のカウンセリングを変え、一人一人が人権を大切にできる日本に変えていく力になると、思っています。

2019年4月10日 (水)

親からの性虐待で苦しむ人たちの強力なサポーター(2)宮本ゆかりさんのブログを読んで

私は、宮本ゆかりさんが、なぜ父親の性虐待によるPTSD・うつ・自殺念慮・リストカットなどさまざまな症状からから解放され、
サバイバーからサポーターになろうと、そして、なっていったのか、知りたいと思いました。
それは、同じように苦しんでいる人に立ち会っている臨床心理士や公認心理師が知っておくべきことだと思いました。
彼女は、「『毒になる親』は私のバイブル本となりました。」とブログに記しています。
恥ずかしながら、この本を読んでなかったので、さっそく新書版を取り寄せました。
スーザン・フォワード『毒になる親』訳:玉置悟2001年・講談社
訳者あとがきに、毎日新聞社が1999年に翻訳本をだしており、講談社版は、「セラピィーの実際」を削除していると、書かれていました。
Susan Forword(1989)Toxic Parents: Overcoming Their Hurtful Legacy and Reclaiming Your Life.
Susan Forwordさんは1938年生まれ、80歳とのこと。50歳のときに書いた本ですね。
もし、虐待の被害でいま苦しんでいる人には、はじめ→第2部 と読まれた方がいいかもしれません。
第1部「毒になる親」とはどんな親か
第2部「毒になる親」から人生を取り戻す道
第2部は、第9章「毒になる親」を許す必要はない からはじまります。「あなたが自分に対して良好な感情を持ち、自滅的な人生を
建設的なものに変えうるためには、必ずしも親を許す必要はないのである」と記載しています。
「罪もない無垢な子供を恐怖に陥れ、あるいは心や体を傷つけて苦痛を与え虐待した親の責任を、免除しなくてはならない理由はどこにあるのだろうか」と。
そして、「親を「許した」と言っている多くの人たちは、本当の感情を心の奥に押し込んでいるに過ぎず、そのために心の健康の回復が
妨げられていたのである。」と記し、「ひどい思いをさせられた人間は、「怒り」という感情を抑えておかずに外に出す必要がある」と。
そしてこの章の結びに「「毒になる親」の支配から自己を解放した者は、必ずしも親を許さなくても心の健康と平和を取り戻すことができている。
そのような解放は、自分が内面に抱える「激しい怒り」と「深い悲しみ」というふたつの感情と正直に取り組み、苦しみの原因となったことの責任を
本来負わなければならない人間、すなわち害毒を与えた親の両肩に返すことができて、はじめて可能となっているのである。」と記している。
もし、虐待を受けて育ち、今結婚して、自分がわが子を虐待してしまうのではないかと恐れてる人は、
第14章「毒になる親」にならないために から読んでみるといいでしょう。

 

2019年4月 7日 (日)

親からの性虐待で苦しむ人たちへの力強いサポーター

性虐待は、PTSD、解離、うつと様々に強い心身症状を引き起こし、長きにわたり、人を苦しめます。
昨日、毎日新聞に下記の記事が発信されました。

 

父からの性的虐待 被害女性が実名で相談応じる 「体験者同士で話すと心が軽くなる」(毎日新聞:2019年4月6日)

 

宮本ゆかりさんはブログ「性的虐待・・性虐待はなぜ起きる」を立ち上げて、「これからの子供達を性的虐待から守ることが出来るのか、不幸にも私と同じ様な体験をしてしまった人達には何が必要かを考えて行きたいと思います。」とサバイバーからサポーターへの道を歩みはじめています。宮本さんは、ブログで、サバイバー仲間のペコちゃんのブログ「性虐待サバイバーの未来」も紹介されています。

ペコちゃんのブログも、大変勉強になり、参考になります。

臨床心理士・公認心理師は、必ず、心理臨床のなかで(学校で、医療で、福祉で、全ての分野で)犯罪被害(虐待も含む)にあわれた方と出会います。でも、トラウマについて学んでないと、適切な支援ができません。

この2つのブログは、これからの支援にとって、とても重要なメッセージをたくさん含んでいますので、心理専門家だけでなく心理専門職をめざす大学院学生さんも必読のブログです。

 

いじめアンケートをネットで検索してみた(3)

東京都教育委員会が発信している「いじめ発見のチェックシート」が私たちが提案したチェックシートに最も近いですね。

生活意識調査 と題して

「問題事象の未然防止に向けた生徒指導の取り組み方(平成22年6月 国立教育政策研究 所生徒指導研究センター)」p.18~21
の引用を明記しています。

学校生活や友人関係に関するアンケート

問1 あなたの今の気持ちについて、いくつか質問します。

ア。学校が楽しい よくあてはまる どちらかといえばあてはまる あままらない 全然あてはまらない

の4件法でたずね、6項目ならんでいます。

問2 は、ストレスについてのようです。これも4件法で12項目ならんでいます。

(これは、早稲田グループが開発した小学生版ストレス反応尺度(嶋田・戸ヶ崎・坂野、1994)の20項目中11項目が

全く同じで、元気がでない だけオリジナルの項目のようだ。せめて、原典を引用してほしいですね。)

