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2018年9月13日 (木)

公認心理師試験 問95ストレスコーピング 

95 ストレスコーピングについて、正しいものを1つ選べ。

各社の正解を列挙しましたが、③と④にわれています。

コム二タス肢別解答率表 1.8 2.1 10.6 80.0 5.5

イプサIPSA心理学大学院予備校 

ヒカリ 

和光  

プロロゴス :理由:③と④で悩んだ。④の文章は文意がよく分からない。二次的評価がラザルスのストレス評価説のことを指しているのならば、二次的評価は「ストレッサーに対して対処できるかどうか」の評価である。二次的評価によってその後コーピングを行うというのがストレス評価説の考えと思われるが、④では二次的評価の前にコーピングの結果が来るので、とにかく文章がよく分からないけど誤りではないかと判断した。消去法で③を正解とした。なお、コーピングのコストはネットで調べると、「積極的なコーピング(問題焦点型コーピングなど)を使っていると、その行為によって返って疲れる」ということらしい。それが③の文章と同意であるのかもよく分からない。かなり自信なし。

 

プロロゴスは、理由を記載していますね。『ストレス心理学』小杉正太郎編著 川島書店 と『ストレスの心理学』R.S.ラザルス&S.フォルクマン(1984/1991)実務教育出版から引用してみます。

 

コーピングを続けているうちに疲労が蓄積することを、コーピングのコストという。

 

コーエンら(CohenEvans,Stokols,et al.,1986)は1986年に「コーピングのコスト(costs of coping)」という概念を提唱し、それまで問題解決の促進やストレス反応の低減に有効であると考えられていた積極的なコーピング方略の短所について指摘した。彼らは、積極的な対処努力によって状況の改善に成功し、対処努力に伴う以下の3種類のコストが個人の健康や行動に有害な影響を及ぼすと主張した。

 1番目のコストは、蓄積疲労であり、ストレスフルな状況に長期間、積極的に対処することによって、生理的・心理的エネルギー量が低下した状態をいう。2目のコストは、コーピングによる副次的影響である。これは積極的なコーピング方略自体が本来、覚醒レベル生理的反応を上昇させること、直面している状況への対処努力の集中が、健康維持活動などに振り向ける努力を相対的に低下させること、などをいう。3番目のコストは、方略使用に過度の一般化である。これはある状況で対処に成功したコーピング方略を、その後に体験するいかなる状況でも一貫して用いることであり、その方略が状況に不適切な場合、ストレス反応が上昇する。 島津明人(2002) pp.51-52 『ストレス心理学』小杉正太郎編著 3章 川島書店

 

「コーピングのコスト」のコーピングとは「積極的コーピング、すなわち問題焦点型コーピング」をさしている。例えば、「寝ないで試験勉強をする」といったコーピングは、疲労を蓄積させるのは当然のことである。「積極的(問題焦点型)コーピングを続けているうちに・・・」であれば、正解であろうか。ただ、コストには3つあり、蓄積疲労、覚醒レベル上昇による副次的影響、方略使用の過度の一般化である。

また、コーピングには大別して、問題焦点型コーピングと情動焦点型コーピングがある。

 

評価は、対処行動が情動調整する傾向をもつものか(情動中心の対処)あるいは、その問題を軽減するためのものか(問題中心の対処)区別できるものであることがわかった。R.S.ラザルス&S.フォルクマン(1984/199144p

 

「コーピング」が「情動焦点型コーピング」を含めたものであれば、は正解といいきれるだろうか。また、「コーピングのコストとは、積極的コーピングを続けているうちに疲労が蓄積することなどをいう」であれば、正解だろうが。概念の包含関係が吟味されているのだろうか。ただし、Cohen,Evans,Stokols,et al.,1986の原著を読んでないので、正解とも不正解とも判断しかねる。

 

コーピングの結果は、二次的評価というプロセスによって、それ以降の状況の評価に影響を与える。

 

