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2016年5月

2016年5月30日 (月)

熊本地震と心のケア(34)ストレス・トラウマアンケートのやり方

「つらいことが頭から離れない」などトラウマ反応のアンケートを災害後の初期にはやらない方がいいと(29)で書きました。私たちは、2004年10月に発生した台風23号豪雨災害後、1ヶ月後に被災地の学校で、トラウマアンケートを実施、個別に支援が必要な児童生徒への緊急派遣スクールカウンセラーによる個別相談、というシステムをはじめました。同時に、落ち着かないクラスがあるので、対応してほしいという教員の要請で、ストレスマネジメント授業を、おさるのパペット(学生が演じてくれました)が「怖いよー」といい、私が「怖い気持ちは命を守る大切な気持ちだよ。でもずっと怖い気持ちがつづくと勉強頑張れないよね、楽しく遊べないよね。そんなときこうすればいいよっていう方法があります」と、眠りのためのリラックス法をとりいれた授業をしました。その後、担任から、「あの授業からクラスの雰囲気が変わりました。それまでは台風のことは話してはいけないという雰囲気があったが、昼休み次々に自分の気持ちや考えを子どもたちが私に話すようになり、クラスは落ちついていきました」と。
でも、トラウマのアンケートで、不快な反応を示す児童生徒が小数ですがいました。
 
2004年12月のインド洋大津波、その半年後、スリランカとアチェの教師研修で、トラウマストレスアンケートと心理教育とストレスマネジメントをセットで、授業でやる方法を提案し、感想欄も、アンケートの感想と授業の感想の2つの欄を作りました。それは、東日本大震災後の子どもの心のケアとして、岩手県教育委員会が取り入れた方法で、今日に至っています。
 
ポイントは、不快な体験により回避をつよめるリスクをいかになくすかということです。
 
熊本では、健康調査を親子で話し合いながらおやりになっているようです。これは、画期的な試みかもしれません。親子だと安心できる関係であり、やりたくないと、言いやすいからです。
さまざまな心身反応の意味と対応を親や教師が知り、子どもさんに適切に対応していくことで、ほとんどのトラウマ反応は減衰していくのではないでしょうか。また、トラウマ反応を抱えながらも日常生活を支障なく送っていけるかもしれません。
 
ポイントは、過去の方法にとらわれることなく、子どもが安心できる取り組みこそ開発されていくべきだろうと思う、今日この頃です。

2016年5月29日 (日)

熊本地震と心のケア(33)長期支援を視野にいれた心とからだの反応とその意味と対処リーフレット

長期支援を視野に 大人向けの心理教育(トラウマの心のメカニズムの情報提供:心とからだの反応 と その意味と対処)を作ってみました。

2016年5月26日 (木)

熊本地震と心のケア(32)恐怖条件づけと安全安心プログラム

2回の震度7の地震引き続く強い余震、これによる恐怖はおそらく体験した人でないと、なかなか理解できないのではないでしょうか。それは、身体記憶に恐怖が刻み込まれているからだと思います。

ブザーがなって、電気ショックを動物が経験すると、ブザーが鳴っただけで、トラウマ反応(恐怖反応)が起きます(①)。

この地震で、建物診断でグリーン(安全)と診断されたとします。しかし、安全な建物に身を置いても、恐怖反応(トラウマ反応)がなかなか小さくなりません(②、③、④)。建物がブザーになっているのです。まず、安全と頭で理解できていても、恐怖反応が起きるということを知っておきましょう。②、③、④で、楽しいこと、リラックス法(安心)を体験しましょう。すると、かならず、恐怖反応は少しずつ小さくなります。

 

安全感は、建物診断、備える防災、そのとき防災(避難行動)で高めることができます。「どれくらい安全だと思う?最高に安全が10、全く安全でないが0としたら?」と安全感を数値でモニターするといいでしょう。

頭で安全とわかっていても身体が安心できないのです。ですから、身体が安心できるようにリラックス法や楽しい活動をして、からだが安心できるようにしましょう!

 

まず、大人がこの仕組みを学んでおくといいでしょう!

2016年5月23日 (月)

熊本地震と心のケア(31)心理教育のメッセージ

余震がなおつづく熊本地震と心のケアの心理教育(心の仕組みの情報提供)のリーフレットをつくりました。

2016年5月22日 (日)

熊本地震と心のケア(30)眠りのためのリラックス法

リラクセーションには、眠りのためのリラックスと落ちつくためのリラックスがあります。
ここでは、ジェイコブソンが開発した漸進性弛緩法(Progressive Relaxation)を掲載します。
いろいろなバージョンがありますが、学校で行うときは、眠気をさますために「すっきり動作」(アクティベーション)を最後にやるといいです。
これは、子どものPTSD治療に最も信頼性が高いといわれているトラウマフォーカスト認知行動療法のリラクセーションのコンポーネントにも含まれています。また、オリンピック選手が実力を発揮するためのメンタルトレーニングにも活用されています。
 

熊本地震と心のケア(29)この時期トラウマアンケートをやるべきでない

文部科学省平成22年度版「子どもの心のケアのために」(25―26pp.)や「いわて子どものこころのサポートセンター」のHpにある「心とからだの健康観察19項目版・31項目版」を、いまやるべきでないと思います。しかし、もしやってしまったなら、そのメッセージを大切にして、コーピングと心理教育とストレスマネジメントをおやりになったらいいですよ。そして、これは、繰り返しやるものではありません。激震地域は、仮設住宅に移った時期に、リラクセーションなどのストレスマネジメントと心理教育をセットにやってはどうでしょう。

