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ブザーがなって、電気ショックを動物が経験すると、ブザーが鳴っただけで、トラウマ反応(恐怖反応)が起きます(①)。
この地震で、建物診断でグリーン(安全)と診断されたとします。しかし、安全な建物に身を置いても、恐怖反応(トラウマ反応)がなかなか小さくなりません(②、③、④)。建物がブザーになっているのです。まず、安全と頭で理解できていても、恐怖反応が起きるということを知っておきましょう。②、③、④で、楽しいこと、リラックス法(安心)を体験しましょう。すると、かならず、恐怖反応は少しずつ小さくなります。
安全感は、建物診断、備える防災、そのとき防災(避難行動)で高めることができます。「どれくらい安全だと思う?最高に安全が10、全く安全でないが0としたら?」と安全感を数値でモニターするといいでしょう。
頭で安全とわかっていても身体が安心できないのです。ですから、身体が安心できるようにリラックス法や楽しい活動をして、からだが安心できるようにしましょう!
まず、大人がこの仕組みを学んでおくといいでしょう!
文部科学省平成22年度版「子どもの心のケアのために」(25―26pp.)や「いわて子どものこころのサポートセンター」のHpにある「心とからだの健康観察19項目版・31項目版」を、いまやるべきでないと思います。しかし、もしやってしまったなら、そのメッセージを大切にして、コーピングと心理教育とストレスマネジメントをおやりになったらいいですよ。そして、これは、繰り返しやるものではありません。激震地域は、仮設住宅に移った時期に、リラクセーションなどのストレスマネジメントと心理教育をセットにやってはどうでしょう。
その理由は、ホームページ「防災と心のケア」の高橋哲著「こころのケアとしての表現活動」をお読みください。
2004年12月26日、インド洋大津波によりインドネシア・アチェ、スリランカ、タイなど多くの国・地域が被災しました。半年後、世界教職員組合の主催による学校再建とトラウマカウンセリングプロジェクトがはじまり、トラウマカウンセリングを兵庫EARTHのチームが受けることになりました。たった5日間の研修でしたが。私たちが心がけたのは、〇〇療法、〇〇アプローチを伝えるのではなく、さまざまなアプローチに共通したコンポーネントをベースにしながらも、その地域や文化や宗教を尊重した研修を心がけました。そして、その地域ですぐれた活動をしている参加者をバックアップできればいいと考えて臨みました。2006年、2007年、2008年と学内科研や科研によりアチェを訪問してきました。
そして今回は7年ぶりの訪問でした。当時の通訳のBさんがすべてコーディネイトしてくれましたし、共同研究者のCさんがすべての会計事務手続きをしてくれました。
研修会の中心的存在だった教師カウンセラーのA先生は、高校の副校長になっておられました。昨日は、A先生の高校を訪問しました。A先生に日本のチームの当時の印象を尋ねました。A先生は、「日本のチームは、この地域の文化と宗教を尊重してくれました。それがほかのチームとは異なることでした」といわれた。私は西欧のガイドラインも「文化や宗教を尊重すること」と書いていますよと言いました。すると、いくつかの例をあげて、説明してくれました。そして、当時のトラウマチェックリスト(東日本大震災後に、作成した19版・31版のベースになったもの)をいまも活用していること、それとトラウマイメージ動作法ワークシートを活用していると資料を棚からとりだして説明してくれました。
高校では、親やきょうだい・祖父母を亡くした生徒さんたちとも懇談をもたせてくれました。それぞれの将来の夢を話してくれ、それが実現できるような応援体制が必要だと思いました。 そしてその高校は、日本語教育に力をいれており、日本語教師の先生もいらっしゃいました。
また「地震があったとき日本ではどのように避難していますか?」と質問してくれました。日本の校舎は耐震化が進んでいるので机の下に避難することを述べると、自分たちはすぐに校庭にでるようにとの訓練を受けていると話してくれました。