以下、『ストレスの心理学』R.S.ラザルス&S.フォルクマン(1984/1991)実務教育出版から抜粋してみる。

 

一次的評価は、無関係、無害―肯定的、ストレスフルの3種類に区別される。33p

 

我々が危険に陥っている場合、それが脅威であろうと挑戦であろうと、何とかしてその状況を切り抜けなければならないのであるが、この場合、評価のもう一つの形態である、二次的評価が顕著となる。…それ(二次的評価)は複雑な評価プロセスであり、どのような対処方法が可能か、その対処方法で思ったとおりに成し遂げられそうか、そして、特定の手段を適用できそうかなどを考慮している。

対処選択の二次的評価と、何が危ういかという判断となる一次評価とは、ストレスの程度や、情動反応の強度や質(または内容)を定める際に、相互に影響を及ぼしている。(36p

 

対処とは「能力や技能を使い果たしてしまうと判断され自分の力だけではどうすることもできないとみなされるような、特定の環境からの強制と自分自身の内部からの強制の双方を、あるいはいずれか一方を、適切に処理し統制していこうとなされる、絶えず変化していく認知的努力と行動による努力」である。我々の定義は、伝統的な定義に対して次のような点を明確にしている。対処はプロセスであり、特性とは明確に区別される。プロセスは絶えず変化していくもので、特定の圧力や強制に対して起こるものであり、その結果、様々な葛藤を伴うことになる。対処のプロセスは単なる自動的な適応行動とは異なり、自らの評価に基づいて起こるものであり、このような評価によって自分のもつ能力や技能を著しく使い果たしてしまうと判断されるような、また自分の力ではもはやどうすることもできないと見なされるような、自分自身の内部や外部からの強制的な圧力に対して起こるものである。・・・・pp.143-144 

 

コーピングの結果は、二次的評価というプロセスによって、それ以降の状況の評価に影響を与える。

 

あるコーピングの結果が、二次的評価により(例えば、つぎはその対処方法で成し遂げられそうだ)との対処選択(coping options)を行い,それ以降の状況の評価(一次的評価と二次的評価)に影響を与える。

と考えれば、R.S.ラザルス&S.フォルクマン(1984/1991)により、これは正解ではないだろうか。

ちなみに、プロロゴスさんの理由

>二次的評価は「ストレッサーに対して対処できるかどうか」の評価である。二次的評価によってその後コーピングを行うというのがストレス評価説の考えと思われるが、④では二次的評価の前にコーピングの結果が来るので、とにかく文章がよく分からないけど誤りではないかと判断した。

についてR.S.ラザルス&S.フォルクマン(1984/1991)のトランスアクション・モデルを引用しておきたい。

図10-3(トランスアクションモデル)は、....我々の理論の中心的な概念を浮き彫りにするものであり、.....。我々のトランスアクションモデルでは、同一個人内の現象の移り変わりを様々な段階においてとらえていくと同時に、様々な個人の間での現象の起こり方の相違や類似点について明らかにしていくことが、1つの研究計画の中で可能となるのである。

図10-3は矢印は記載されてないが、島津(2002)には、図3.1 心理学的ストレスモデルの概要に、「コーピング」から「認知的評定(一次的・二次的)」への矢印がひかれている。すなわち、コーピングの結果が評価で判断されて、コーピングが成功し刺激や情動が適切に処理されると、健康上の問題は生起しないか、あっても程度が低い、ストレスフルなら、情動反応が起こりそれに新たなコーピングがなされるというプロセスが展開される。


あいまいな正解が2つある問で、これは適切問題だろうか。筆者は、迷ったあげくに、を選択した。しかし、③も正解かもしれない。しかし、文献検索をしてみるとコーピングのコスト研究が世界的に活性化しているともいえない。

自分がストレスコーピングについて問題を作るとすれば、どのような選択肢が教育的なのか考えてみたい。

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