2009年11月12日 (木)

災害後の心のケアプログラム-幼児へのトラウマストレスマネジメントワーク

台風9号災害後の幼児への心のケアプログラムを紹介します。

作:冨永良喜・吉田明世

1,動物たちが眠れない、いらいらする、こわいよ、落ち着かない、どうしたらいいんだろ!
 パペット(おさるさん2匹、先生役ごりら)を持ちながら、a(タカちゃん)、b(ミッキー)が会話をします。

   a:ねえミッキー、お布団にはいっても、なんかなかなか眠れないんだ!
  b:え、ミッキーもそうなんだ。怖い夢をみて目が覚めちゃうんだ。

   なんか、イライラするし。

  a:トイレもひとりで行けなくなったんだ。お母さんがいないと。

  b:ミッキーも、ずっと、お母さんがいないと心配なんだ。

    a:あ、雨?(顔が硬く、からだがかたまる)
  b:どうしたの?
  a:なんでもない(こわい気持をがまんしている)
  b:え、でも・・・
  a:なんでもないっていってるやん(イライラ)
    b:どうしたらいいんだろ

  ゴリラ先生:たいへんなことが3ヶ月まえにありました。
    あんなたいへんなことがあったら、動物くんたちのように、みんなも眠れなかったり、こわい夢をみたり、雨がふってきたらいやだなーって思うのは自然です。でも、そんな気持がずっと続くと、幼稚園が楽しくなくなります。そんなとき、どうしたらいいかをあとで、紙芝居のおねえさんを呼んで教えてもらいましょう!
 その前に、いまのみんなの気持をチェックしてみましょう!

 表情絵をみせて、どんな気持ちか、子どもたちに発言してもらいます。

2,いまの気持は?
   
  (絵のアンケート配布)幼児用トラウマチェックシート(ファイルが重くてupできませんでした。必要な方は、hotanshin@hotmail.comまで。)

 アンケートの書き方、動物君たちが説明。
  a:ぼくはお布団にはいってもなかなか眠れないんだ。
  先生:そんなときは、大きな○をぬりましょう。
  b:ぼくは、すぐねむれるよ。
  先生:だったら、×をぬりましょう。
    ・・・・・
3,どうしたらいいの?あそうだ!かばくんをよぼう
    ゴリラ先生:動物君たちは、どうしたらいいか悩んでいます。あ、そうだ、こんなときにどうしたらいいか、教えてくれる紙芝居のお姉さんがいるんだって。みんなで呼んでみよう。
「紙芝居のお姉さん!」

4,かばくんの紙芝居

  かばくんの紙芝居(これも、重くて、upできませんでしたので、必要な方は、活用目的などを書いて、申し込んでください)

5,落ち着くためのワーク、きずなのワーク

  眠りのためのリラックス

  絆のワーク

6,いまの気持は?

  気持ち3項目と、自由画を書いてもらいます。

  最後に、a(タカちゃん)b(ミッキー)が、怖くなったらどうしたらいいか、わかった、と言って終わりです。

  随時、子どもたちに、問いかけながらすすめることがポイントです。

  年中さん、年長さん、この活動に生き生きと取り組んでいました。

神戸新聞に紹介されました。

兵教大生ら、豪雨被災園児に心のケア(神戸新聞)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月11日 (水)

台風9号豪雨災害から3ヶ月-心のケアのいま

 8月10日、佐用町、宍粟市などを襲った台風9号豪雨災害後に、臨床心理士は主に学校を中心に、子どもたちの心のケアにあたってきました。当初は、複数の臨床心理士が応援にいき、「心のケアの授業」、「カウンセリング」、「グループ遊び」などを行ってきました。

 兵庫県臨床心理士会は、災害後の心のケアチームを立ち上げ、私は、心とからだのアンケートや心のケアのリーフレットの作成など、後方支援を続けていきました。

 小学校・中学校は義務教育課主幹のスクールカウンセラーが派遣され、高校はキャンパスカウンセラーの日数増で対応してきました。

 一方、保育園・幼稚園は、たつの市にある児童養護施設に併設されている児童家庭支援センターすずらんの臨床心理士チームが、ボランティアで、災害直後から、何回も園を巡回して、心のケアにあたってきました。

 私も、保育園・幼稚園の子どもたちに、心のケアのグループワークを、児童家庭支援センターすずらんのスタッフといっしょに行いました。プログラムは、またこのブログで紹介します。服部祥子先生・山田冨美雄先生作成のトラウマのアンケートから数項目選んで、やってみましたが、年中さん年長さん、3件法で、きちんと回答できていたようです。子どもってすごい力があるんですね。

それと、取材にあたっては、NHK神戸のM記者にお世話になりました。最近着任したそうで、心理学の出身ということもあり、たいへん熱心に、取材をしてくれました。

NHK被災幼児に”赤ちゃん返り”(おそらく数日でHpがみれなくなると思います)

11月9日 17時7分

台風9号の水害で大きな被害が出た兵庫県佐用町で、保育所や幼稚園に通う子どもの40%に、いわゆる赤ちゃん返りの行動がみられることがわかり、地元の臨床心理士などが保護者からの相談に応じることにしています。
ことし8月の台風9号の水害で、兵庫県内では20人が亡くなり、住宅など2900棟余りに被害が出ました。地元の臨床心理士などは、水害が幼い子どもに与えた心理的な影響を調べようと、およそ1か月後のことし9月、被害の中心となった佐用町で保育所や幼稚園に通う子どもの保護者およそ300人を対象にアンケート調査を行い、84%にあたる239人から回答を得ました。その結果、赤ちゃんに戻ったように甘えたりする、いわゆる赤ちゃん返りの行動が見られる子どもが全体の40%に上っていることがわかりました。また、風呂やトイレに1人で行けなくなった子どもが29%に上り、夜に怖い夢を見て突然叫んだりする子どもも12%いました。こうした傾向は、被害が大きかった家庭の子どもほど強く、調査をした臨床心理士などのグループは今後、保護者からの相談に応じることにしています。調査結果について災害の心のケアに詳しい兵庫教育大学の冨永良喜教授は「赤ちゃん返りは強いショックを受けた子どもによく見られ、周囲の大人が温かい目でかかわることが必要だ」と話しています。佐用町内の幼稚園に通う4歳の男の子の母親は「水害のあと、子どもは『水が来る』などと言うようになったり、おむつが取れなくなったり甘えるようになったので、そのたびに『大丈夫よ』となだめた。徐々によくなってきたが、まだ今もそのようなことがある」と話していました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 8日 (日)

女子大生殺害事件-心のケアは犯罪者との闘いである

島根、千葉で、相次いで痛ましい事件が起こった。

犯人に対する激しい憤りを感じる。

事件後に心のケアが叫ばれる。心のケアは動揺を鎮めること、ご遺族・友人・知人をケアすることが目的のように受けとられるが、その活動の本当の目的は、「犯罪者との闘い」である。

犯人が未逮捕の状況は、誰かが再び襲われるかもしれないという恐怖を引き起こす。

だから、友だちを亡くした悲しみと犯人への怒りを抱えながら、自分たちの身の安全を確保する「防犯体制」を大学・地域社会をあげて打ち立てないといけない。

県立大、学生のケアに全力

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 2日 (月)

学校で 新型インフル感染をいじめにつなげないで(朝日小学生新聞)

朝日小学生新聞に、「学校で 新型インフル感染をいじめにつなげないで」という記事が掲載されています。

K記者さんが、私のブログの「新型インフルエンザと心のケア」を読んで、アクセスしてくれました。当時は、新型インフルの実態がわからない状況でしたので、最近の爆発的感染状況と異なるので参考にならないかも、と前置きしてお話しいたしました。

K記者さんは教育問題に非常に精通しており、日本の心の健康教育の現状などをお話しすると大変関心をもってくれました。

私のコメントも、子どもが読んでもわかりやすい文章を工夫してくれました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月11日 (日)

長島一茂「学校の授業に“心のケア”の時間を作ります」(太田総理)No.2

学校の授業に”心のケア”の時間を!という提案の太田総理の番組を、詳しくまとめているブログを発見しました。

もと歌舞伎町ホストでいま大学院生のブログ」さんです。一部抜粋すると、

雑になるがまとめると、主張には大きく2つの柱があった。

・子供の現代的ストレスをセラピー等で軽減する(不登校・自殺者・いじめ等の増加)
・子供のときからストレスマネジメントを身に付けることで、大人になってからの
 ストレスや、パニック障害・うつ病等の精神疾患とうまく付き合えるようにする

反対の論点は大きく2つあって、
①子ども手当を削るのに反対
②むしろ今の子供は過保護で、もっとストレス必要

②については、金美麗さんが「3食足りているのに甘えている!」といった発言を紹介しています。このブログ是非一読してください。

 今日ある県の臨床心理士会の研修会に参加していました。午後は、事件事故後の心のケアの取り組みが紹介されました。教師、スクールカウンセラー、医師が見事に連携し、対応していった取り組みでした。