 その理由は、ホームページ「防災と心のケア」の高橋哲著「こころのケアとしての表現活動」をお読みください。

2016年5月20日 (金)

熊本地震と心のケア(28)絵本「やっぱりおうちがいいな」

熊本市子ども発達支援センターから、建物が安全と診断されたお家にも、こわくてはいれない子どものために、絵本「やっぱりおうちがいいな」が発刊されました。
日テレ24「地震でおうち怖い 心のケアの3つポイント」が詳しく報道してくれています。
これは、まさに、 防災と心のサポート の両輪のメッセージが込められています。
小児科医でもある木村重美センター長の作だそうです。すごいですね。
こういった本当の心のケアのメッセージが大切です。
「あの日のことを家族で語り合いましょう!」とある精神科医がNHKニュースでコメントしていたのと、まったく異なるメッセージです。
小学校高学年以上には、地球の仕組みをイラストにした絵本もできるといいな、と思っています。
それと、家が全壊で、避難所やテントや車中で生活を強いられている子どもたちに、どんな絵本が作ることができるのでしょうか。これは、行政や政治にがんばってもらって、いち早い仮設住宅の建設と、安全な恒久住宅の建設が急がれますね。それまで、どうしのいでいくのがいいのか、これは、これまで災害を経験した人からのメッセージが役に立つかもしれませんね。

熊本地震と心のケア(27)ホームページ 防災と心のケア 

ホームページ 防災と心のケア を立ち上げました。
被災された方や支援されている方からのQ(質問)に、A(回答)するコーナーも設けました。
すでに、おふたりの方が、投稿してくださっています。
この投稿は、熊本地震でつらい思いをされている被災された方の多くに共通しているかもしれません。ぜひ、アクセスしてほしいと思います。

2016年5月18日 (水)

災害・紛争後の子どもの心のケア(9)7年ぶりのインドネシア・アチェの訪問

20041226日、インド洋大津波によりインドネシア・アチェ、スリランカ、タイなど多くの国・地域が被災しました。半年後、世界教職員組合の主催による学校再建とトラウマカウンセリングプロジェクトがはじまり、トラウマカウンセリングを兵庫EARTHのチームが受けることになりました。たった5日間の研修でしたが。私たちが心がけたのは、〇〇療法、〇〇アプローチを伝えるのではなく、さまざまなアプローチに共通したコンポーネントをベースにしながらも、その地域や文化や宗教を尊重した研修を心がけました。そして、その地域ですぐれた活動をしている参加者をバックアップできればいいと考えて臨みました。2006年、2007年、2008年と学内科研や科研によりアチェを訪問してきました。

 そして今回は7年ぶりの訪問でした。当時の通訳のBさんがすべてコーディネイトしてくれましたし、共同研究者のCさんがすべての会計事務手続きをしてくれました。

 研修会の中心的存在だった教師カウンセラーのA先生は、高校の副校長になっておられました。昨日は、A先生の高校を訪問しました。A先生に日本のチームの当時の印象を尋ねました。A先生は、「日本のチームは、この地域の文化と宗教を尊重してくれました。それがほかのチームとは異なることでした」といわれた。私は西欧のガイドラインも「文化や宗教を尊重すること」と書いていますよと言いました。すると、いくつかの例をあげて、説明してくれました。そして、当時のトラウマチェックリスト(東日本大震災後に、作成した19版・31版のベースになったもの)をいまも活用していること、それとトラウマイメージ動作法ワークシートを活用していると資料を棚からとりだして説明してくれました。

 高校では、親やきょうだい・祖父母を亡くした生徒さんたちとも懇談をもたせてくれました。それぞれの将来の夢を話してくれ、それが実現できるような応援体制が必要だと思いました。 そしてその高校は、日本語教育に力をいれており、日本語教師の先生もいらっしゃいました。

 また「地震があったとき日本ではどのように避難していますか?」と質問してくれました。日本の校舎は耐震化が進んでいるので机の下に避難することを述べると、自分たちはすぐに校庭にでるようにとの訓練を受けていると話してくれました。

 

 そして、ちょうど今日が高校の卒業式でした。シャクアラ大学の会場を借りての荘厳なすばらしい卒業式に来賓として参列させていただきました。

 式典がおわると次々に日本語で話しかけてくれる学生さんたちに驚きました。

 校長先生は、「日本語は選択科目だが英語と同じく全生徒が受講できるようにしたい」と将来の展望を話してくれました。

 当時研修会講師をいっしょに務めたシャクアラ大学の先生とも再会できました。

 

e-mailSKYPEがあるので、高校生や大学生と、防災と心のケアの交流ができればいいなと思っています。

 「災害は大変つらい試練を神様がお与えになった。そしてその試練をまずありのままに受けとめることが大切です」

 と会う人がそれぞれにこういった趣旨のことを話されます。

 このアチェのみなさんがこの大災害後をどのように生きぬいていったのか、それは、東日本大震災により、また、今進行中の熊本地震により被災された方にも貴重なメッセージとなることを確信しました。

2016年5月13日 (金)

熊本地震と心のケア(26)益城町の小学校での心のケア活動ーNHK7時のニュースより

今日のNHK朝の7時のニュースで、益城町の小学校での活動のようすがながれていました。
 
1組が背中合わせになって、先生が黒板に、〇△×を書いて、「相手のお友達に、〇か△か×のどれかをテレパシーで送ってください!」というシーンがながれていました。子どもたちはとても楽しそうに活動をしていました。
この活動、背中と背中があわさってからだのぬくもりを実体験できること、ノンバーバルなコミュニケーションの大切さのメッセージを送ることができること、などとてもよい試みだと思いました。
私も心のサポート授業で、からだとからだをとおしたメッセージの体験の課題をやってきたので、こういった実践をみると、とても参考になります。
 