そして、ちょうど今日が高校の卒業式でした。シャクアラ大学の会場を借りての荘厳なすばらしい卒業式に来賓として参列させていただきました。
式典がおわると次々に日本語で話しかけてくれる学生さんたちに驚きました。
校長先生は、「日本語は選択科目だが英語と同じく全生徒が受講できるようにしたい」と将来の展望を話してくれました。
当時研修会講師をいっしょに務めたシャクアラ大学の先生とも再会できました。
e-mailやSKYPEがあるので、高校生や大学生と、防災と心のケアの交流ができればいいなと思っています。
「災害は大変つらい試練を神様がお与えになった。そしてその試練をまずありのままに受けとめることが大切です」
と会う人がそれぞれにこういった趣旨のことを話されます。
このアチェのみなさんがこの大災害後をどのように生きぬいていったのか、それは、東日本大震災により、また、今進行中の熊本地震により被災された方にも貴重なメッセージとなることを確信しました。
学校が再開され、学校で地震ごっこをする子どもがいて、そのことに教師はどう対応したらいいか困惑しているかもしれません。
Q1子どもが地震ごっこをするのですが、どうすればいいでしょう。
A1 少しほっとできるようになると、地震ごっこをはじめることがあります。危険でなければ、とめないで見守ってあげてください。子どもたちの遊びをみていると、地震のときの怖さを乗り越えようとするストーリーへと変わっていくこともあります。また、妙にあかるく元気に地震ごっこを繰り返し繰り返し続けることもあります。
命を脅かされる体験をトラウマ体験といいます。それは、記憶のされ方が、日常の体験とことなっていることがわかっています。比喩的にいいますと、<凍り付いた記憶の箱>といいます。少しほっとして安心できるようになると、記憶の箱の氷が溶けて、子どもであれば、地震ごっこをはじめることがあります。大人であれば、思い出して苦しくなりつらくなるというフラッシュバックという反応であらわれます。まるで、その記憶の箱にはいりこみ、そのときの恐怖を繰り返して表出しているのです。これは、むしろ、回復する過程の反応、当然の反応ととらえるといいでしょう。
ですから、<そんな不謹慎な遊びはやめなさい!>と叱ってはいけません。せっかく、こわかった体験を心のなかで整理をはじめようとしはじめたわけですから。
学校でそのような遊びを教師がみたなら、おそらく業間の休み時間などでしょう。机をがたがたさせて、「地震だー」と遊んでいるかもしれないですね。その遊びに、何人かいっしょに遊びだす子もいるかもしれないですし、嫌な顔をしてその遊びを無視しようとする子もいるかもしれません。
授業のはじまりに先生は、<さっき、地震だーって遊んでいる子がいましたね。あんな大変なことがあったあと、少しほっとすると、そんな遊びをしたくなることがあります。それはとても自然なことですよ。でも、そんな遊びはしたくないし、みたくもないなーという子もいます。ひとつの災害でも、感じ方がそれぞれ違います。それで、お互いを尊重して、外遊びをする、図書館で本を読む、教室で遊ぶといった工夫をしましょう!>といって、<じゃー背伸びをしましょう!肩を高くあげて、はい、ストン。落ちついて今度は授業に集中しましょう>と声をかけるのもいいでしょう。
ただ、危険な地震ごっこもあります。阪神淡路大震災のあと、机をつみ重ねて、がたがたと崩して、「地震だー」という遊びをしていた子どもたちがいました。そんなときは、<そんな遊びもしたくなるのは、わかるけど、それでけがしてはいけないよね>と気持ちを認めて、違った表現をうながすようにしましょう。
しかし、この遊びを繰り返し繰り返し行い続けるようであれば、<がんばって、遊んだね、すごいね、ちょっと休憩しようか>と、膝の上にだっこしてあげて、いっしょに、両手を伸びしたり、肩をぎゅーとあげてあげて、ストンと力をぬくのをお手伝いしてあげて、リラックス体験ができるようにしてあげてもいいでしょう。そうすると、その記憶の箱から離れて、少し落ち着いて、こわかったことを受けとめることができるようになります。
Q2 それでは、地震ごっこをさせる方がいいのでしょうか?