 なぜ、当該の学校の教師が、これほどまでに、子どもの心のケアにあたれたのか疑問でした。もちろん中心に活動した教師の教育観・個性がすばらしいことはいうまでもありませんが、討論であきらかになったことは、一つは、その地域が小学校から高校までストレスマネジメント教育に長く力をいれていたということでした。

 死ぬほどの恐怖を体験したあと、これまで経験したことのない心身反応が生じます。その反応に対しては、望ましい対処の方法が、これまでの科学的知見から明らかにされてきています。

 「心のケアの授業」とは、そのような出来事に遭遇するまえに、予め、子どもや教師がそのような科学的知識と望ましい対処方法を身につける教育です。

  最近、将来の総理大臣候補のお一人だった中川昭一前議員が急逝しました。新聞報道によると、父親の亡くなった札幌のホテルには決して近寄らなかったとか、それを繊細な面があると紹介されていました。私はその記事を読んだとき、それは、トラウマ反応の回避反応だと思いました。また、氏は腰痛を抱えていたり、アルコールの問題があったようです。医療分野の方も含めて、多くの人が、心のケア、トラウマケアの知識をもつ社会であれば、氏を社会により生かすことができたのにと残念に思うのです。

 心のケアとは、見えない暴力や見えない自然の力との闘いです。過保護にするというものではありません。

 ストレスにつよい人とは、自分の考えを落ち着いて伝える力がある人、プラス思考ができる人、日々感謝の気持ちがもてる人であり、がまんしつづける人ではないのです。

 また、ストレスマネジメント=呼吸法でもありません。もちろん、呼吸法もストレスマネジメント技法の一つではありますが。イライラ、むかつき、それをほかのことをして、解消しましょう!というのがストレスマネジメントの本質ではありません。このイライラはどこからきているのだろうか?あ!宿題していないためだ!宿題しよう!そのようにストレッサーを明らかにし、問題に立ち向かう力を培うことが、ストレスマネジメントの本質です。でも、勉強する、練習するといった問題に立ち向かうばかりで、試験や試合の本番で、緊張しすぎては、悔しいので、心を落ち着けるメンタルトレーニングを学ぶこともストレスマネジメントです。

 怒りや悲しみを、人を傷つけずに、自分を傷つけずに、表現に変える方法を学ぶこともストレスマネジメントです。

 長島一茂さんに、期待します。スクールカウンセラーを常勤化し、「心のケアの授業」を教師とともに、展開する教育運動の要になってください!!!

 あすは、学会理事会で、臨床心理職の資格問題が議論されます。

 わが国も、心のケアの制度化に向けて、大きく動きだす第二世代の時代にはいりつつあります。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年9月24日 (木)

四川大地震後の心理援助14-中国の心理健康教育

 日本心理臨床学会第28回大会でのシンポジウムの後、四川師範大学の遊永恒先生から、中国の教育制度を聞いた。中国では、小学校では児童22名に1名の教員が担当するらしい。ただし、授業は60名以上のクラスで一人の教師が担当するようだ。小学校も日本の中学校のように教科ごとに教師が担当するようだ(それで、陕西省宝鶏市で小学校での心理健康教育の授業を参観したときの一クラスの子どもの多さにびっくりしたことを思いだした)。

 心理健康教育は、2003年に、不登校やインターネット依存の子どもの対応のために、制度化されたが、四川大地震まで学校であまり重視されてこなかったようだ。いま、被災地の学校では約半数、心理健康教育師が常勤で勤務しているらしい。

 それで、日本のスクールカウンセラーが週に4時間から6時間であることを聞き、遊先生は驚かれたようだ。心理健康教育師は、心理健康教育の授業を担当するほか、インターネット依存の調査をするといった仕事があるようだ。カウンセリングは、児童にも保護者にも、まだまだ、敷居が高いらしい。その点、心理健康教育の授業を実施しはじめた点は、戦略的にも素晴らしい。ただ、心理健康教育の授業案はこれから充実させたいので、アメリカや日本の指導案に大変興味があるといわれていた。そのため今日は東京のある小学校を訪問し、スクールカウンセラーの授業を参観した。子ども同士がきちんと情報を交換・共有しないと課題が解決できないように工夫されている授業だった。この授業実践は総合学習の時間に行われていた。この授業内容については、スクールカウンセラーの了承をえて、報告したい。

 さて、日本もこの心理健康教育といった教育制度を学ばなければ、不登校・いじめ・学級崩壊といった結果対応に終始し、心の健康教育が、先進国から遠く遅れをとってしまう。
  このような教育制度の導入を民主党に期待したい。民主党のマニフェストに「スクールカウンセラーとガイダンスカウンセラーを全小中学校に配置」とある。今のように週4-6時間のスクールカウンセラーの配置ではなく、一部でいいので、常勤化してほしい。いまの時間数では、どうしても教育相談の活動で終わってしまうのが実情だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月23日 (水)

四川大地震後の心理援助13-JICAプロジェクトと中長期の支援(1)

日本心理臨床学会第28回大会は、支援プロジェクト委員会企画の一般公開として

シンポジウム「災害後の心のケア-アジアからの発信」を企画した。

中国から、王文忠先生(中国科学院心理研究所)と遊永恒先生(四川師範大学)を招聘した。また、JICA中華人民共和国次長・藤本正也氏と兵庫震災学校支援チーム・瀧ノ内秀都教諭(芦屋市立宮川小学校)を招聘して、それぞれ話題提供をしていただいた。

藤本氏は、レスキュー隊の活動についてまず紹介された。母子を囲んで黙祷を捧げる隊員の行為がだれが指令をだすでもなく自然にそうなったことを話してくれた。また、報道では知らされなかったが、隊員が瓦礫に挟まれてすでに亡くなっている子どもに、”ごめんね、ごめんね”と声をかけながら、ご遺体を救出していた姿に心打たれたという。

レスキュー隊の派遣、医療チームの派遣、そしてその延長に、こころのケアの派遣があることを語ってくれた。JICAでは6月末にすでに「心のケアチーム」の派遣を検討していたようだ。7月4日に外務省にあてた一通の私からのメールが、JICAに送られ、日本心理臨床学会の私たちのチームにJICAがアクセスする契機になったことも語ってくれた。そのメールを読み返してみた。四川省の西華大学のホテルから発信したときのことが鮮やかに思い出された。

お二人の中国専門家は、四川大地震後のさまざまな心理援助について話してくれた。遊先生は、洗面器を器にした箱庭遊びを紹介された。子どもと大人(教師や心理カウンセラー)との絆が深まったようだ。王先生は、Biofeedbackや携帯通信を使ったハイテクの心理援助から、文化を大切にした心理援助まで、中国科学院が総力をあげて、この1年半活動してきた経緯を語ってくれた。

阪神淡路大震災のとき、こんなに活動できなかった、と思った。

シンポ企画以外にも、小グループで、お二人の専門家との交流談話会を企画した。そこで、さまざまな意見交換がなされた。

2003年に、中国は、「心理健康教育」を「徳育」の中に「道徳」と並んで位置づけたという。それは、子どもを巡るさまざまな心理的問題(例えば不登校など)に対応する教育施策としてはじまったそうだ。そして、四川大地震後「心理健康教育」で、災害後の心理援助の内容が付加されたようだ。この教育施策は、日本は大いに参考にすべきであろう。

また、日本のスクールカウンセラー事業が1校あたり週に4時間~6時間と聞いて、中国専門家は大変驚いていた。そのような短い時間で対応できるのだろうかと。

また、中国心理学会・張侃理事長は、四川大地震後、20年計画を発表した。

災害は、被災しない人にとっては、あっというまに、過去のことになる。

阪神淡路大震災を経験した私たちは、2年目、3年目、・・・10年目と、その傷が及ぼす影響の深刻さを知っている。

なぜ20年かと尋ねた。王先生は、「(1976年14万人以上の死者をだした)唐山地震の被災者に、四川大地震後すぐに調査をしたんです。その結果、離婚、DVなどその背景に唐山地震が影響していることがはっきりしたのです。ですから、20年は心理援助を続けることにしたのです」と。

一方で、臨床心理職の国家資格化に向けて、動きだしたことを、実感した。

日本心理臨床学会理事会での話し合い、臨床心理職国家資格推進協議会での話し合い、詳細は後日報告されるだろうが、わが国も心理援助(心のケア)についての法的整備が大きく動きだそうとしている。

まだまだ、今回の出会いで感じ、伝えたいことがある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月 1日 (月)

新型インフルエンザと心のケア(9) 感染症専門家の講話・教師のかかわり・アンケート

大阪の関西大倉高校も休校が解除され、2週間ぶりに、生徒たちの元気な声が戻ったらしい。感染症センター長の講話を生徒たちは聞いたという。正しいウイルスの知識をもつことが、誹謗中傷・不快な対応への毅然とした態度を形成する。高校生向けにわが国のこの分野の第一人者の講話は、ぜひ、公開してほしいものだ。感染症センターのHpや文部科学省・厚生労働省のHpでもいい、いそいで、専門家によるわかりやすい新型インフルエンザの知識を提供してほしい。http://sankei.jp.msn.com/life/education/090601/edc0906011139005-n1.htm