先生方のがんばりを応援したいと思います。
 
こういった本当の心のケア活動をNHKはこれからは、発信してほしいと思います。
 

2016年5月11日 (水)

熊本地震と心のケア(25)地震ごっこの意味と対応

学校が再開され、学校で地震ごっこをする子どもがいて、そのことに教師はどう対応したらいいか困惑しているかもしれません。

Q1子どもが地震ごっこをするのですが、どうすればいいでしょう。

 

A1 少しほっとできるようになると、地震ごっこをはじめることがあります。危険でなければ、とめないで見守ってあげてください。子どもたちの遊びをみていると、地震のときの怖さを乗り越えようとするストーリーへと変わっていくこともあります。また、妙にあかるく元気に地震ごっこを繰り返し繰り返し続けることもあります。

命を脅かされる体験をトラウマ体験といいます。それは、記憶のされ方が、日常の体験とことなっていることがわかっています。比喩的にいいますと、<凍り付いた記憶の箱>といいます。少しほっとして安心できるようになると、記憶の箱の氷が溶けて、子どもであれば、地震ごっこをはじめることがあります。大人であれば、思い出して苦しくなりつらくなるというフラッシュバックという反応であらわれます。まるで、その記憶の箱にはいりこみ、そのときの恐怖を繰り返して表出しているのです。これは、むしろ、回復する過程の反応、当然の反応ととらえるといいでしょう。

ですから、<そんな不謹慎な遊びはやめなさい!>と叱ってはいけません。せっかく、こわかった体験を心のなかで整理をはじめようとしはじめたわけですから。

 

学校でそのような遊びを教師がみたなら、おそらく業間の休み時間などでしょう。机をがたがたさせて、「地震だー」と遊んでいるかもしれないですね。その遊びに、何人かいっしょに遊びだす子もいるかもしれないですし、嫌な顔をしてその遊びを無視しようとする子もいるかもしれません。

授業のはじまりに先生は、<さっき、地震だーって遊んでいる子がいましたね。あんな大変なことがあったあと、少しほっとすると、そんな遊びをしたくなることがあります。それはとても自然なことですよ。でも、そんな遊びはしたくないし、みたくもないなーという子もいます。ひとつの災害でも、感じ方がそれぞれ違います。それで、お互いを尊重して、外遊びをする、図書館で本を読む、教室で遊ぶといった工夫をしましょう!>といって、<じゃー背伸びをしましょう!肩を高くあげて、はい、ストン。落ちついて今度は授業に集中しましょう>と声をかけるのもいいでしょう。

ただ、危険な地震ごっこもあります。阪神淡路大震災のあと、机をつみ重ねて、がたがたと崩して、「地震だー」という遊びをしていた子どもたちがいました。そんなときは、<そんな遊びもしたくなるのは、わかるけど、それでけがしてはいけないよね>と気持ちを認めて、違った表現をうながすようにしましょう。

しかし、この遊びを繰り返し繰り返し行い続けるようであれば、<がんばって、遊んだね、すごいね、ちょっと休憩しようか>と、膝の上にだっこしてあげて、いっしょに、両手を伸びしたり、肩をぎゅーとあげてあげて、ストンと力をぬくのをお手伝いしてあげて、リラックス体験ができるようにしてあげてもいいでしょう。そうすると、その記憶の箱から離れて、少し落ち着いて、こわかったことを受けとめることができるようになります。

 

Q2 それでは、地震ごっこをさせる方がいいのでしょうか?

A2 いえ、地震ごっこに誘うのはよくありません。地震での体験は、自分が全く思い通りにならない、コントロールできない体験をしたわけです。大切なことは、自分はいろいろなことを自分で働きかけてコントロールできるよ、という体験です。やりたくない子どもに、地震ごっこをやらせようとすると、嫌な思いが残るだけです。それはトラウマ反応の「回避」(トラウマ体験とむすびついたすでに安全な刺激を避ける:”地震”という言葉を使うのをいやがる、”あのことは話たくない”など)を強めます。熊本地震の心のケアのニュースで、ある医師が「故郷のテーマで絵を描きましょう!」「家族であの日のことを語りあいましょう」というメッセージを流していますが、それは1995年当時は、デブリーフィングといって推奨された方法でしたが、2001年911テロ後、さまざまな研究から、国連の災害紛争後精神保健ガイドライン(IASC)でも、やってはいけないことと明記されています。

自分のペースで、語りたいときに、語れるようになっていくことを応援することが大切です。学校では、「先生あのね」「壁新聞」「3分作文」など日常生活体験を表現する機会があります。そこに、震災体験を描きたい・書きたい子どもが書いていき、それを教師やカウンセラーがしっかり受けとめる(<先生は〇〇と思ったよ>とキャッチボールする営み)ことが大切です。東日本大震災のときは、1学期の終わりころ、ぽつぽつと震災体験に関する表現がでてきたとある重災地区の教師は語っていました。もちろん、「震災体験に関することは一切話してはいけない、触れてはいけない」も誤りです。これも「回避」を強めてしまいます。

 

2016年5月10日 (火)

