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2015年10月

2015年10月11日 (日)

公認心理師法について(11)今後の方向性

国家資格・公認心理師養成と学会連合資格との今後の方向性(「方針」ではありません)について、もう一度書いてみたいと思います。

 

 

公認心理師養成のカリキュラムと試験機関はこの半年以内に決まるでしょう。それは、法律に定められているからです。試験機関は、これまで臨床心理資格を認定してきた日本臨床心理士資格認定協会と3団体ベースの心理研修センターの2つのいずれか、ないしは、いずれもではないでしょうか。

 

 

学会連合の資格、臨床心理士、学校心理士、臨床発達心理士の養成は今後どうなるのでしょうか?

 

学校心理士は、「学校」、臨床発達心理士は、「発達」

 

と分野特化していますから、公認心理師の上位の学会連合専門資格として、存続可能だと思います。現状は、学校心理士養成、臨床発達心理士養成をみていると、学内実習がないところもあるようです。公認心理師養成では実習を強化することを余儀なくされると思います。

 

もちろん、公認心理師養成カリキュラムに、心理実践・臨床実習-具体には、クライエントさんへのカウンセリング、心理療法の実習-を、きっちり明記する必要があります。これが明記されなければ、公認心理師法第2条の業の1,2を達成できないわけで、これは必須にしなければ法律に合致しません。

 

一方、臨床心理士は、全分野なので、公認心理師と重なるため、いまの臨床心理士養成のままでしたら、公認心理師との差別化が難しくなると思います。公認心理師は学部4年+大学院2年、臨床心理士は大学院2年なわけですから。そうすれば、現有の臨床心理士養成コースで、国家資格・公認心理師を受験し、合格すれば、あえて、学会連合資格・臨床心理士を受験するだろうか? という疑問がわいてきます。

 

もちろん、10年後には、臨床心理士を取得するものはいなくなり、全員が国家資格・公認心理師を取得するということでもいいかとは思います。臨床心理士養成のノウハウが公認心理師に受け継がれるのなら。そう考える人も多くいるかもしれません。

 

 しかし、学部4年+大学院2年の養成で満足してはいけません。医学部は、国家資格・医師免許を取得後、2年間の研修医制度があるではないですか。マンツーマンで、指導を受ける体制ができているそうです。

 

私は、さらに専門性の高い資格は必須で、それは、「心理療法」領域だと思います。

 

そうすると、

 

筆記による公認心理師試験(修士2年1月か2月)を受け、合格したものが、大学院修了後2年間の実地研修を受け、ケース研究をとりまとめ、臨床心理士の面接試験を受験する。そういった「新しい臨床心理士養成」の構想を日本臨床心理士資格認定協会が打ち出すべきだと考えています。

 

そして「心理療法」については、認知行動療法、力動的心理療法、ヒューマニスティック心理療法の基本が理解でき、クライエントに適用できる、といったレベルだと思います。ですから、臨床心理士養成大学院には、少なくとも2分野のアプローチの専門家が教員としていることが必須になります。うつやPTSDには認知行動療法と世間では広まっているかもしれませんが、トラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)のトラウマの語りは力動論的アプローチです。学派間の感情的対立に終止符を打ちましょう。

 

そして、いずれ、看護師-保健師のように、公認心理師の上位資格に国家資格・公認心理療法師ないし公認臨床心理師を置くように努力するというのはどうでしょう?

 

認定協会が「あたらしい臨床心理士養成構想」を打ち出すこと、そして、他団体が意見をいうことが、今の日本臨床心理士会幹部の「方針」にブレーキをかけ、各団体が意見をきちんと公平にいえる組織を新たに作り、そこをベースに、新しい船出ができるのではないでしょうか?

 

 

 

災害後の子どもの心のケア(3)常総・鬼怒川氾濫水害-あさイチ(7日)のコメントをふりかえって

台風18号の影響で鬼怒川が910日に決壊して、甚大な被害がでた。北関東・東北水害と称せされるこの災害から1か月がたちました。107日、NHKあさイチは、

大規模水害から1か月-暮らしの再建は? というテーマで特集がくまれました。

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2015/10/07/01.html

被災後の心のケアでは、母親と3姉妹の家族と、幼児をかかえる母親の苦悩がビデオで放映されました。そして、コメントを求められました。ノーベル賞受賞というビッグニュースにより、予定時間よりコメントの時間がずっと短くなりました。そのこともあり、十分に、コメントを伝えられなかったので、ここに思いをいっぱい書くことにします。

 

 家の片づけや、しがみついてはなれない1歳の幼児を抱え、涙ぐむ母親の支援としては、保育園・幼稚園での支援と、個人でできるちょっとしたストレッチやからだほぐしが効果的とアドバイスしました。ゲストからは、「そうかな?私はしゃべるのが一番やと思うけど」との発言がありましたが、「いや、ほんとうにしんどいときは、話すこともつらいので、まずからだがほっとすること、他者からのねぎらいが必要です」と切り返せばよかったと、あとでビデオをみながら思いました。