さて、学校は再開されると日常が一気に戻ってくる。そのなかで、少しほっとしたころに、さまざまな反応を自覚するようになる。今回の出来事は、季節性インフルエンザと変わらないというが少しずつ明らかになったためトラウマ体験に該当しないかもしれない。しかし、中傷や誹謗などの二次被害が強かったと聞いている。

学校生活が再開され、1週間ほどして、自分の心身反応を、把握して、その反応の意味と適切な対処の方法を学ぶアンケートを実施してもいいだろう。ただ、災害と異なり、被害にあった人とあわなかった人に分かれるため、クラス単位で、トラウマの心身反応についてのアンケートを行うことは、躊躇されるかもしれない。

郵送法や個別の対応で、心身反応をモニターし、適切な対処のアドバイスをそえたリーフレットを送り、希望者には、個別相談を受けるようにした方がいいかもしれない。前回のリーフレットなどを活用し、望ましい対処を行っていけば、強い心身反応は必ず収束する。

授業が再開されれば、教師は授業に力がはいる。当然のことである。一方で、怒り・無力感などの感情を心の中に閉じこめ続けると、そこにエネルギーを使い、知らずに、勉強に集中できなくなったり、やる気が起こらなかったりする。

担任が声をかけ話を聞く、がんばったことをねぎらう、そういったかかわりが、生徒の心を元気にしていく。そして、その反応が強く続くようであれば、臨床心理士とともに、対応する、もちろん、睡眠障害などを伴う場合は、医療機関に積極的に繋ぎ、いち早く、ストレスによる心身反応の回復を後押しすることが望ましいだろう。

作成したアンケートは、Ies-r、K6で構成し、二次被害の実態を把握し、今後の感染症対策の活かせるように、自由記述で、二次被害について尋ねている。

「iesrk6flu.xls」をダウンロード

もし、活用するときは、臨床心理士の助言によって活用してほしい。

また、メール(hotanshin@hotmail.com)でアクセスしてほしい。

個別のケアの伴わないアンケートは、二次被害を与えるので、アンケートは、心理教育と個別ケアを必ずセットで、実施しなければならない。

続きを読む "新型インフルエンザと心のケア(9) 感染症専門家の講話・教師のかかわり・アンケート"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月31日 (日)

新型インフルエンザと心のケア(8)-豊岡市のアピール

豊岡市は、新型インフルエンザにかかわる誹謗中傷・風評被害など払拭するため、政府等に対して、要望書を提出しました。

豊岡市長名で、内閣総理大臣、兵庫県知事などへ下記の要望を提出しています。

1 国民に対し、新型インフルエンザの症状など医学所見とその評価について、
科学的根拠に基づき、分かりやすい表現で、充分説明すること。

2 遺伝子検査や疫学的調査の目的を分かりやすい言葉で充分説明し、理解を
得ること。

3 疫学的分析結果を早く公表すること。

4 患者や家族等を非難中傷することには根拠がなく、卑劣なことであること
を強くアピールすること。また、患者や家族等に対し、罪悪感を覚えたりす
る必要がないことを充分説明すること。

5 無理解や偏見に基づく被害が現に発生していることを踏まえ、情報の提供
の仕方についても細心の注意を払うこと。

6 府県別、地域別の患者数を累計で公表あるいは強調することによって、あ
たかもその累計数字が現在の患者数であるかのような印象を与えている事態
を改善し、現在の罹患者数、現在の病状等を主体とした公表に努めること。

7 風評被害からの反転攻勢に対し積極的な支援を行うこと

豊岡市は、

新型インフルエンザに罹患した人の数が、毎日報道されていますが、いまなお、罹患している人数と、これまで罹患した人数を、わけて発信しています。

このように発信することで、二次被害を抑制することができます。

私も、豊岡市の要望書に記載されていることに、全く賛同します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月29日 (金)

新型インフルエンザと心のケア(7)-広げよう防疫教育・豊岡市の実践

いまの8:45のNHK神戸のニュースで、豊岡市の小学校で、新型インフルエンザについての二次被害を防止するための小学校での授業が紹介されていました。

中学生が修学旅行で中傷を受けて、豊岡市教育委員会が、”防疫教育”をはじめたようです。豊岡は、2004年の台風23号豪雨災害のときも、市教委をあげて、心のケアに取り組んだんです。

この授業案をすぐに紹介し、この”防疫教育”を全国に広げたいものですね!

新型インフル、兵庫の生徒、修学旅行先で中傷受ける
市教委、立ち向かう人権教育実施へ

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染拡大による休校措置が解除されたのに伴い、修学旅行に出かけた兵庫県豊岡市内の市立中学校の生徒が、旅行先で中傷とも受け取れる言葉をかけられていたことがわかり、同市教委は28日、中傷などに立ち向かう姿勢を養うための人権教育を市立の全40小中学校で行うと発表した。6月5日まで各学校で、資料に基づいた指導を行うよう通知した。

 市教委によると、25日から2泊3日で、東京方面を旅行。浅草でマスク姿の生徒に、女性が「どこから来たの」と声をかけ、生徒が「兵庫県」と答えると、「やばいな」と話したという。

 また、東京ディズニーランドでは、中傷とも受け取れる言葉をかけられたのが3件あったという。このほか、市にも「関東に住んでいる人間は迷惑です。ディズニーランドで感染者が出たらあなたたちのせいだと疑います」との内容のメールが1件、同様の趣旨の電話も1件あったという。

 このため、市教委は、不愉快な言葉をかけられた場合を想定した指導用の資料を作成。小学高学年・中学生用では、感染者が出た小学校が、校外学習で訪れる別の市から「とても迷惑。感染者が出たらあなたたちのせい」とするメールを受けとった場合を想定。

 指導のポイントとして、「感染者や感染者が出た市に差別的なメールを送ることが人として問題」などとし、児童・生徒には感想を書かせる。

 同校の校長は「誹謗(ひぼう)中傷とも受け取れる言葉を受けた生徒からは不愉快な思いをしたと聞いている。心ない発言を受け、残念だ」と話した。

(2009年5月29日  読売新聞)

| | コメント (3) | トラックバック (1)

新型インフルエンザと心のケア(6)-リーフレット作ってみました

「Nosi-tsm.doc」をダウンロード (新型インフルエンザと心のケア)

兵庫では、すべての高校生が回復し、あすから、休校中の学校も、学校再開のようです。

新型インフルエンザに罹患して、つらい思いをした人、そのご家族、担任、部活動の指導の先生のための「新型インフルエンザと心のケア」というリーフレットを作ってみました。

キーワードは、

①「防疫教育と心のケア」は両輪で!

②誹謗中傷には、感染症の正確な知識を得て対応を!(防疫教育)

③つよい心身反応が続く要因は、マイナス思考(自責感・孤立感・無力感・不信感)・つよい回避・過去のつらい出来事経験・感情抑制!

④心身反応を収めるには、「安全感・きずな・表現・チャレンジ」

⑤回復のキーワードは、「プラス思考・チャレンジ・体験の語り」

報道などで知る範囲ですが、

担任・部活動顧問・養護教諭・学校管理者(校長・教頭)が

個別的ケアをすごーくやってますね!

新型インフルにかかわった高校生は、つらい体験をエネルギーにして、将来、そのなかから、感染症の第一人者がうまれたり、いろんな分野で活躍する人材がでてくるかもしれませんね!

リーフレット、pdfでなく、wordで掲載しています。もし、活用されるときは、学校・職場の現状にあって、改変して使っていただいて結構です。

ただ、このリーフレットは、かなり堅い言葉を使っています。この用語わかんないよ!ということや、使ってみたいなということがあれば、hotanshin@hotmail.com まで問い合わせて下さい。

嫌なことは、どうしても避けてしまいます。気持ちを切り替えることは必要ですが、「なかったこと」にしてしまうことは、強い反応を持続させます。

つらいことに向き合うときと、楽しいこと日常生活をがんばるときを、きりわけて、前に進んでいきましょう!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

新型インフルエンザと心のケア(5)-感染症専門家のコメントがほしい!