熊本地震と心のケア(24)机の下への避難行動について-命の三角形論争

熊本地震は、4月14日、16日と震度7が2回、震度6強が2回(4月15日、16日)、震度6弱が3回(14日、16日2回)、震度5強が3回(16日、18日、29日)、震度5弱が7回(14日、15日、16日4回、19日)と連続して起こっています(Wikipedia、熊本地震(2016年)より)。
これは安全感を脅かし、常に緊張を強いる出来事です。
地震ストレッサーへの対処としては、防災と減災です。
地震が起きたときどうする?という避難行動は、「机の下に身をおいて、机の脚をにぎって、地震がおさまるのを待つ」という定番の避難訓練が学校では行われています。
 
しかし、ネパール地震では、外にいて、揺れを感じ、家に入って、机の下に避難して家が倒壊して亡くなった方がずいぶんおられたと聞いています。この「机の下に」という防災訓練が、命を奪ってしまったということを教育関係者をはじめ多くの人が知る必要があります。
それで、「机の下」、「地震」をキーワードでgoogle検索すると、
「机の下じゃなかった!地震がきたときに生き残るための「三角スポット」」というホームページと「「地震が起きたら机の下より三角スポットへ!」を信じちゃいけないワケ」というホームページが1,2位でヒットします。
命の三角形(三角スポット:”Triangle of Life")は、 アメリカン・レスキューチームインターナショナル、隊長ダグラス・コップが提案しています。彼は、60カ国、875軒の倒壊した建物にもぐり込み救助活動した経験から、最も安全な空間は、三角に空く隙間であり、それを命の三角形と名づけました。そのため、揺れを感じたら、ベットの横や家具の横に身を置くことをすすめたのです。
これに対して、アメリカ赤十字が反論しています。
 
それを要約すると、命の三角形は、結果であり、揺れを感じたとき、命の三角形を予測できない、また、地震の揺れは縦揺ればかりでなく横揺れがあるので、家具の横に身を置くと、家具が横に滑って、押しつぶされてしまうということです。
 
以下のサイトが、翻訳されて参考になるでしょう。
 
 
 
"Drop, Cover and Hold on!" 避難行動のビデオがみれます。
安全確保行動のために、いまいる環境(建物の耐震など)を判断し、
どのような行動を選択するのがよいのかを、学校で、家族で話し合い、
余震があったとき、安全確保行動がとれたら、お互いをほめあうことが大切です。
そしてなにより、防災の取り組み(寝室には倒れてくるタンスなどを置かない、タンスには揺れ止めをする、など)を子どもといっしょにやることで、余震に対する対処力を高めていくことが必要です。
また、被災地での防災の取り組みでは、活動をはじめる前に、「命を守る大切なことだよ」と伝え、「ドキドキするのはとても自然なこと、息をゆっくり吐くとか、肩をぐるぐるまわしてからだをほぐす」などを取り入れて、「防災と心のサポートを一体に」すすめましょう!
 

2016年5月 6日 (金)

熊本地震と心のケア(23)昨夜のNHKニュースを授業で使いました

昨日のNHK7時のニュースを大学院の臨床心理学の授業で使いました。ニュース動画がまだ掲載されていましたので、それを見てもらいました。

1,もしあなたが臨床心理士なら、この小学2年生の女の子や家族にどのようにかかわりますか?(母に「タンスの前でねるのがこわい」といい、母の「どっちにねますか?」の問いかけに夜は車のなかでねるという)

 

2,医師の発言「子どもの変化はつらい目に遭ったときの自然な反応だとしたうえで、「放っておくとPTSD=心的外傷後ストレス障害に悪化する可能性があるので、しっかりケアしないといけない。基本的な安心感を子どもたちに提供することで、子どもたちはすっと落ちついていきます。どきどきした気持ちをしっかり抑えていくには、あえてあの日のことをみんなで、家族のなかで語り合うこと。あの日のことをしっかり語って整理をつけていかないといけない」

 

グループで話してもらいました。

 

1には、「不安は自然なのでようすをみては」という。「こわいこと、どうしたらいいか家族で話し合っては」という。「リラックス法を家族でやってみては?」という。「「どっちでねる?」とお母さんが提案しているのがとてもいい」と母にいう

 

2には、「あの日のことを、家族で話し合うのは子どもがさらに不安になると思う」「ちゃんと向き合うのはいいと思った」「放っておくとPTSDになるというのはちがうと思う」

といった発言があった。

つぎに、

私だったら、「タンスの前でねるのがこわい」と少女がいったのはすごいですね、と母にいいます。自分の身を守る力(防災の力)がありますね。まず、タンスを他の部屋に移すとか、より安全な部屋にいっしょに模様替えしてはどうですか?」といいますね。防災の知恵です。もちろん、お母さんの「どっちでねる?」と尋ねたことはすばらしいことも伝えますよ。

 まずは「あの日のことを語りあうことではなく」、地震や余震があったとき、身を守る方法と対策を話し合い実践しますね。

「ストレッサーへの対処(防災)とストレス反応への対処(心のケア)の両方が必要ですよ」と学生に伝えました。

 

 

授業の感想

・臨床心理士としてのアドバイスと考えると、心のケアばかりに気をとられてしますが、まずは防災について考えることが大事だということに気づかされた。安全が確保されないと、心の問題も解決しないことを改めて思い知らされました。

・防災ということを心理士がきっちり伝えていくという認識が乏しいことに気づかされ、心理学を学ぶ者として恥ずかしいと思った。対処方法を考えずに「大丈夫」「安心しましょう」といわれても不安をあおるだけなので、対処を学び、自分にも対処できるという感覚をもつことが重要であると思った。