問5には、いじめ被害の行動リストが

ア、仲間はずれにされたり、無視されたり、陰で悪口を 言われたりした  一週間になんども 1週間に1回くらい 月に2-3回  今までに1-2回 全然されなかった

の5件法で。

項目は、 6項目。

問6には、いじめ加害の行動リストが
ア 仲間はずれにしたり、無視したり、陰で悪口を言ったりした

これも同じく5件法で、

項目は、被害と同じ6項目。

しかし、いじめ発見の質問例としては、

いじめ被害の行動のリストに ある・ない の2件法で、いじめ加害の行動のリストは記載されてないようだ。

東京都はスクールカウンセラーによる全員面談をやっていて、その実施要領が記載されている。

これは、私たちの提案しているチェックリストにずいぶん近いが、ストレスチェックは、自分がどれくらいストレスを感じているか

セルフモニタリングできるように参考値を記載してあげるといい。

いじめ加害は悪いと分かっていても、やめられない児童生徒に、ストレスの観点から、自分をみつめなおす機会になるからである。

2019年4月 5日 (金)

いじめアンケートをネットで検索してみた(2)

神奈川県の発信しているいじめ早期発見・早期対応のためのアンケートについての配慮事項のページには
アンケートを二つ折りにして回収する、このアンケートは、担任の先生だけでなく、校長先生や学校の先生みんなで確認します。
といったインフォームドコンセントが丁寧に書かれています。
しかし、実際のアンケートは、いじめ被害の行動のリストと周りの人の被害の行動のリストのみで、自分のいじめ加害のリストはありません。
私が20年前に行ったある市でのいじめ対応のためのアンケートにはいじめ加害のリストもいれて実施しました。
結構、児童生徒はいじめ加害にもチェックをいれていました。

 

国立教育政策研究所のホームページには、「被害者や加害者の発見が目的ではない」と大きくいじめアンケートの趣旨を掲載しています。
・早期発見に役立てようと、記名式アンケートを行っても多くは手遅れ。
・深刻な事例ほど記名式では回答しづらい。
・いじめアンケートを行う目的は、過去の経験率を知ることであり、無記名が望ましい。
と記載しています。

 

この見解は一理はありますが、アンケートの回答を児童生徒の表現(言葉のボールを教師に投げた)と考えれば、そのボールを
どのように、だれに返してあげるか、それを考えるべきです。
20年前のある市での実践では、いじめアンケートを行ったのち、それを学年・学校の児童生徒、保護者に、〇月から〇月の間、無視されたり仲間外れにされたと回答した人は
〇%で、無視したり仲間外れにしたと回答した人は〇%でした。など、結果をフィードバックし、この現状をどう変えていったらいいかを
児童生徒・保護者に考えてもらうきっかけにしました。その点、いじめ被害・加害の児童生徒を発見するためではなく、いじめの
解消に向けた取り組みの一環として、行うという位置づけはうなずけます。
しかし、無記名を基本とし、相談したいものは名前を書いて下さい、そして、ストレスのチェック、怒り、悲しみ、眠れないなどは
などには比較的回答しやすいので、教師も児童生徒がどのような心身反応を抱えているかを想像するきっかけにもなります。
その結果、いじめ被害・加害を発見しやすくなるのではと考えられます。

 

しかし、私たちが提案した「生活をふりかえるアンケート(いじめ被害・加害・ストレスアンケート:BullyingStressCheckList:BSCL))と、さまざまな県で実施されている
あてはまるものに〇をという方法のアンケート(BullyingYesCheck:BYC)との比較研究が必要です。

 

研究仮説は「BSCLの方がBYCよりも、いじめ被害の申告率が高くなる」です。
これを検証するためには、実施順序をクラスごとにカウンターバランスしないといけないでしょう。

2019年4月 4日 (木)

いじめアンケートをネットで検索してみた

いじめアンケートをネット検索してみた。

某県教育委員会のHpに「いじめのアンケート調査」の調査用紙が掲載されていた。

児童生徒用には

「私たちは、「いじめ」を絶対に許しません。いじめられている児童生徒を徹底して守り通します。」
と大きな字でアンケート用紙のtopに書かれており、つぎに、いじめの例示があり
1.私はいじめを受けている アあてはまる イあてはまらない
2.私は人をいじめている アあてはまる イあてはまらない

と続いていく。

このメッセージを受けて、アンケートに児童生徒は回答していくのですが、どうでしょうか?

いじめている子のいじめの行為が許されないのであって、いじめている子の健全な心をサポートし、

抱えているストレスや悩みの相談に大人はのるからね、という姿勢が教師には求められるのではないでしょうか。

アンケートの時間を「自分の心や行動をすなおにみつめなおす時間」とすることと、いじめ防止の強いメッセージを送ることとがごっちゃになっていませんか?