「来るな」「行けない」 新型インフルに各地で過剰反応(朝日新聞)2009年5月29日     
 新型の豚インフルエンザに対する「過剰反応」が、各地で起きている。高校野球や結婚式、病院の見舞いに行政マンの出張……。警戒心が度を過ぎたのか、集団感染が確認された関西が狙い撃ちされ、被害が目立ち始めた。
 ■高校野球
 「こちらにお越し頂くのはご遠慮願いたいと、うちの理事長が申してまして……」
 大阪府内のある高校の野球部監督は、受話器を手に耳を疑った。北陸の私立高校から、遠征試合を断られたのだ。兵庫県内での感染が、高校の部活動を通じて広がったと報道された影響らしい。
 試合は、来月中旬に北陸の相手校側のグラウンドで予定されていた。10年来の交流があり、選手らは先方の施設に宿泊させてもらうはずだった。監督の高校では生徒が感染したものの全快し、25日には元気に登校した。
 「野球部内での感染はなく、もし危険性があれば当然辞退するなり、生徒を残すなりして対処する。大阪への遠征を控えるというならまだしも、まさか来るなとは……。約25年の監督生活で初めての経験だ」と頭を抱える。
 夏の大阪大会を控え、6月は他府県の強豪校への遠征試合を組んだが、北陸の別の高校からも「待ってほしい」と注文がついた。監督は「事態は沈静化しつつある。冷静に対応してほしい」と話す。
 ■結婚式
 新郎の転職先に近い神戸で30日に結婚式を挙げる関東出身のカップルは、出席者のキャンセル続出に焦りを隠せない。
 「職場の上司に相談したら行かない方がいいって……。悪いけど行けない」
 今月中旬、千葉に住む親友からの電話で、兵庫県加古川市の新婦(28)は動揺した。
 「何で? 私たちはかかってないよ。1日や2日滞在したって感染するわけないよ。あれほど楽しみだって言ってくれてたじゃない!」。新婦は必死に説得したが、友人は聞く耳を持たなかった。
 数日後、別の東京の親友からも欠席の電話が入った。保育園で働いており、園から「神戸から戻ったら、潜伏期間の1週間は職場に来られない」とくぎを刺された。
 会社員の新郎(28)は「タイミングが悪すぎる。しょうがない」と平静を装ったが、その後、自分の親族2人から欠席の連絡が。1人は「会社の管理職の立場であり、控えたい」と釈明したという。
 当初は東京・銀座の式場を仮予約していたが、港町・神戸の魅力にひかれ、変更した経緯がある。招待者34人は親しい人ばかりだ。「土壇場でまた欠席者が出たらどうしよう。一生に一度の晴れの日なのに。もう祈るしかない」。2人は不安を募らせる。
 ■病院
 昭和大学病院(東京都品川区)は18~22日、玄関などに神戸市、兵庫県芦屋市と大阪府豊中、吹田、茨木の3市の名を挙げ、「7日以内に行かれた方のご面会はご遠慮下さい」と書いた張り紙を掲示した。その後、「やりすぎ」との指摘を受け、「7日以内に新型インフルエンザの蔓延(まんえん)している国、地域に滞在された方は」と表現を改めた。
 同病院管理課は「重症患者を抱える院内での感染を避けたい思いが強かったが、言葉足らずだった」と反省する。
 北海道北見市は、18~21日に大阪市などに出張した職員3人に、出張の翌日から6日間、特別の有給休暇をとるよう指示した。3人は市議の視察に同行。「ウイルスの潜伏期間を想定し念には念を入れ」て休ませたという。(机美鈴、関根和弘)

この記事には、感染症専門家の声が載っていません。<これは、××という根拠で、この対応は過剰反応です。>といったメッセージが今、必要ではないでしょうか?

厚生労働省や感染症に関する専門学会・機関のHpをみても、具体的なQ&Aが載っていません。報道機関も、感染症の専門家にコメントをとる努力をお願いしたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月26日 (火)

四川大地震復興支援-こころのケア人材育成プロジェクト始動

2008年5月12日に発生した四川大地震後のこころのケアプロジェクトが、日中両政府の事業としてはじまりました。

この4月末に、プロジェクトの教育班の日本チームは、四川省・成都とシルクロードの起点・西安から西に2時間半の宝鶏市(陕西省)の被災した小学校・中学校を訪問しました。

このプロジェクト始動にあたって、日本心理臨床学会ホームページ(四川大地震復興支援-こころのケア人材育成プロジェクト始動)に、その経緯と抱負を掲載しました。

四川大地震1年、心のケア専門家の育成支援…JICA(読売新聞:2009.5.26)

四川大地震から1年 阪神大震災の経験者らが継続支援(朝日新聞:2009.5.12)

兵庫発の支援、新段階に 四川大地震1年(神戸新聞:2009.5.11)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月24日 (日)

新型インフルエンザと心のケア(4)-厚労省は”防疫教育”の徹底を!

生徒に不安・ストレス 関西大倉 新型インフル(2009.5.24産経)

生徒と教員計100人が新型インフルエンザに感染した私立関西大倉高校・中学(大阪府茨木市)は24日、最初の感染判明から丸1週間を迎える。生徒や教員の間に動揺や疲労も残る中、同校ではスクールカウンセラーが生徒に励ましの手紙を送ったり、通学バスや校舎の消毒を検討するなど、落ち着いた学校生活を取り戻す努力が続いている。

 最初に感染が確認された17日、同校には事実確認の問い合わせのほか、「学校が感染源だ」「これ以上感染を広げるな」などの批判も殺到した。

 22日に感染が確認された堺市の市立小学校の6年男児(11)についても、日帰り旅行中に私立関西大倉高校・中学の男子生徒と接触があったとする誤った情報が流れ、「なんで生徒が外出しているんだ。指導がなっていない」などの批判も受けた。

 生徒の間にも不安やストレスが広がっている。

 同校によると、当初は教員の労をねぎらう言葉も聞かれた生徒たちから、最近では「いつから学校行けるの」「いらいらする」「早く外に出たい」など、不満を感じさせる声も多くなった。大学進学希望者も多く、授業の進捗(しんちょく)状況などを不安視する相談も多いという。

 高校2年の男子生徒は「友達とメールや電話で連絡しているけど、すっきりしない。登校再開になっても、『関西大倉の生徒は自由に動いてはいけない』という社会的なプレッシャーを感じるかも…」と不安を打ち明ける。

 こうした“風評被害”を防ぐため同校では、専門家から「不要」とアドバイスされた通学バスや校舎の消毒を、あえて実施することも検討している。

 さらに同校では、スクールカウンセラーから生徒に励ましの手紙を送るなど、「心のケア」にも細心の注意を払っている。登校再開後には、生徒とコミュニケーションをはかる特別な時間を確保することも検討している。

 大船重幸教頭は「生徒たちの心理状態は不安定かもしれないが、教員たちのフォローでケアしていきたい。早く通常の学校生活に戻れるように努力したい」と話している。

           ◇

 堺市は23日、同市立小学校の6年男児の接触者について、関西大倉の男子生徒ではなく別の学校の男子生徒だったと訂正。同校に電話で経緯を説明し、謝罪した。

25日、学校再開=「子供の活気見たい」-大阪・兵庫(時事通信)

 新型インフルエンザの影響で1週間休校となっていた大阪、兵庫両府県の学校が25日、再開する。各校の教員らは24日、再開を前に保護者や生徒への連絡など準備に追われた。
 大阪市西区の市立九条南小学校。職員室のホワイトボードには、休校中の行事が赤いペンで修正されていた。藪内康士教頭(52)は「子供のいない学校は寂しかった。運動場や教室で活気あふれる姿が見たい」と喜ぶ。
 正面玄関に学校再開の通知を張り出し、保護者にも一斉メールを送信。当面、児童から毎朝、体温を聞き取り、休校中のストレスのケアに努める。藪内教頭は「1週間分の遅れを取り戻し、生活リズムをもう一度きちんとしないと」と頭を悩ませる。
 神戸市西区の市立井吹台中学校では再開後、延期されていた中間試験や職業体験などの行事が目白押し。大西一人教頭(48)は「感慨よりも、行事の準備で手いっぱい」と苦笑する。
 一方、多数の生徒が感染した大阪府茨木市の私立関西大倉高校は31日まで休校が続く。各担任が毎日、各家庭に電話しているが、「2週間も家にこもるのは耐えられない」と訴える生徒が多いという。「
制服をクリーニングに出したら嫌な顔をされた」との声もあり、教員の一人は「再開後、生徒をどうフォローするか考えないといけない」と話した。(2009/05/24-15:41)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

厚生労働省のHpに、

新型インフルエンザの感染はどのように広がりますか?