・私は阪神淡路大震災の経験者で、あの日をきっかけに心理学を学びたいと思い大学に編入学しました。今もトラウマを学ぶ動機になっています。震災は天災ですが、二次災害は人災と言われるように、ケアと防災対策が必須です。これまでの教訓が生かされればと願います。

などでした。

2016年5月 5日 (木)

熊本地震と心のケア(22)NHKは心のケアの歴史を学んでほしい

今日のNHK7時と9時のニュースで、NHKスタッフが心のケアの歴史を学んでおらず発信していることに危惧しています。
問題はこの部分です。
今のどきどきした気持ちをしっかり抑えていくには、あえてあの日のことをみんなで、家族のなかで語り合うこと。あの日のことをしっかり語って整理をつけていかないといけない」と話しています。
「あの日のことをしっかり語って整理をつけて」というのは、1995年当時推奨されたディブリーフィングの考えではないでしょうか?
 
最も大切なのは、「今度地震があったらどうやって命を守るかを話しあう」ことです。
ニュースで登場した女の子が、夜「タンスの横で寝るのはこわいので、車でねる」ということをいってました。この女の子はまったく正しい選択をしています。問題は、今度地震があったとき、タンスや周りのものが倒れて、命を脅かされない環境を親子でいっしょに考え作ることであり、過去のあのときの事のみを語っても不安は軽減しないでしょ。
今度は親子で防災の備えをしましょう!
そのメッセージをNHKが送らないというのはどういうことでしょうか。

熊本地震と心のケア(21)防災教育による3つの安心感

防災教育実践第一人者諏訪清二さんが送る3つの防災教育による安心感

防災と心のケア」、ホームページ立ち上げました。
 

防災教育による安心感

 

    1,地震時、余震時に自分がどこにいるかを考えて、そこの安全性を瞬時に判断して、柔軟な行動を取ろう。ネパールでは、地震発生時に外にいて、揺れを感じて慌てて家の中に入って机の下に隠れ、倒壊したレンガの壁に押しつぶされて亡くなった事例を各地で聞きました。机の下に隠れろという教育を、それだけしか答えがないものだと信じて行動した結果です。防災教育の怖さを示しています。

  • 外にいたら、そのまま外にいて、何も落ちてこない場所で身の安全をはかりなさい。    
  • 室内にいて強い建物なら、その中にいて、安全な場所で身を守りなさい。安全な場所とは、「落ちてくるから危ない」「倒れるから危ない」「割れるから危ない」の3つです。    
  • 室内にいて、建物が脆弱なら、すぐに外に出なさい。    

    ただし、ネパールに教室はドアが一箇所しかないつくりが多く、今後建設、補修する際は、必ず2つ以上のドアをつけるように、学校だけではなく、建物の建設、補強をしている行政、支援のNGOにも伝えました。

 

    2,災害の後、余震を怖がったり、眠れなくなったり、不安になったり…といった反応は、普通ではない状況での普通の反応だということ。安心していいよというメッセージです。呼吸法などのリラックス法もいいでしょう。

 

    3,強い家、学校の校舎があれば安心だということを、お菓子のパックを使った工作で考えてもらいます。そして、将来家を建てるなら、強い家にしようというメッセージを伝えます。

 

    以上、3つの防災教育で、トータルに安心感を伝えてきました。

 

    (2016年4月30日 文責:諏訪清二)

熊本地震と心のケア(20)避難所の子どもたち-新聞記事より

避難所の子ども、心に変調 熊本地震、花の絵描けずというタイトルで、西日本新聞が記事を配信しています。(201605050228分)

 避難所の子どもたちのようすを2カ所の避難所からレポートされ、専門家の意見を聞き紙面を構成しておられ、大変参考になります。紙面には字数制限があり、心のケアについて、なかなかメディアが伝えることがむつかしい点があります。本文を抜粋しながら、私なりの解釈なり補足をしたいと思います。

 

>被災者のケアに当たる医師らによると、絵で花をうまく描けなかったり、けんかが増えたりしているという。なお続く余震や長期避難のストレスが原因とみられ、支援する精神科医は「避難所で子どもは自由に遊べず、親も周囲を気にする。住宅の手当てなど早期支援が必要だ」と指摘する。

>子どもたちは、地震の体験などをうまく言葉で表現できずにストレスを募らせることが多く、同法人は絵を描くことなどで気持ちを整理させる手助けをしている。

地震のときの恐怖と避難所でのプライバシーのない不自由な生活で、大人も子どものイライラや眠れないといったストレス反応で苦しんでいるのだと思います。もっとも有効な対処は安心して生活できる住宅の手当(ストレッサーへの対処)であることは間違いありません。一方で、それがなかなかすぐにできないとき、ストレス反応への対処が必要です。このNPOは「地震の体験をうまく言葉や絵で表現させること」が大切だと考えているようです。そうでしょうか。まず、安全・安心な体験が必要ではないでしょうか?