A2 いえ、地震ごっこに誘うのはよくありません。地震での体験は、自分が全く思い通りにならない、コントロールできない体験をしたわけです。大切なことは、自分はいろいろなことを自分で働きかけてコントロールできるよ、という体験です。やりたくない子どもに、地震ごっこをやらせようとすると、嫌な思いが残るだけです。それはトラウマ反応の「回避」(トラウマ体験とむすびついたすでに安全な刺激を避ける:”地震”という言葉を使うのをいやがる、”あのことは話たくない”など)を強めます。熊本地震の心のケアのニュースで、ある医師が「故郷のテーマで絵を描きましょう!」「家族であの日のことを語りあいましょう」というメッセージを流していますが、それは1995年当時は、デブリーフィングといって推奨された方法でしたが、2001年911テロ後、さまざまな研究から、国連の災害紛争後精神保健ガイドライン(IASC)でも、やってはいけないことと明記されています。
自分のペースで、語りたいときに、語れるようになっていくことを応援することが大切です。学校では、「先生あのね」「壁新聞」「3分作文」など日常生活体験を表現する機会があります。そこに、震災体験を描きたい・書きたい子どもが書いていき、それを教師やカウンセラーがしっかり受けとめる(<先生は〇〇と思ったよ>とキャッチボールする営み)ことが大切です。東日本大震災のときは、1学期の終わりころ、ぽつぽつと震災体験に関する表現がでてきたとある重災地区の教師は語っていました。もちろん、「震災体験に関することは一切話してはいけない、触れてはいけない」も誤りです。これも「回避」を強めてしまいます。
昨日のNHK7時のニュースを大学院の臨床心理学の授業で使いました。ニュース動画がまだ掲載されていましたので、それを見てもらいました。
1,もしあなたが臨床心理士なら、この小学2年生の女の子や家族にどのようにかかわりますか?(母に「タンスの前でねるのがこわい」といい、母の「どっちにねますか?」の問いかけに夜は車のなかでねるという)
2,医師の発言「子どもの変化はつらい目に遭ったときの自然な反応だとしたうえで、「放っておくとPTSD=心的外傷後ストレス障害に悪化する可能性があるので、しっかりケアしないといけない。基本的な安心感を子どもたちに提供することで、子どもたちはすっと落ちついていきます。どきどきした気持ちをしっかり抑えていくには、あえてあの日のことをみんなで、家族のなかで語り合うこと。あの日のことをしっかり語って整理をつけていかないといけない」
グループで話してもらいました。
1には、「不安は自然なのでようすをみては」という。「こわいこと、どうしたらいいか家族で話し合っては」という。「リラックス法を家族でやってみては?」という。「「どっちでねる?」とお母さんが提案しているのがとてもいい」と母にいう
2には、「あの日のことを、家族で話し合うのは子どもがさらに不安になると思う」「ちゃんと向き合うのはいいと思った」「放っておくとPTSDになるというのはちがうと思う」
といった発言があった。
つぎに、
私だったら、「タンスの前でねるのがこわい」と少女がいったのはすごいですね、と母にいいます。自分の身を守る力(防災の力)がありますね。まず、タンスを他の部屋に移すとか、より安全な部屋にいっしょに模様替えしてはどうですか?」といいますね。防災の知恵です。もちろん、お母さんの「どっちでねる?」と尋ねたことはすばらしいことも伝えますよ。
まずは「あの日のことを語りあうことではなく」、地震や余震があったとき、身を守る方法と対策を話し合い実践しますね。
「ストレッサーへの対処(防災)とストレス反応への対処(心のケア)の両方が必要ですよ」と学生に伝えました。