新型インフルエンザは、誰も免疫を持っていないため、通常のインフルエンザに比べると、感染が拡大しやすく、多くの人が感染することが考えられます。

新型インフルエンザの感染経路は通常のインフルエンザと同様で、咳やくしゃみとともに放出されたウイルスを吸い込むことによっておこる飛沫感染と、ウイルスが付着したものをふれた後に目、鼻、口などに触れることで、粘膜・結膜などを通じて感染する接触感染が考えられています。

と記載されていますが、産経・時事の記事を読むと、もっと具体的に、厚労省はメッセージを送らないといけないと思います。

・「制服をクリーニングにだしたら・・・」というのも、専門家の見解として、××ですよ!と。

<ウイルスが付着したもの・・>って書いてますから、クリーニング店の方も不安なのです。

専門家から「不要」とアドバイスされた通学バスや校舎の消毒を、あえて実施することも検討している。」

 専門家がしなくていいといっているのなら、消毒はしない方がいいと思います。

 必要なのは、この場合の消毒ではなく、専門家・権威のある機関からの科学的な防疫に関するメッセージです。「消毒をしなくていい」というメッセージだけでなく、なぜしなくていいのかをきちんと説明してあげなければなりません。

 災害では、防災教育と心のケアが

 事件では、防犯教育と心のケアが

 新型インフルエンザでは、防疫教育と心のケアが

 一体となってすすめられなければなりません。

 学校再会して、「制服ではなく私服で通学」というのも、私の立場からすれば、よいことと思えません。

 学校復帰にさいして、大人たちは、

 「あなたたちは、この困難をよく乗り越えてきた。この非日常の経験は、あなたたちの人生のなかで、きっとプラスになる。あなたたちは、社会の偏見や間違ったメッセージを受ける理由はなにもない。私たち(専門家も含めて、よい社会資源を意味します)があなたたちを守る!」

 とメッセージを送ってほしいものです。

 そうはいっても、不安があれば、個別に話しあうことです。一方的なメッセージだけではいけないと思います。社会の偏見や無理解に立ち向かうエネルギーがわいてくるまで、立ち会うことだと思います。

事件や感染症後の「心のケア」とは、被害者を被害に遭ってない人が世話をするというのではなく、

 偏見や暴力との闘いです。

 それにしても、関西大倉高校のスクールカウンセラー、お手紙書いたり、がんばってますね。

 私もある事件後の学校の心のケアに入ったとき、相談にこれない、でも心配な方にお手紙書いたことを思い出しました。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

新型インフルエンザと心のケア(3)-話し合うことメッセージを送ることの大切さ

神戸新聞・正平調

◆休校中の兵庫高校の教師たちが、学校のホームページに書き込んだメッセージだ。みんな一人じゃないんだよ-。気遣い、励まし、支え合う。そんな「免疫力」よ、広がれ。(2009.5.22)

◆以前にも紹介したが、米国では新型インフルエンザに備えて家族で地域で、職場で話し合うよう呼びかけている。例えば両親が倒れたら、子どもはどこに助けを求めればいいのか。「みんなで生き抜くための話し合いをしよう」と呼びかける。(2009.5.24)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私も、兵庫高校のHpを読んで思いました。担任の先生からのメッセージがすばらしい!

「心のケアでカウンセラー配置」とニュースで流れるけれど、生徒たちを支えるのは、教師たちです。ひとり一人の教師のポジティブなメッセージが、生徒たちを勇気づけます。

私たち臨床心理士は、先生たちの後方支援です。もちろん、個別の相談も受けますが、このような事態では、すべての生徒・保護者へ教師と相談しながら、適切なストレス対処のメッセージを送り、必要に応じて、個別相談を受けていくというのが原則です。ですから、「カウンセラーに相談してみませんか?」というメッセージだけでは、生徒や保護者さんは、相談に行く気にならないかもしれません。

つらい体験を人生の中でポジティブな体験に変えていく。それこそが、心のケアです。

明日から、多くの学校は再開されます。しかし、まだ、休校を余儀なくされている学校がいくつかあります。

パソコンから、いま、世界の情報を手にいれることができます。自宅で勉強している高校生たちも、「米国では新型インフルエンザに備えて家族で地域で、職場で話し合うよう呼びかけている」というページを覗いてみませんか?

http://www.nasponline.org/resources/Talking_With_Children_About_Flu_FINAL.pdf

昨日、大阪教育大学の瀧野先生がみつけて、私にメールで教えてくれました。

これは、親や教師向けのメッセージです。至極、あたりまえのことが書かれています。

・大人は、落ち着いて、新型インフルエンザについての不安を子どもと話しましょう。

・過剰に自分を責めないでください。

・いじめや否定的なメッセージをやめさせてください。そういうことがあれば、学校に報告してください。

・可能な限り日常生活のリズムを保ってください。(だから、休校中の生徒たちも、自学自習の時間をきっちりと決めて、勉強しましょう。)

そのほか、どうすれば感染を防ぐことができるか、どのように感染するかといった”防疫教育”も記載されています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月23日 (土)

新型インフルエンザと心のケア(2)-アメリカ政府のFluホームページから

新型インフルエンザ対策は、第一には、防疫教育ですよね。新型インフルエンザの科学的知識、予防、対処を学ぶことですよね。日本政府は、国立感染症研究所・感染症情報センターが、ビデオも含めて、情報が掲載されています。

一方、アメリカは、CDC(Centers for Disese Control and Prevention:疾病対策センター)の「Plan and Prepare」に、新型インフルエンザ専用のホームページがあります。

その中に、感染した人のためのメンタルヘルス情報のファイルがありました。

Pandemic Influenza:Quarantine, Isolation and Social Distancing.Toolbox for Public Health and Public Behavioral Health. Colorado Division of Mental Health Disaster Preparedness and Response

Psychological 1st aid(心理的応急法)が書かれています。呼吸法のすすめや、漸進性弛緩法など、具体的なリラクセーション法やアンガーマネジメント(怒りのコントロール)などが書かれています。もちろん、うわさは誤った情報から発生し人を傷つける事なども書かれています。

心理的応急法は、日本では、兵庫県こころのケアセンターが全訳していますので、ご覧下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

新型インフルエンザと心のケア(1)

心のケア相談体制強化 感染者確認の県立高へ(神戸新聞:2009.5.20) 

県教委は、新型インフルエンザの感染者が確認された県立高校に対し、生徒らの心のケアにあたる「キャンパスカウンセラー」の複数派遣や常駐など、相談体制を強化することを決めた。休校明けに向けた対策も検討。各校でも教室の消毒に取り組んでいる。

県:補正予算案、総額1829億円 タミフル備蓄などインフル対策に13億円 /兵庫(毎日新聞:2009.5.21、地方版)

また、県立学校全167校に10台ずつ携帯電話を配備し、休校中に生徒の健康状態を把握する態勢を整える。心のケア対策として各県立高校で活動している臨床心理士らを追加配置し、生徒や保護者らのケアにあたる。

続きを読む "新型インフルエンザと心のケア(1)"

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年5月13日 (水)

四川大地震から1年被災地の人々はいま(NHK総合5/12)

四川大地震から1年被災地の人々はいま(NHK総合、5/12 22:00-23:30)を見ました。NHKのクルーはよく、長期取材をしましたね。李先生と子どもたちのかかわりが感動的でしたね。このような映像は、まず、ドキュメンタリードラマでないかぎり、見ることはできないでしょう。

子どもを亡くした先生の子どものお墓を生徒たちが訪れて、ひとりひとりと抱擁し、この先生がひとり一人にメッセージを送るシーンは感動的でした。

毎日の交換日記の結晶がこの場面に映し出されていたと思います。

まさに、李先生の活動が、心のケアの本質だと思います。

ひとつ、みている人に、カウンセリングは、やっぱりだめだ、と思わせたシーンがありました。

昨年、10月に、この学校にも心理カウンセラーがやってきて、地震のことは話したくないといって、席をたっていき、それを取材クルーがインタビューし、子どもを亡くして、自分のペースでそのことを癒そうとしているのに、カウンセリングで傷口をあけられる、それはたまらない、ということを言っていたシーンです。

この心理カウンセラーが、「地震のときの体験を話すことが回復につながる」という仮説をもっていたなら、そのことが間違いだということです。わが子を亡くすという喪失体験をともなうケースに、この仮説は、間違いだと言うことを、このシーンは伝えていると思います。

取材クルーには、自分のつらさを語っていますよね。それは、取材クルーが、ここに居続ける人たちだったからだと思うんですね。この1時間30分の番組に、その何十倍もの、TVカメラを収録しているはずです。そして、TVカメラをまわしていない時間を含めると、ほんとうに、長い時間、この先生や子どもたちとかかわっていったんだと思います。

もし、心理カウンセラーが、この場(学校)に居続けることができたら、誤った仮説を修正することができたかもしれません。

大切なことはかかわりつづけること。

この紅白鎮にも、いつか行ってみたいですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月10日 (日)

5.12 もうすぐ1年になります

四川大地震からもうすぐ1年になります。昨年、5月末から中国へ、もう、7度、行きました。

1週間が4回ですから、ほぼ1ヶ月は、中国に居たことになります。

7度の訪中で、人の心の温かさを感じました。それまで、マスメディアからしか知らなかった中国への意識ががらっと変わりました。

JICAのこころのケア人材養成プロジェクトが正式にはじまりました。日中政府による「こころのケアプロジェクト」です。

4月末に訪中したときのことが中国メディアに掲載されています。

この記事は、北川で活動している中国科学院心理研究所の史占彪博士などの談話が紹介されています。そこに、日本の阪神淡路大震災のあとに、日本が公的にこころのケアにどれくらいの予算を投じたかも書かれています。
JICAによる政府プロジェクトが、中国政府・四川省政府が心のケアに一層力を投入する契機になることを願うばかりです。
この一年、心理健康教育師による心理健康教育授業の実施をはじめ、中国は、ほんとうに、心のケアに力をいれてきたからです。、

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月16日 (木)