いま、東日本大震災から47か月がすぎました。当時2歳だった子どもが小学校1年生、3歳だった子どもが小学2年生です。じつは、ここ数年、小学校低学年の児童が、つよいトラウマ反応を折々に示しています。“つなみ”ということばを聞いただけで、固まってしまったり、うるうるしてしまうこが、25%ちかくいる、というのは、岩手県心とからだの健康観察のデータや、厚労省研究班のコホート研究の報告からも裏づけられています。でも、これが、そく、ストレス障害ですよということではありません。トリガーになる刺激にだけ反応があらわれ、あとは、学校で楽しい活動をほとんどの児童ができています。沿岸部の小学校では、岩手県沿岸南部の巡回型スクールカウンセラー渡部友晴さんが思いついたドラえもんの授業での活用です。ドラえもんの着ぐるみを着た担任とスクールカウンセラーのちょっとした劇で、「“つなみ”ということばがいやだったけど、いまは怖くない」と児童が授業の感想で書いてくれます。ドラえもんは、ネズミがトラウマなので、その物語を教室で展開するのです。回避行動が積み重ねっていくと、これはストレス障害のリスクになります。この回避行動にゆるやかにチャレンジするプログラムを、この災害でもいつかやるといいと思います。また、1か月のいま、臨床心理士チームを保育園や幼稚園に招いて、心のケア研修会を保護者に提供するのもいいかもしれません。

 「茨城県臨床心理士会は災害以後の心のケアのホームページを立ち上げていて、そこに相談メールのコーナーがあります。そこにアクセスしていただくと、対応しますよ」事務局のつくば大学の坂本昭裕先生がメールでも電話でもおっしゃってくれていました。当日は、このことを紹介したかったのですが、タイミングがなく残念でした。

http://isccp.jp/index.php?id=22

保育園・幼稚園では、水害ごっこがはじまっているかもしれませんね。そんなときどんなふうにそれを受け止め、どうかかわったらいいのか、ぜひ、リラックス法やグループ討議を交えながらの研修を保育園や幼稚園は企画するといいと思います。

私の研究室に、東日本大震災のとき名取市の保育園で被災し、一夜を保育園の屋上ですごした経験のある当時保育士さんが、いま大学院2年生で学んでいます。今日、ニュースで、閖上小・閖上中の校舎とのお別れ式が放映されていました。彼女の保育園からも閖上小にいった児童さんがいるようです。彼女は修士論文で、子どものトラウマ反応への保育者のかかわり効力感尺度を作成し、被災地やその他に地域の保育園で、アンケートのお願いをして、いま回収しているところです。彼女のアンケートも、保育者が子どもへのかかわりをふりかえるのに役立つかもしれません。

 

小3の少女が雨がふりだすと「また浸水しない?」と何度も繰り返し尋ねる、というレポーターの発言には、「回復には、安心・絆をベースに表現・チャレンジが必要な体験です。この少女は、すでに、お母さんに、怖いよって、言葉で表現できていますよね。いっしょに、天気予報をみたり、避難について地域防災の学びが、安全感をもたらし、安心感をもたらします。まずは、「ことばでちゃんと自分の考えや気持ちをいえてすごいね」てほめてあげてほしいです。地域防災と心のサポートの両輪で支援しましょう」といった趣旨のことを短く話しました。

 有働さんの頭の回転のはやさと、柳澤さんの素敵なコメントにいつも感嘆します。そして、なにより、取材を続けて短い時間に本質的なことをとりまとめられた中谷文彦アナウンサー、磯田美菜ディレクターそして、多くのスタッフのみなさん、おつかれさまでした。これからも、息長く、心のケアの報道を続けてほしいと思います。

海外の心のケアのモデルは、災害の急性期に限定されていて、長期的に、回避や自責をどう払しょくしていくのか、心のケアをとりいれた防災教育の在り方などはガイドラインに記載されていません。これは、災害多発国日本が先進的に世界に発信できる取組だと思うのです。

 

 この日は、そのあと、JICA東京を訪問、ネパール支援について貴重な情報をいただきました。

2015年10月 2日 (金)

公認心理師法について(10) 今後のあり方

 国家資格・公認心理師養成と臨床心理士や臨床発達心理士・学校心理士などの学会連合資格の今後について私見を述べたい。

 公認心理師養成は、学部4年+大学院2年の6年の教育経験が必要となった。7条の2と3が危惧されるところであったが、

附則(受験資格に関する配慮)第三条文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験の受験資格に関する第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令を定め、及び同条第三号の認定を行うに当たっては、同条第二号又は第三号に掲げる者が同条第一号に掲げる者と同等以上に臨床心理学を含む心理学その他の科目に関する専門的な知識及び技能を有することとなるよう、同条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間を相当の期間とすることその他の必要な配慮をしなければならない。