授業の感想
・臨床心理士としてのアドバイスと考えると、心のケアばかりに気をとられてしますが、まずは防災について考えることが大事だということに気づかされた。安全が確保されないと、心の問題も解決しないことを改めて思い知らされました。
・防災ということを心理士がきっちり伝えていくという認識が乏しいことに気づかされ、心理学を学ぶ者として恥ずかしいと思った。対処方法を考えずに「大丈夫」「安心しましょう」といわれても不安をあおるだけなので、対処を学び、”自分にも対処できる”という感覚をもつことが重要であると思った。
・私は阪神淡路大震災の経験者で、あの日をきっかけに心理学を学びたいと思い大学に編入学しました。今もトラウマを学ぶ動機になっています。震災は天災ですが、二次災害は人災と言われるように、ケアと防災対策が必須です。これまでの教訓が生かされればと願います。
などでした。
1,地震時、余震時に自分がどこにいるかを考えて、そこの安全性を瞬時に判断して、柔軟な行動を取ろう。ネパールでは、地震発生時に外にいて、揺れを感じて慌てて家の中に入って机の下に隠れ、倒壊したレンガの壁に押しつぶされて亡くなった事例を各地で聞きました。机の下に隠れろという教育を、それだけしか答えがないものだと信じて行動した結果です。防災教育の怖さを示しています。
ただし、ネパールに教室はドアが一箇所しかないつくりが多く、今後建設、補修する際は、必ず2つ以上のドアをつけるように、学校だけではなく、建物の建設、補強をしている行政、支援のNGOにも伝えました。
2,災害の後、余震を怖がったり、眠れなくなったり、不安になったり…といった反応は、普通ではない状況での普通の反応だということ。安心していいよというメッセージです。呼吸法などのリラックス法もいいでしょう。
3,強い家、学校の校舎があれば安心だということを、お菓子のパックを使った工作で考えてもらいます。そして、将来家を建てるなら、強い家にしようというメッセージを伝えます。
以上、3つの防災教育で、トータルに安心感を伝えてきました。
(2016年4月30日 文責:諏訪清二)
「避難所の子ども、心に変調 熊本地震、花の絵描けず」というタイトルで、西日本新聞が記事を配信しています。(2016年05月05日02時28分)
避難所の子どもたちのようすを2カ所の避難所からレポートされ、専門家の意見を聞き紙面を構成しておられ、大変参考になります。紙面には字数制限があり、心のケアについて、なかなかメディアが伝えることがむつかしい点があります。本文を抜粋しながら、私なりの解釈なり補足をしたいと思います。
>被災者のケアに当たる医師らによると、絵で花をうまく描けなかったり、けんかが増えたりしているという。なお続く余震や長期避難のストレスが原因とみられ、支援する精神科医は「避難所で子どもは自由に遊べず、親も周囲を気にする。住宅の手当てなど早期支援が必要だ」と指摘する。
>子どもたちは、地震の体験などをうまく言葉で表現できずにストレスを募らせることが多く、同法人は絵を描くことなどで気持ちを整理させる手助けをしている。
→地震のときの恐怖と避難所でのプライバシーのない不自由な生活で、大人も子どものイライラや眠れないといったストレス反応で苦しんでいるのだと思います。もっとも有効な対処は安心して生活できる住宅の手当(ストレッサーへの対処)であることは間違いありません。一方で、それがなかなかすぐにできないとき、ストレス反応への対処が必要です。このNPOは「地震の体験をうまく言葉や絵で表現させること」が大切だと考えているようです。そうでしょうか。まず、安全・安心な体験が必要ではないでしょうか?