いじめている子は、いじめはやってはいけないとわかっている子が多いと思います。だけど、やってしまっている。

そして、いじめがトラウマの反応を引き起こし、心に強い打撃をあたえ、悪夢をみたり、勉強に集中できなくなったり、自分を責めなくてもいいのに責めてしまったり、人が信じられなくなったり、長くネガティブな影響を与えることを伝えて、いじめられることは恥ずかしいことでない、いじめはいじめる人の心の問題なんです。だけら、これをきっかけに、正直にアンケートに回答してほしいと思います。

といって実施した方がいいと思いませんか。

私は長く災害後の心のケアに携わってきました。

学会や職能団体から、いじめアンケートについて、子どもたちの声を聴き、望ましいひながたを提案する必要があることを、これらのネット検索で痛感しています。

 

生活をふりかえるアンケート(いじめ被害・加害・ストレスチェックリスト)

BullyingstresssheetBullyingstresskaisetsu 毎年いじめを苦にした自殺が報じられ、日本は、子どもの自殺がこの30年間で最多(BBCニュース2018年11月6日)と報じられています。
子どもの自殺が起きたとき、第3者委員会を設置して事実関係をあきらかにするのはいいのですが、報道では「自殺の原因はいじめ」と
報じられ続けています。このメッセージを子どもも大人も、「いじめられたら自殺する」と、やってはいけない対処のメッセージを暗々裏に
受け取ってしまっているのではないでしょうか。
虐待の問題も、いじめの問題も、政府は、もっと予防にも力をいれるべきです。虐待もいじめも人権を侵害する暴力です。
暴力が人の心身に深い傷をつけることを人は知るべきです。道徳だけでなく、健康教育を小1から実施すべきです。
暴力やいじめが心身に与える影響を研究してきた学問は道徳ではなく、健康学(医学・心理学)です。
それらの知見をわかりやすく、子どもに伝え、暴力やいじめを使わないストレス対処を小さいころから学ぶ環境を用意すべきです。

 

ところで、いじめを早期に発見するために各学校は年に3回はいじめのアンケートが実施されています。
その多くは、不完全なものが多いです。
例えば
①「あてはまるものに、〇をしましょう。」と、いじめ行動がつぎにリストアップされています。
 1.みんなから仲間外れや無視された。2.いやなことをやらされた。3.物をかくされたりとられたりした。・・・などなど。
 いじめられることは大変苦痛な体験です。命を脅かす体験をトラウマといいますが、いじめも広義のトラウマといえます。
トラウマの反応のひとつに「回避」があります。考えたくない(思考回避)という反応を抱えますので、できるだけ避けたいのです。
あっても、向き合いたくない。そういった心理が働くことがあります。この設問では、「なかったのか」「みおとしたのか」
「あったのにつけたくなかった」のかわかりません。それで、ア。なかった イ。1-2回あった ウ。何回もあった のなかから
一つ〇をしてもらうようにします。「何回もあった」のに「なかった」にチェックするのはとても勇気がいるでしょう。
何回もあったのだけど「1-2回あった」に〇をするかもしれません。
②いじめ加害がリストアップされていない。
「みんなから仲間外れや無視された」 といじめ被害の行動はリストアップされていても、
「だれかを仲間外れにしたり無視した」といったいじめ加害の行動がリストアップされていません。
 いじめはいじめ加害がなくなるといじめはなくなるのです。いじめ被害だけのリストアップなら、暗々裏に
「いじめられる子にも問題がある」「いじめられる子にも悪いところがある」と誤ったいじめの意識を送ってしまうことになります。
③ストレスチェックを同時にやりたい。
いじめ加害を中心にやっている人は、家庭ストレスを抱えている傾向があることが私たちの調査研究でわかっています。親ストレスです。
「・・しなさいと命令される」などです。親は良かれと思って指示しているのが、子どもにとってたまらなくストレスになっている。
でも親には反抗できない。むしゃくしゃした気分をいじめで発散しようという心理です。怒りが高いでしょう。
反対に、いじめられている子は、悲しみが高いかもしれません。いじめ加害被害が、全部、ない、でもストレス得点が高ければ、この子は
どんなストレスを抱えているだろうと考えることができます。

 

1997年いじめ対策としてある市のスクールカウンセラーとして配置され、教員といっしょに、いじめ被害・加害・ストレスの調査を実施し、
その実態を児童生徒や保護者にフィードバックし、いじめ防止授業を体験的な学習もとりいれ実施して、いじめの軽減をはかりました。
もう20年以上も前にです。
ここに添付した「生活をふりかえるアンケート(いじめ被害・加害・ストレスチェックリスト)は、いじめ防止の教育活動を評価することにも
使えます。どうぞ活用ください。

久田先生がpdfファイルを下記のサイトにぶらさげてくれださいました。pdfファイル ここをクリックするとpdfファイルのサイトに行きます。

 

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