中国・四川大地震 被災地で人材育成

毎日があわただしく過ぎ去ってゆき、ブログを書く時間もありませんでした。

神戸新聞の石崎記者が、四川大地震の心のケアに、JICAがプロジェクトを発足という記事を書いてくれました。14日の夕刊一面に掲載してくれました。

4月26日からこのプロジェクトの教育班として、被災地の学校を訪問する予定です。この訪問は、正式にプロジェクトが発足してはじめての活動です。中国心理専門家・教師から被災地の声を聴き、5年間のプロジェクトでなにができるかを詰める作業です。

中国・四川大地震 被災地で人材育成(神戸新聞)2009.4.14

政府は本年度、中国・四川大地震の被災地で心のケアを担う人材育成の支援に乗り出す。阪神・淡路大震災を経験した専門家らが研修の講師を務め、政府開発援助(ODA)の技術協力の一環として五年間の事業となる。地震発生から一年の五月十二日までに、中国側と具体的内容を詰める。

 昨年七月、当時の福田康夫首相が、中国の胡錦濤国家主席と復興協力で合意。これを受け、国際協力機構(JICA)が二度にわたり、精神科医の加藤寛・兵庫県こころのケアセンター副センター長や、冨永良喜・兵庫教育大大学院教授(臨床心理学)らによる調査団を現地に派遣していた。

 その結果、四千六百万人を超えるとされる被災者の中で、子どもが集中力を無くしたり、わが子を失った親に自殺願望が出たりするなどの心の問題が多発していることが分かった。ケアが行き届いていない地域があるほか、支援を担う教師らの疲れも目立つという。

 外務省やJICAによると、支援事業として、現地で心のケアについて定期的に研修会を開催。駐在員を置き、調査団メンバーを務めた兵庫県内の専門家や教師を、研修会の講師として派遣する。

 また兵庫県内の研究機関に現地の人材を招き、学んでもらう。さらに、被災地の中でモデル地区を選び、心のケアが効果を挙げているかどうかを追跡調査する。

 冨永教授は「被災者の多くは、専門家に指摘され、初めて自分の心の問題に気付く。長期間、見守り続けることが必要」と強調し、加藤副センター長は「阪神・淡路だけでなく、新潟や台湾など各地の地震被災地で得た教訓を生かしたい」と話している。(石崎勝伸)

(4/14 14:44)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月16日 (月)

阪神の経験を“四川”に活かせ BS1 2009年3月17日7:30放映

3月17日(火)「阪神の経験を“四川”に活かせ」
四川大地震から10ヶ月。被災地では住宅や学校の再建など、ようやく本格的な復興事業が始まりを迎える一方、多くの人が今も心の傷に苦しみ、心のケアを担当する専門家をどう育成するかが課題となっている。こうした中、阪神淡路大震災などの経験を持つ日本の援助で心のケアを担う人材を育てる事業が始まった。現地からのリポート。

JICA・中国全婦連・中日合作四川大地震こころのケア人材育成セミナーを中心に、あす(3/17、am7:30~)、BS1で放映されます。

この予告の写真は、被災地の都江堰の勤倹人家という約1万人の仮設住宅での一コマです。この女の子と、パンダやおさるのパペットで遊んで、その後お母さんにお話を聞きました。5階に住んでいて、この子を抱いて、懸命に降りた瞬間に、この建物が崩壊したことを語ってくれました。

中国は、復興もめざましく組織的です。仮設住宅には、あらゆる店舗があり、警察、司法調停所まであります。心のケアは、「心理援助」と呼ばれ、災害直後は、メディアにも大きくとりあげられました。私たちは、阪神淡路大震災の経験から、息の長い心のケアが必要なことを訴えました。

JICAは、緊急援助隊、医療チームを受け入れ、そして、この「心のケア」支援活動を展開します。政府レベルの支援が結実したことは、JICA中国の藤本次長はじめおおくのスタッフの力があったからだと思います。そして、なにより、中国の心理専門家と、協議しながら心のケアのプログラムを作成し、被災者のために、いっしょに力を合わせることができることを、うれしく思います。

少しでも多くの方に、四川大地震のこころのケア支援について、NHKの報道をみていただくことを願うばかりです。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年3月 8日 (日)

四川大地震-中長期の支援を、全国人代表大会のゆくえ

昨年5.12、中国・四川大地震により、約9万人の死者行方不明をだした。

人々の記憶から、消えゆく災害。しかし、被災した人たちの今は、現実。

四川大地震で、心理援助は、中国人民の関心を集めた。中国では、いま、全人代が開催されている。政府による四川大地震の復興・復旧のなかに、心理援助がもりこまれるのだろうか?

NHKの記者が、全国人大代表・四川省常務副省長・魏宏さんに、被災者への心理援助について質問をしたようだ。

重灾区学校乡镇社区设立心理服务工作站

インターネット翻訳で解読したため正確にはわからないが、被害の大きな被災地に、「こころのケアセンター」(心理サービスステーション)を設立すると書かれているようだ!

JICAと全婦連(中国)との心のケアの共同プロジェクトは、政府レベルの支援だ。

同担悲・共克灾害」吉沅洪広島市立大学准教授が描いた中日共同プロジェクトがいまはじまろうとしている。

魏宏:经过这样一场自然的巨灾,

灾区干部群众的心理受到创伤,心理服务和恢复工作是一个相当长的过程,党委和政府十分重视受灾干部群众的心理服务工作。第一,在重灾区的学校、乡镇、社区专门设立了心理服务工作站;第二,对重点区域和重点服务对象进行有针对性的心理服务;第三,整合全省心理服务的资源,也争取全国心理服务工作者有组织地到灾区开展心理服务工作;第四,与加强文化建设相结合。

訳:被災地の幹部たちと人々は心が傷ついており、回復するのに非常に長いプロセスが必要である。共産党と政府は心のケアを大変重視している。1.重い被災地の学校、郷、鎮、コミュニティにおいて、心理サービスステーションを設立しました。2.重い地区、重い対象に対して、ニーズに応えるような心理サービスを提供する。3.四川省の心理サービスの資源を調整し、また全国の心理学関係者を集めて、組織的に被災地で心理サービスを提供する。4.文化の建設を強めることと関連つけさせる。(訳:吉沅洪)

被災者への心のケアについて政府の強力な支援が行われるといいですね!

阪神淡路大震災では、こころのケアセンターが5年で、15億円。それに、文部科学省が復興担当教諭の加配をつけました。200名として、一人年収500万円として、年間10億円をつけたことになりますよね。スクールカウンセラー事業が全国で、年間35億円ですから、震災復興担当教諭の政策は、画期的だったんですね。中国政府がどれくらい「心のケア」に予算をつけるか注目したいところです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月26日 (木)

JICA・中国全国婦女連合会・日中合作・四川大地震復興支援―こころのケア人材育成セミナー

JICA・中国全国婦女連合会・日中合作・四川大地震復興支援―こころのケア人材育成セミナーが、四川省・成都市・西蔵ホテルで、23日-25日の3日間行われました。

 日本の心のケアの専門家7名と中国の専門家8名が、教育分野、地域ケア分野で、それぞれ講師を務めました。受講者は、四川省・甘粛省・陝西省から被災地で活動を続けている心理士・教師・医師など100名でした。

 私は、このセミナーで、四川省ばかりか、甘粛省・陝西省でも被害がでていたことをはじめて知りました。

 23日は、午前中、日本側の発表、午後は中国側の発表、それぞれに、受講者から質問を受けました。24日と23日の午前中は教育分野と地域ケア分野にわかれて、それぞれ研修を行いました。常に、受講者から活発な質問がだされました。

 この大規模災害後に、中国政府は、海外からの支援を積極的に受け入れました。日本からのレスキューチームの母子の遺体を囲んで黙とうをささげている写真は、中国人民の心を動かしました。心のケアの支援も、アメリカ、ロシア、日本など、多くの国のチームが訪れました。

 また、中国の専門家は、組織的・精力的な活動を続けてこられました。そして、受入れ団体である全国婦女連合会の地域に根ざした心のケアもすばらしい活動です。おそらく、世界でもこれほどの活動を災害後に展開してきたのは、珍しいのではないでしょうか。

 受講者と中国の専門家は、阪神淡路大震災後の心のケアの活動に、強い関心を示しました。阪神淡路大震災後、政府が毎年3億円を心のケアセンターの活動に投じ、それは5年間続けられたこと、震災復興担当教諭(のちに心のケア担当教諭と呼ばれた)とスクールカウンセラー(臨床心理士)が、政府の予算で特別配置されたことは、これから中長期の支援を続ける上で、参考になったようです。

新華社、四川新聞が詳しく報道してくれました。

中日合作四川汶川大地震灾区“心灵重建”(新華社)

来自日本兵库教育大学的临床心理学教授富永良喜对记者说,灾区民众的心理伤痛短期难以消退,而他们中的很多人都没有意识到自己的心理出现了问题,直到和专家交流后才发觉。灾后心理援助工作在短期内是不能完成的,还需要一个长期的过程,至少是3到5年,这期间离不开政府的支持和重视。 [一部文字が表記されていませんが]