一方教員が避難所に出向き、子どもたちに午前中にスケジュールをくみかかわっているニュースが配信されています。
避難所に出向き児童の心をケア 南阿蘇西小 (毎日新聞:2016年5月1日配信)
教員たちは児童らが避難する村内の5カ所の避難所を平日の午前中に訪問。「さくら会」と名付けた臨時の教室を開き、健康状態を観察しながら読み聞かせや勉強を教えている。課題のプリントやお絵かきのセットを持ち込むなど、集まった子供たちの年齢などに応じて対応している。
このニュースは動画で配信され、子どもたちのようすや教師のかかわりがよくわかります。ある子どもの「起立!」という声からはじまります。午前中のスケジュールが小ホワイトボードに、「 南西さくら会①あいさつ ②けんこうかんさつ ③ラジオ体操 ④きのうのふりかえり ⑤学習 ⑥片付け・ふり返り」 と記されています。こういった構造化され、かつ、いつもそばにいてくれていた教員がこうやってかかわることこそ、子どもたちの安心感につながるのではないでしょうか。
>熊本県益城町では非政府組織(NGO)「ワールド・ビジョン・ジャパン」(東京)が避難所の町総合体育館で、子どもの遊び場としてプレールームを運営。同組織によると、5月に入り小学生同士などのけんかが2件起きた。ボランティアに暴力を振るう例もあったという。支援する臨床心理士で、福岡女学院大人間関係学部の奇恵英(キヘヨン)教授は「今は周囲の大人が善悪の区別を丁寧に諭しつつ、子どもが話しだすのを待つ時だ」と語る。
奇先生は、発災直後には、被災された方に必要な生活物資を福岡からいち早く届けられたそうです。奇先生のグループは、東日本大震災後に、定期的に、宮古の仮設住宅を訪問し、動作法を展開されてきました。今回も大学院生とともに、いち早く、避難所の子どもたちの支援を展開されているようですね。心より敬意を表したいと思います。
子どもだけでなく大人もぶつけようのない怒りを抱え込みます。怒りを心のなかに閉じ込めることは健康によくありません。怒りの対処には2つあります。ひとつは怒りの適切な表現です。もうひとつは怒りをなだめる、ヨシヨシすることです。
子どもたちは、ボランティアの学生さんを、たたいたり蹴ったりして、怒りを表出してくるかもしれません。そのときに、<こんな悲しいことを経験した子たちだから、自分が少々痛くてもがまんすればいいこと、すきにさせてあげたい>と思ってしまう学生さんもいます。でもそれは、誤りです。決して、怒りを暴力に変えることを認めてはいけません。ただ、<暴力はいけません!>と感情的に叱りつけるのもよくありません。『むちゃむちゃ腹立つよね』と子どもの怒りの感情を認めること、と同時に、もしたたいたり蹴ったりしてくるようであれば、『それは痛いよー』と学生さんは自分の気持ちを言葉にすることです。そして、その怒りのエネルギーを、スポーツや相手を傷つけない自分を傷つけない表現に変えていくことです。まず、ボールやバットも、硬いものはよくありません。ボールが人にあたってもけがをしないスポンジボールや新聞紙で丸めた剣を用意するといいでしょう。遊び疲れたら、リラックス動作法(これが怒りをヨシヨシするなだめる体験です)を提案してみるといいでしょう。
奇先生が「丁寧に諭しつつ、子どもが話しだすのを待つ」とコメントされた内容は、おそらくそういう意味が込められていたのではと想像しています。今度、奇先生にあったとき、聞いてみます。
>今後、各地で順次学校が再開され、避難所から自宅や仮設住宅に移る子どもたちも増えるが、熊本市の避難所などでは地震の恐怖から「家に帰りたくない」と泣きだす子も出ている。対応する医師らは「まず昼間に家に帰る練習を」などとアドバイスしている。
「まず昼間に家に帰る練習を」というのは、段階的練習法(実生活内エクスポージャー)という方法です。すでに安全な場所や人を避け続けることで、トラウマ反応が症状として持続するときに、少しずつのチャレンジを提案します。しかし、それは、「安全になっている」ということが条件です。家は危険度診断で、グリーンだったのでしょうか?もしグリーンだったら、そのことを子どもさんの発達に応じた言葉でお話してあげることがまず必要です。そして、安全と頭でわかっているけど、からだが思うように動かないときに、この提案がはじめて、意味をもつことになります。
それと、今度余震があったとき、どうしたらいいか、防災の知恵を話し合っておくことです。もし、危険度診断でレッドであれば、もちろん、このアドバイスは適切でないことになります。(お医者さんのアドバイスですから、家はグリーンでだたったのでしょうが)
もうひとつ気になる記事があります