に明記されたため、学部+大学院が公認心理師の養成の基準となった。

 一方、今の臨床心理士養成は大学院2年である。もちろん、大学院入試で、学部レベルの心理学はすでに習得していることが求められている。心理学・臨床心理学の筆記試験に回答できないものは、合格しない。しかし、他職種・他学部からの大学院受験は可能である。そのため本学の例でいえば、教師はもちろん、他職種・看護師・助産師・歯科医師など、独学で心理学を学び合格した者が、大学院で学び、臨床心理士資格を取得、社会で活躍している。今後、こういう他職種でかつ有能な対人援助職者も、学部の心理学の単位を取得していないと、公認心理師養成大学院の入試にチャレンジできないことになる。これは、ある意味、社会の損失かもしれない。そうすると、国家資格・公認心理師は取得しなくとも、臨床心理士資格を取得したいという方が一定数おられるであろうし、それを保障するのも国民の利益になる。

 公認心理師養成は、学部+大学院6年である。一方、臨床心理士は大学院入試で心理学・臨床心理学の知識は求められるが必ずしも心理学専攻の学部を卒業していなくても受験できる。そこで、日本臨床心理士資格認定協会は、国家資格・公認心理師養成とどのように関連づけていくのであろうか。明確に方針を打ち出してほしい。

 私案であるが、臨床心理士養成コースの学生は、臨床心理士のみを受験するものと、公認心理師試験を受験しその後臨床心理士を取得するものの2通りを選択できるようにしてはどうだろう。臨床心理士養成コースに学ぶ学生は、大学院2年の1月に公認心理師試験を受験、合否が3月末までにわかる。

 そうすれば、司法試験のように、大学院を修了後、6月に司法試験を受け、9月に合格通知をもらったあと、借金をしながら司法修習生として約1年務めたのちに、やっと法曹の専門家として自立するといった親にながく負担をかける対人援助専門職にならなくてよい。しかも、法科大学院合格率20%は、国資格制度としては明らかに欠陥である。

 臨床心理士養成コースを修了し、公認心理師試験に合格した者は、公認心理師として働きながら、修了後2年間のケース研究(実習)期間(医学の研修医制度はもっと教育が行き届いているのはいうまでもない)を設けてどうだろう。そうすれば、国家資格を取得して、現場で仕事をしながら、心理療法の研鑽をつむことができる。その間に、認定協会の提供する研修機会やスーパービジョンを受ける。そして、複数ケースを取りまとめ、臨床心理士の受験に臨む。特色は、心理療法ができる臨床心理士である。

 臨床発達心理士、学校心理士は、心理士の活動分野において、領域が特化している。医学では、小児科、精神科、外科といった診療科がある。臨床発達心理士は、発達、学校心理士は、学校の心理のスペシャリストという特色がだせる。一方、臨床心理士は、もちろん、多分野のスペシャリストであると同時に、心理療法がきちんできるスペシャリストではないだろうか。

 今の大学院の養成を考えると、臨床心理士養成大学院ほど、ケース研究をやっている養成システムはない。もちろん、養成大学院によってばらつきはあるかもしれない。しかし、本学についていえば、修了までに最低長いセッションのケースを複数担当することが義務付けられている。公認心理師法の第2条の業に対応するためには、相談ができる専門職の養成が必須である。公認心理師の大学院カリキュラムでは、学校心理士養成コースも臨床発達心理士コースも、少なくとも、学内で相談ケースを担当してスーパービジョンを受けて修了するシステムを整備する必要があるかもしれない。

 そしていずれ、公認心理師の上位資格として、国家資格・公認心理療法師の創設の礎にしてはどうだろう。看護師-保健師モデルである。ある精神科医がいった。「海外の臨床心理学者は、とても有能でがんばっています。PTSDの最も信頼性の高い心理療法を開発したEdna Foaは臨床心理学者ですよ。日本の臨床心理職者もがんばってほしい」と、そして看護師-保健師モデルを参考にして、より質の高い人材養成をめざしてはと、助言をいただいた。

 現在の高校生、大学生が、年単位で、わかる心理専門職者の養成のビジョンを早く提示してあげてほしい。

 日本臨床心理士会代議員会が1012日に開催されるという通知をもらった。理事会では、ある「方針」が議決されたとのこと。10年後、20年後を視野にいれ、現在の臨床心理士などの学会連合資格を尊重し、かつ、高校生、大学生が納得できる「方針」を期待したい。

「方針」を議決したのであれば、心理学ワールド・臨床心理学4団体で、早急に、将来のあり方を、協議してはどうだろう。

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