 

 一方教員が避難所に出向き、子どもたちに午前中にスケジュールをくみかかわっているニュースが配信されています。

 

避難所に出向き児童の心をケア 南阿蘇西小 (毎日新聞:201651日配信)

教員たちは児童らが避難する村内の5カ所の避難所を平日の午前中に訪問。「さくら会」と名付けた臨時の教室を開き、健康状態を観察しながら読み聞かせや勉強を教えている。課題のプリントやお絵かきのセットを持ち込むなど、集まった子供たちの年齢などに応じて対応している。

 

 このニュースは動画で配信され、子どもたちのようすや教師のかかわりがよくわかります。ある子どもの「起立!」という声からはじまります。午前中のスケジュールが小ホワイトボードに、「 南西さくら会①あいさつ ②けんこうかんさつ ③ラジオ体操 ④きのうのふりかえり ⑤学習 ⑥片付け・ふり返り」 と記されています。こういった構造化され、かつ、いつもそばにいてくれていた教員がこうやってかかわることこそ、子どもたちの安心感につながるのではないでしょうか。

 

>熊本県益城町では非政府組織(NGO)「ワールド・ビジョン・ジャパン」(東京)が避難所の町総合体育館で、子どもの遊び場としてプレールームを運営。同組織によると、5月に入り小学生同士などのけんかが2件起きた。ボランティアに暴力を振るう例もあったという。支援する臨床心理士で、福岡女学院大人間関係学部の奇恵英(キヘヨン)教授は「今は周囲の大人が善悪の区別を丁寧に諭しつつ、子どもが話しだすのを待つ時だ」と語る。

 

 奇先生は、発災直後には、被災された方に必要な生活物資を福岡からいち早く届けられたそうです。奇先生のグループは、東日本大震災後に、定期的に、宮古の仮設住宅を訪問し、動作法を展開されてきました。今回も大学院生とともに、いち早く、避難所の子どもたちの支援を展開されているようですね。心より敬意を表したいと思います。

 

子どもだけでなく大人もぶつけようのない怒りを抱え込みます。怒りを心のなかに閉じ込めることは健康によくありません。怒りの対処には2つあります。ひとつは怒りの適切な表現です。もうひとつは怒りをなだめる、ヨシヨシすることです。

 

子どもたちは、ボランティアの学生さんを、たたいたり蹴ったりして、怒りを表出してくるかもしれません。そのときに、<こんな悲しいことを経験した子たちだから、自分が少々痛くてもがまんすればいいこと、すきにさせてあげたい>と思ってしまう学生さんもいます。でもそれは、誤りです。決して、怒りを暴力に変えることを認めてはいけません。ただ、<暴力はいけません!>と感情的に叱りつけるのもよくありません。『むちゃむちゃ腹立つよね』と子どもの怒りの感情を認めること、と同時に、もしたたいたり蹴ったりしてくるようであれば、『それは痛いよー』と学生さんは自分の気持ちを言葉にすることです。そして、その怒りのエネルギーを、スポーツや相手を傷つけない自分を傷つけない表現に変えていくことです。まず、ボールやバットも、硬いものはよくありません。ボールが人にあたってもけがをしないスポンジボールや新聞紙で丸めた剣を用意するといいでしょう。遊び疲れたら、リラックス動作法(これが怒りをヨシヨシするなだめる体験です)を提案してみるといいでしょう。

 

奇先生が「丁寧に諭しつつ、子どもが話しだすのを待つ」とコメントされた内容は、おそらくそういう意味が込められていたのではと想像しています。今度、奇先生にあったとき、聞いてみます。

 

>今後、各地で順次学校が再開され、避難所から自宅や仮設住宅に移る子どもたちも増えるが、熊本市の避難所などでは地震の恐怖から「家に帰りたくない」と泣きだす子も出ている。対応する医師らは「まず昼間に家に帰る練習を」などとアドバイスしている。

 

 「まず昼間に家に帰る練習を」というのは、段階的練習法(実生活内エクスポージャー)という方法です。すでに安全な場所や人を避け続けることで、トラウマ反応が症状として持続するときに、少しずつのチャレンジを提案します。しかし、それは、「安全になっている」ということが条件です。家は危険度診断で、グリーンだったのでしょうか?もしグリーンだったら、そのことを子どもさんの発達に応じた言葉でお話してあげることがまず必要です。そして、安全と頭でわかっているけど、からだが思うように動かないときに、この提案がはじめて、意味をもつことになります。

 それと、今度余震があったとき、どうしたらいいか、防災の知恵を話し合っておくことです。もし、危険度診断でレッドであれば、もちろん、このアドバイスは適切でないことになります。(お医者さんのアドバイスですから、家はグリーンでだたったのでしょうが)

 

もうひとつ気になる記事があります

心のケア」へ違和感――熊本地震をめぐって - 高原耕平 朝日新聞が426日に配信しています。ただ、この記事途中から「有料購読」になっています。天下の朝日新聞は、こんな大切な記事は無料で配信してほしいと思います。私も後半を読めてないので、正確なコメントができません。ただ、twitterに朝日新聞徳島総局から「「問題は、『ケア』は専門家にまかせておけばよいという風潮が進むことで、災害が生む不条理をわたしたちひとりひとりが感じ取り、考えるため感受性が麻痺してゆくことにある」と発信されていることから、「心のケア」の意味が正確に伝わってないと思ってしまいます。

 私は心のケアを「他者が被災者の心をケアするというよりも、被災者が、傷ついた自分の心を主体的にケアできるように、他者がサポートすることであり、自らの回復力・自己治癒能力を最大限に引き出すセルフケアへの支援」(冨永・小澤,2005)と定義しました。

確かに、「ケア」は「世話」ですから、「してあげる」ことを連想するかもしれません。前のブログで書いたように、「心のケア」ではなく「災害後のストレス対処」や「心のサポート」の方が適切です。中国語では「心理援助」です。ただ、これだけ、「心のケア」という用語が日本では拡がったので、この言葉に、適切な実態を込めていくほうがよいと考えるようになりました。