「 心のケア」への違和感――熊本地震をめぐって - 高原耕平 朝日新聞が4月26日に配信しています。ただ、この記事途中から「有料購読」になっています。天下の朝日新聞は、こんな大切な記事は無料で配信してほしいと思います。私も後半を読めてないので、正確なコメントができません。ただ、twitterに朝日新聞徳島総局から「「問題は、『ケア』は専門家にまかせておけばよいという風潮が進むことで、災害が生む不条理をわたしたちひとりひとりが感じ取り、考えるための感受性が麻痺してゆくことにある」と発信されていることから、「心のケア」の意味が正確に伝わってないと思ってしまいます。
私は心のケアを「他者が被災者の心をケアするというよりも、被災者が、傷ついた自分の心を主体的にケアできるように、他者がサポートすることであり、自らの回復力・自己治癒能力を最大限に引き出す『セルフケア』への支援」(冨永・小澤,2005)と定義しました。
確かに、「ケア」は「世話」ですから、「してあげる」ことを連想するかもしれません。前のブログで書いたように、「心のケア」ではなく「災害後のストレス対処」や「心のサポート」の方が適切です。中国語では「心理援助」です。ただ、これだけ、「心のケア」という用語が日本では拡がったので、この言葉に、適切な実態を込めていくほうがよいと考えるようになりました。
心のケアの専門家の役割は2つあります。 一つは、身近な人がどうかかわればトラウマ反応を減衰させトラウマ後成長につながっていくかを身近な人にアドバイスすることです。これはメディアには大きな力があります。 災害や事件などのトラウマ体験をしても、ストレス障害になってしまう人は一部です。多くの人は日常生活を取り戻します。これまでの経験からどのように身近な人がかかわれば、日常生活を取り戻していけるかです。毎日新聞が掲載した「避難所に出向き児童の心をケア 南阿蘇西小」の実践はまさにそれにあたると思います。
そして、奇先生の学生さんは臨床心理士養成の大学院生である意味、専門家予備軍かもしれません。でも、他の専攻の学生さんも大活躍しているとの情報がはいってきています。 昨日、毎日放送「ちちんぷいぷい」で兵庫県立大学の学生さんが西原村の避難所で、子どもたちと遊んでいる場面がながれていました。 そして、身近な人たちの適切なかかわりの機会をえることがなかった、家族や愛する人を喪失した、もともとの養育環境の不安定さなどの要因により、ストレス障害になってしまう人たちがいます。その状態になれば、医療の専門家のかかわりが必要です。それが専門家の2つめの役割です。
1 いつものように食べるきになれない
2 はき気がする
3 おなかがいたいことがつづく
4 下痢をくりかえす
5 ねむれないことがある、すぐにめがさめる
6 からだや目がかゆい
7 頭が痛いことがつづく
8 運動しないのに、心臓がどきどきする
9 なんとなくからだがだるい
・・・・
の項目でした。残りはわかりませんが、17項目のようです。
日常の健康チェックからはいり、トラウマの項目をいれてないのが、この時期
よい試みだと思いました。
学校再開後しばらくは、日常を取り戻す営みだと思います。
先生(担任)は、あなたの睡眠やイライラについて見守っているからね、つらいことを抱え込まなくていいのよ、というメッセージをこめて、健康チェックをしているのだろうと思います。
熊本県臨床心理士会が、これらを教師や指導主事の方たちと相談しながら、おやりになっているのでしょう。この災害には、とてもよい試みかもしれませんね。
東日本大震災後の学校再開6週間のあいだに、眠り、イライラ、体調、食欲の項目で構成した健康アンケートとイライラや眠りへの対処とリラックス法などのストレスマネジメント技法を組み合わせて実践しました。それを思い出しました。
また、ハリケーンカトリーナ後の心理支援では、スクールカウンセラーが、小児科チェックリストを活用して、ハイリスクの子どもをスクリーニングしたそうです。
さまざまな心身の反応が、大変な出来事による当然の反応で、どうすれば
それらをうまく収めていけるか、そのメッセージを送り、いかにセルフケア活動に
つなげていけるかが、今後の課題かもしれません。
全校集会①・・・全校児童の気持ちを一つに、前向きなトーンを作り出す→「みんなでつくろうこの1年」(話し合い) | |||||||||||
全校集会②・・・全校児童の気持ちを一つに、前向きなトーンを作り出す→「みんなで楽しもうこの1年」(ゲーム集会) | |||||||||||
全校集会③・・・全校児童の気持ちを一つに、前向きなトーンを作り出す→「みんなでつくろう学習発表会」(話し合い) | |||||||||||
全校集会④・・・全校児童の気持ちを一つに、前向きなトーンを作り出す→「みんなで楽しもうこの1年」(スポーツ大会) |
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