日本专家亲自“授课” 培训百名心理援助骨干(四川新聞)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月24日 (火)

JICA四川大地震こころのケア人材育成セミナーはじまる

四川大地震後の被災者を支援する人材育成のためのセミナーが、四川省・成都で3日間の予定ではじまりました。

受講者100名、四川省ばかりか、甘粛省と陕西省からも参加しています。

講師スタッフは、中国の専門家と日本の専門家との中日合作セミナーです。

このようなプロジェクトがはじまったことに、全国婦女連合会(中国)とJICAに感謝の気持ちでいっぱいです。あすは、教育分野と地域ケア分野にわかれて、研修が予定されています。

詳細は、また。

JICAなど、四川地震被災地で心理ケア活動(日本経済新聞)

四川大地震でJICAがセミナー 心のケア専門家育成を支援[共同通信)

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2009年2月20日 (金)

JICAこころのケア第二次調査団・四川へ

JICA四川大地震後の心のケアプロジェクトが、いよいよ本格的にはじまる。

昨年5月12日から、約9ヶ月半、日本ではほとんど被災地のニュースは、はいってこなくなった。

阪神淡路大震災の時、3月の地下鉄サリン事件で、メディアは、さっーと退いていった。

しかし、追い続けるメディアもある。阪神淡路大震災から14年して、おそらくはじめてメディアがとりあげたのではないだろうか。「震災障がい者」の声を。

特集:四川大地震を取材して~阪神大震災に学ぶ /大阪(毎日新聞

震災特集:震災障害者、悩み分かち合う場を 岡田一男さん、「集い」最初に呼びかけ

四川地震では、倒壊した家屋に押しつぶされ四肢切断を余儀なくされた被災者がたくさんいる。北欧から、義手義足が提供されていると聞いている。そのような生活支援が大きな心のケアになるだろう。

さて、23日-25日まで、成都で、3日間のセミナーを行う、被災地で活動を続ける心理援助のボランティア・教育関係者・医療関係者が約100名参加する。スタッフは、日本から専門家が7名、JICAスタッフ・通訳をいれ15名、中国側のスタッフは19名である。

被災者の心理援助者を対象に、日中スタッフによる心のケア合同セミナーがまもなく開催される。

取材を申し入れているマスマディアも数社いるようだ。是非、この企画を、報道してほしい。

 ただし、いつも、震災後の心のケアというと、子どもにボランティアが地震の絵を描かせている光景が流される。そして、「72時間以内に、語らせることが回復につながる」といったトラウマの専門家には到底受け入れがたいメッセージが、マスメディアから誤って流される。

 高橋哲さんや私たちは、災害直後被災体験を絵で表現させるのはよくない!と中国心理専門家に伝えてきた。もちろん、安全・安心な場での恐怖体験の表現は、回復に寄与する。しかし、被災直後に、安全・安心が確保されようもない。

 また、レスキューや医療とは異なり、心のケアの支援では、被災者への直接的かかわりを慎重に行う。だから、被災者へ直接かかわるときは、現地の専門家とともに行うというのが原則である。継続した者こそ、心のケアの支援ができるからである。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年1月14日 (水)

災害事件後の心のケア養成研修会終わる-史占彪博士の講演

3日間の「災害事件後の心のケア養成研修会」がおわった。

研修会には45名の臨床心理士(臨床心理士の卵数名を含む)が集った。また、講師スタッフは、日本心理臨床学会・日本臨床心理士会派遣の「四川大地震後のこころのケアチーム・日本」のメンバーを中心に、通訳を含め16名であった。

なかでも、中国科学院心理学研究所の史占彪博士に、講演をいただき、また他の発表者へのさまざまなコメントをいただいたことが、この研修会にリアリティを与えた。

災害は人の心から忘れ去られていく、しかし、災害を経験した人は何年たってもその経験は心に刻み込まれている。

参加者は、北は北海道から南は九州まで、そして、自ら災害で被災した人、長期に災害後の支援に携わった人、さまざまであった。

神戸新聞の中島摩子記者が記事を書いてくれた。

また、朝日放送の宮澤記者も取材にきてくれた。まだ、こうやって、発信してくれる記者がいることは、本当にありがたい。

心のケア「人手と経験が不足」 四川大地震の被災地

昨年五月に起きた中国・四川大地震の被災地で心のケアをする中国人専門家が十一日、神戸市中央区東川崎町一の兵庫教育大神戸サテライト教室で、現地の取り組みを報告した。学校の校舎が倒壊するなど被害が大きかった四川省綿陽市北川県では、教師の約四分の一に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が見られたといい、「ケアをする人手も経験も不足している」と訴えた。(中島摩子)

 同大が主催する「災害事件後の心のケア養成研修会」のプログラムで、臨床心理士や大学院生ら四十五人が参加した。

 報告は国立研究所「中国科学院心理研究所」の史占彪さん(38)。支援する北川県で昨年八月に調査したところ、被災者千五百六十三人のうち14・7%にPTSD症状がみられた。約四割の生徒が死亡した学校もあり、教師三百二十二人でみると24・0%に上ったという。

 同研究所は、被災地に七カ所の心理援助ステーションを設置し、各学校にはカウンセリングルームを設けている。史さんは「現地に専門家を育てることが急務。安定した援助を今後二十年は続けたい」と話した。

(1/12 09:37)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年12月24日 (水)

中国と日本-報道と現実  四川大地震と日中関係

 2008年は食品汚染と食品偽装の年だった。冷凍餃子に毒物混入、連日報道される中国の食品会社の映像。まだ一度も中国の地を訪れたことのない私にとって、あの映像が中国へのイメージを形作っていた。そして、5.12四川大地震。その後、中国を5回訪問した。中国の人々との出会いは感動的であった。勤勉さ、情熱、人情深さ、どれもいまの日本人が学ばなければならない姿勢であった。

 テレビからの情報が、ほんのわずかな情報であり、それをすべてだと思いこんでしまっていた自分に気づいた。

 中国を侵略した歴史。その延長線上に、私たちがいる。

 しかし、過去の日本の愚かな行為を心の中に留めながらも、私たちは、必死で、阪神淡路大震災後の心のケアを語り、伝えた。

 研修を終えて、多くの中国の人々から、”日本の見方が変わった”という感想を聞いた。

 うれしかった。 

 四川大地震直後、レスキュー隊と医療チームが被災地・成都を訪れた。母子の遺体を囲み黙祷を捧げるレスキュー隊の写真は、中国で、繰り返し繰り返し、放映された。あの一枚の写真が、そして、レスキュー隊と医療チームの活動が、日本への意識を変えたことは確かだ。

 これからはじまろうとしている心のケアプロジェクト、その成果は、あの一枚の写真のように表現することはできないだろう。しかし、中国の、被災地の人々の心に少しでも、希望と力がわき起こるきっかけになれば、と願うばかりだ。

JICA中国の駐在員が、記事を書いている。少しでも多くの日本人に、このことを知ってもらいたい。

「命の恩人に日本語で直接お礼を」四川地震と日中関係


【コラム】 【この記事に対するコメント】 Y! 2008/12/23(火) 11:59 
写真:大 / 写真販売
対中ODA 知られざる裏舞台 第10回-竹内和夫(JICA中国)

-日中の歴史に残る2008年-

  2008年は、日中青少年交流年、日中平和友好条約30周年、北京オリンピック開催等、日中両国にとって重要な節目となる1年であった。

  その中でも日中の歴史に深く刻まれると思われるのは、2008年5月12日に発生した四川大地震を巡る日本の支援であろう。死者が約7万人、行方不明者約2万人に達した四川大地震は、永遠に忘れることが出来ない未曾有の大惨事であった。

-四川地震が日中関係にもたらしたもの-

  隣国「中国」での大災害は、地震災害が多発する日本にとっても決して他人事ではなかった。国際協力機構(JICA)は日本政府の決定を受け、ODAの一環として、緊急援助物資の供与、中国にとって海外からの初めての受入となる国際緊急援助隊(救助チーム・医療チーム)の派遣に努めるなど、数々の支援を行ってきた。

  5月20日から現地で活動を開始した日本の緊急医療チーム。

  この医療チームの治療を受けた妊婦は、医療チームが帰国することを知り、通訳を通じて医療チームの隊員にこう言った。

  「このお腹の子が生まれたら、私はこの子に日本語を学ばせます。10年後、この子があなたに再会した時、命の恩人に日本語で直接お礼を言えるように」

  隊員は涙を抑えることができなかったそうだ。

  中国の多くのメディアが日本の緊急援助隊や日本・日系企業の義捐金に係る報道を行ったこともあり、サーチナが2008年5月末に行った調査では、70%以上の中国国民が「日本に対する好感度が上がった」と回答している。今回の地震に対する日本の支援は、日中両国という「隣国」の間に長らく存在した壁を多少なるとも解消したと言えるのではないか。