心のケアの専門家の役割は2つあります。

 一つは、身近な人がどうかかわればトラウマ反応を減衰させトラウマ後成長につながっていくかを身近な人にアドバイスすることです。これはメディアには大きな力があります。

災害や事件などのトラウマ体験をしても、ストレス障害になってしまう人は一部です。多くの人は日常生活を取り戻します。これまでの経験からどのように身近な人がかかわれば、日常生活を取り戻していけるかです。毎日新聞が掲載した避難所に出向き児童の心をケア 南阿蘇西小」の実践はまさにそれにあたると思います。

 

そして、奇先生の学生さんは臨床心理士養成の大学院生である意味、専門家予備軍かもしれません。でも、他の専攻の学生さんも大活躍しているとの情報がはいってきています。

昨日、毎日放送「ちちんぷいぷい」で兵庫県立大学の学生さんが西原村の避難所で、子どもたちと遊んでいる場面がながれていました。

そして、身近な人たちの適切なかかわりの機会をえることがなかった、家族や愛する人を喪失した、もともとの養育環境の不安定さなどの要因により、ストレス障害になってしまう人たちがいます。その状態になれば、医療の専門家のかかわりが必要です。それが専門家の2つめの役割です。

2016年5月 4日 (水)

熊本地震と心のケア(19)”地震”という言葉と”地震体験を聞く”ことを区別しよう!

”地震”という言葉は、決して、人の命を奪いません。言葉は安全です。
 
でも、”地震”という言葉は、トリガー(きっかけ刺激)になって、”こわかった地震のときの体験を思い出させます”。
この時期、話したくないのに、地震のときの体験を語らせようとしたり、絵に描かせようとすることは適切ではありません。
 
しかし、”地震があったら、ここは安全か判断して、適切な行動をとることをすすめたり練習することは大切です”。(問題に立ち向かう対処、ストレッサーへの対処)
<避難訓練のときに、こわかったことを思い出すかもしれないけど、それはとても自然なことだよ、でも、練習は安全だから、ドキドキは小さくなるよ。>(気持ちについての対処、ストレス反応への対処)と言ってほしいと思います。
ストレッサー(地震や余震)への対処をきちんと身につけること、これが、地震後の問題に立ち向かう対処です。
安全感がもてないときに、どんなに楽しい活動をしても、心から楽しめません。
心のケアというと、ストレス反応にのみの対処をイメージしてしまうから、「心のケアに違和感」といった発言が起こるのです。
 
正確には、「災害後のストレス対処」です。問題に立ち向かう対処(防災)と心とからだへの対処(心のケア)の両輪で、この困難を乗り切りましょう!
 
ストレッサーへの対処が重要なことは、「もうすぐ試験(ストレッサー)があるけど、心配、落ち着かない、イライラする(ストレス反応)」と子どもがいったら、<おもいっきり遊んで楽しめば、心配はどこかにいっちゃうよ>(ストレス反応への対処)とはいわないですよね。
 
<そうだね、わからない問題があったら、解けるように勉強しよう!>(ストレッサーへの対処)といいますよね。
 
でも、一杯勉強したけど、本番でかちこちになって、力が発揮できなかったら、悔しいよね、それで、落ちつくためのリラックス法(ストレス反応への対処)を身につけておくといいよ。
 
これと同じです。
 
防災(ストレッサーへの対処)と心のケア(ストレス反応への対処)の両輪で、このいまだかってない余震が続く地震に対処しましょう!

熊本地震と心のケア(18)”地震がこわいよー”と子どもがいったら?

健康チェックで、
<なにかこわいことあるの?>
「地震がこわいよー」
<そうだよね、先生もとてもこわかったよ。よくいってくれたね。こわいときは先生に言ってくれたらいいんだよ>
とやりとりしたとします。
子どもはどれくらい 安心するでしょうか?
子どもは「また地震があったらどうしよう。こわくて眠れないよ!」と、過去の地震の体験から、将来の不安を先生に語っているのかもしれません。
そうすると、過去のことだけでなく未来の不安について、あつかわなければなりません。
<なにかこわいことあるの?>
「地震がこわいよー」
<そうだよね、先生もとてもこわかったし、また、あんな大きな地震があると思うと、とってもこわいよ。だれでもこわいと思うよ。こわい気持ちをよく言ってくれたね。>
「うん、避難所は、こわくて、ねむれないから、車で寝てるの。でも、窮屈でぐっすりねむれない。」
このあと、なんといってあげたらいいでしょうか?
相談に対しては、問題焦点型対処(Problem focused coping:問題に立ち向かう対処、ストレッサーへの対処 と私は呼んでいます)と情動焦点型対処(Emotion focused coping:気持ちについての対処、ストレス反応への対処 と私は呼んでいます)があります。
先生のここまでの応答は、こわいというストレス反応への対処のメッセージです。これは、とても重要ですが、これだけでは、十分ではありません。
これからも起こるかもしれない”地震”というストレッサーに対する対処へのメッセージが必要です。では、どんなメッセージが、問題に立ち向かうメッセージになるでしょうか?
<またあんな大きな地震があっても、(自分で自分の、先生が君たちの)命を守ることができるよ。いま、大きな地震があったって、この建物は、大きな地震でも倒れないようにできてるの。でも、天井に電灯があるよね、あれが落ちてきて頭にあたったら、危ないから、机の下にすっとはいって、机の脚をしっかり握るんだよ。>
でも、ネパール地震では、耐震性の低い建物であったため、校舎は倒壊しました。たまたま土曜日の休みの日であったため、多くの命は奪われなくてすみましたが、地震があったら<机の下に>という防災訓練は、建物の耐震性を考えないと、命を奪ってしまうかもしれないのです。
<いま〇ちゃんの地域の避難所は、△だよね、建物が大丈夫か、検査しているから、大丈夫だよ。でも、おうちの人も心配だから、車で寝泊まりしているんだよね>
NHKニュース(5月2日)で少し気になる記載がありました。
校長は「地震直後だけでなく、地震の『フラッシュバック』はいつ来るか分からない。しばらくは子どもたちに地震の話は控えたい」と呼びかけました。
<フラッシュバックは、安全・安心感が戻ってきて起こることが多いです。そして、それが起こったら(まるであのときの恐怖が今蘇って体ごと苦しくなる)、むしろ、良いことが起こっている、こわい気持ちを閉じ込めていたのが、自然にあふれでてきて、そのことにふれてもいいんだよ、という意味なんだよ。>
 
<過去の地震体験について、語らせることは、いまは、控えましょう。でも、今後、大きな地震が起こったとき、どうしたら命を守れるかは、しっかり学びましょう>

もうすぐ、「防災と心のケア」のホームページを立ち上げます。
防災の専門家に、この時期、どのようなメッセージを送ったらいいのか、どういう体験が子どもたちや大人に必要なのかを、発信してもらう予定です。
 
 

2016年5月 2日 (月)

熊本地震と心のケア(17)学校再開-担任による健康チェック?

熊本市内の学校が徐々に再開されています。
ニュースで、担任が健康チェックが行っているようすが、TV東京(インターネット)やNHK7時のニュースでながれていました。
TV東京の画像からは
 

1 いつものように食べるきになれない

2 はき気がする

3 おなかがいたいことがつづく

4 下痢をくりかえす

5 ねむれないことがある、すぐにめがさめる

6 からだや目がかゆい

7 頭が痛いことがつづく

8 運動しないのに、心臓がどきどきする

9 なんとなくからだがだるい

・・・・

の項目でした。残りはわかりませんが、17項目のようです。

日常の健康チェックからはいり、トラウマの項目をいれてないのが、この時期

よい試みだと思いました。

学校再開後しばらくは、日常を取り戻す営みだと思います。

先生(担任)は、あなたの睡眠やイライラについて見守っているからね、つらいことを抱え込まなくていいのよ、というメッセージをこめて、健康チェックをしているのだろうと思います。

熊本県臨床心理士会が、これらを教師や指導主事の方たちと相談しながら、おやりになっているのでしょう。この災害には、とてもよい試みかもしれませんね。

東日本大震災後の学校再開6週間のあいだに、眠り、イライラ、体調、食欲の項目で構成した健康アンケートとイライラや眠りへの対処とリラックス法などのストレスマネジメント技法を組み合わせて実践しました。それを思い出しました。

また、ハリケーンカトリーナ後の心理支援では、スクールカウンセラーが、小児科チェックリストを活用して、ハイリスクの子どもをスクリーニングしたそうです。

 

さまざまな心身の反応が、大変な出来事による当然の反応で、どうすれば

それらをうまく収めていけるか、そのメッセージを送り、いかにセルフケア活動に

つなげていけるかが、今後の課題かもしれません。

 

2016年5月 1日 (日)

熊本地震と心のケア(16)ストレスのチェックリストはなんのためにするの?

ストレスのチェックリストはなんのためにするのでしょうか?
大きく2つのやり方があります。
1,ハイリスクの人(子ども)を専門家が発見するためのスクリーニングとして。
 
2,その人(子ども)自身が自分のストレスを知り有効な対処を考え実践するためのセルフケアとして。
2は、その結果、ハイリスクの人を専門家につなぐ役割ももっています。
私たちは、2を災害後の心のケアモデルとして推奨してきました。
 
しかし、文部科学省がいじめを発見するために、1のモデルを使っています。
そして、労働者のストレスチェックも1の手法でしょう。
さらに、ストレスのチェックリストに、「不意にこわいことを思い出す」 とか、「こわいことをおもいだす」 という項目があれば、それは、再体験反応の項目です。すでに安全になっているのが(Post)、前提です。
熊本は、まだ、余震が続いている状況なら、まだ、Post ではないですよね。
このチェックリストは、トラウマの体験にふれます。トリガーになります。それによって反応が生じたならば、どう対処したらいいか、実施者はストレスマネジメントと心理教育(そうだよね、思い出してつらくなるのは、とても自然だよ、)をしっかりできることが必要です。
今の時期、再体験反応を含むストレスチェックリストをすることが適切かどうか、
災害医療の第一人者の意見もきいて実施してほしいと思います。
 

熊本地震と心のケア(15)学校再開の準備ー東日本大震災で被災した学校再開時のプラン

東日本大震災時に、3校合同の学校を再開したときの学校プランを
西條剛志先生が送ってくれました。熊本の学校再開のなんらかのヒントに
なればとの願いからです。
職員会議プラン、年間プラン、4月プランの3つです。
個別相談と全体集会を児童の心のケアの2つの柱にされたようです。
         
全校集会①・・・全校児童の気持ちを一つに、前向きなトーンを作り出す→「みんなでつくろうこの1年」(話し合い) 
全校集会②・・・全校児童の気持ちを一つに、前向きなトーンを作り出す→「みんなで楽しもうこの1年」(ゲーム集会)
全校集会③・・・全校児童の気持ちを一つに、前向きなトーンを作り出す→「みんなでつくろう学習発表会」(話し合い)
全校集会④・・・全校児童の気持ちを一つに、前向きなトーンを作り出す→「みんなで楽しもうこの1年」(スポーツ大会)

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