-隣人としての日本と中国-

  四川地震から半年が経過した12月、冬が訪れた被災地では余震と寒さに怯える人々の姿があった。震災で家族を亡くした方などの心のケアも今後の大きな課題となっている。また、日中メディアでは余りクローズアップされていないが、中国では四川省の他に、青海省、新疆ウイグル自治区、チベット自治区等でも大規模な地震が頻発している。このような地域でも、将来の地震に備え、日本が取り組んでいるような防災・減災といった試みが早急に必要ではないだろうか。日本には震災復旧・復興に取り組んだ世界に例を見ない知見・経験があり、その様な意味でも日中両国が様々なレベルで協力する余地は大きい。

  日本と中国はこれまでも、そして未来永劫変わることのない「隣人」だ。今なお被災地で活動を続ける関係者に敬意を表しつつ、この「四川大地震」という大きな試練を日中双方の協力で乗り越えるとともに、この大惨事を記憶に留めるだけではなく「隣人」としての日中関係の今後の有り方について考える契機になることを願う。

  写真は、緊急援助チームの被災地での活動のようす。写真2番目も、緊急援助チームの被災地での活動のようす。3番目は08年12月に撮影された、廃墟となった都江堰市中心部のようす。(執筆者:竹内和夫・国際協力機構(JICA)中国事務所 駐在員)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 4日 (木)

四川大地震JICAこころのケア支援プロジェクト形成調査-報告

日本心理臨床学会のHpに、四川大地震JICAこころのケア支援プロジェクト形成調査の報告が掲載されました。このブログに訪問先から執筆したものなどをまとめたものです。(そのためブログに掲載したものは削除しています)

http://www.ajcp.info/news20081202/news20081202.htm

この「形成調査」というのは、「プロジェクト」そのものを意味するのではなく、「プロジェクト」を実施するための調査、という意味です。

ですから、プロジェクトがはじまるかどうかは、「いまから」にかかっているのです。

ただJICAの職員の皆さんは、すごく熱い気持ちでいっぱいでした。

地震直後のレスキューチームや医療チームを現地で支援した団長はじめ、みなさん、すごく、このプロジェクトにかける意気込みを感じました。また、海外で活躍する人たちの行動力・判断力・融和力、どれをとっても学ぶことがたくさんありました。

今後、よいプロジェクトとして結実しますように!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 2日 (火)

災害事件後の心のケア養成研修会案内-海外での支援活動を視野に入れて-

下記のとおり、心理専門家向けの研修会を企画しました。ふるってご参加ください。

研修会担当講師に、大澤智子先生(兵庫県こころのケアセンター)が加わってくださることになりました。支援者の二次的外傷性ストレスを一コマ(90分)担当していただきます。(2008.12.4)

1,日時;2009110日(土)(午前10時~午後5時)・11日(日)(午前9時~午後5時)・12日(祝)(午前9時~午後4時)

2,会場;兵庫教育大学神戸サテライト教室(JR神戸駅から徒歩5分;神戸新聞松方ホールビル3F

3,研修内容;災害事件後の心のケアの理論、心理教育・ストレスマネジメントなど心のケア技法、時期に応じた心のケア、スクリーニングテスト、災害事件後の心理的支援の世界的動向(①Red Crossの動向、②Psychological First Aid)、文化と宗教、チームの組織化と連携・コーディネーター心得、防災教育など。

4,対象;臨床心理士及び指定校の大学院生(災害事件後の直接支援に強い関心があり、3日間の研修にすべて参加できるもの)30名

5,参加費;研修参加費は無料です。旅費・宿泊・食費は各自で負担してください。

6,研修会担当者;冨永良喜(兵庫教育大学)・高橋哲(芦屋生活心理学研究所)・吉沅洪(広島市立大学)・小林朋子(静岡大学)・前田潤(室蘭工業大学)・小澤康司(立正大学)・岡嵜順子(予防医学心理学研究室)・織田島純子(新潟県スクールカウンセラー)・明石加代(兵庫県こころのケアセンター)・諏訪清二(兵庫県立舞子高等学校)・大澤智子(兵庫県こころのケアセンター)他。

7,問い合わせ及び申し込み;研修会参加動機を400字以内で記載し、hotanshin@hotmail.com(冨永良喜)宛に申し込み下さい。定員になり次第締め切ります。

※災害にかぎらず、わが国で、事件・事故に遭遇したとき、臨床心理士ができることの知識と技法を提供します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月30日 (日)

そんなとき、臨床心理士への相談が救いになった

「そんなとき、臨床心理士への相談が救いになった」

  この一言の重みは、なんと表現したらいいのだろう。「被害者支援」という概念を超えるものだと思う。心理療法やカウンセリングでは、世界的には、認知行動療法が全盛だ。犯罪遺族の認知行動療法も開発されている。トラウマの場面の語り、亡くなった人とのよき思い出を写真などを通して語る、そしてイメージの中で故人と語る、そういったプログラムで構成されている。私も、犯罪遺族のカウンセリングや自助グループに立ち会っている。それらのいずれも回復に重要な心理的過程であることは間違いない。しかし、それを短期間で、カウンセラーなりセラピストが、”与えよう”とうすると、うまくいかないのではないかと思う。

  トラウマの長時間暴露療法のある講師は、「共感性の乏しい人はこの方法は使わないでください」と言っている。認知行動療法は、クライエントへの豊かな共感性が前提なのである。

 この事例では、おそらく認知行動療法を主軸にしていないと思う。おそらく、「支援する-支援される」という関係性を超えた関係性で、この犯罪遺族の方とかかわってきたのではないかと思う。

 いま、認知行動療法を研究する人の中に、精神分析やクライエント中心療法を排して、心理士の資格化をすすめようとする人がいる。それは間違いだ。もちろん、エビデンスを重視することには、異論はない。エビデンスを大切にしながら、お互いの技法や理論を切磋琢磨し、支援の方法と理論を充実していく時代にきている。この記事を読みながらそう思った。

一家6人殺傷 「許せぬが、恨まず」 大分市でフォーラム 遺族の父 心情語る


2008年11月30日 01:30 カテゴリー:九州・山口 > 大分
 犯罪被害者支援フォーラム(大分被害者支援センター主催)が29日、県庁で開かれ、旧野津町(現・臼杵市)で2000年に発生した一家6人殺傷事件で、加害者男性=当時(15)=から長男ら3人を殺傷された男性(51)が「相手は許せないが、恨まない」との思いで家族の幸せをたぐり寄せようとしてきた8年間を振り返った。

 「どうして涙が出るのか、私にも分からない。被害者の心が癒えることはない」。男性は壇上で目頭を押さえた。

 8年前の夏。15歳の少年がナイフで長男ら6人を刺した。長男は亡くなり、長女と次男もけがを負った。

 長女と次男に病室で、母親ら3人の死を伝えた。「相手を許さなくていいから、恨まないでほしい」。恨んで生きても幸せになれない。そんな思いだった。

 それでも自らを責めた。「命は普通にあるものだと、あぐらをかいていた。私自身に責任がある」。そんなとき、臨床心理士への相談が救いになった。「じっと聞いてもらえることが、つくづく大事だと思った」

 事件から8年が過ぎ、加害者男性から反省状況などの報告が年2回届く。35歳までの“約束”だ。「手紙で心情を教えてくれる。本当に反省しているなら35歳を過ぎても手紙がほしい」と願う。

 男性は臨床心理士や弁護士ら支援者に囲まれて訴えた。「被害者を絶対に1人にしない。力を携えて生きていく世の中になれば、長男が生きていた証しになると思う」

=2008/11/30付 西日本新聞朝刊=

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2008年11月24日 (月)

「心のノート」は「道徳ノート」-わが国も「心理健康教育」の導入を!

私は、これまで、道徳に、「怒りのコントロール、ストレスマネジメント、ソーシャルスキルトレーニングなど」をいかに組み込むかということを考えてきた。「心のノート」は、そういった活動をいれるチャンスだと思っていた。

しかし、その考えが基本的に間違っていることに、四川大地震後の被災地での「心理健康教育」の授業をみて、気づいた。

「心のノート」の改訂に伴い「なぐるな、盗むな、殺すな!」というページが盛り込まれるらしいが、それは道徳規範からすれば、当然のことである。改訂前の「心のノート」にそれがなかったことの方が不思議だ。しかし、家で虐待的養育を受けている子どもに「なぐるな!」とメッセージを送っても、効果は乏しいだろう。一方で、怒りの感情とのつきあい方を学ぶ機会や暴力がどのような心理的身体的影響を及ぼし、どうすれば回復できるのかを、子どもにわかることばで、ロールプレイやリラクセーションなどの体験をとおして、教えていかなければならない。

「心のノート」は「道徳ノート」であり、「心理健康教育ノート」ではないのだ。

「べき論」の道徳は必要だ。だから、私は道徳教育を否定するつもりはまったくない。

一方、怒りの感情を抱えたとき、人を傷つけずに、その気持ちを表現する方法があるのだということを体験的に子どもたちは学ばなければならない。それは、「心理健康教育」が担うべきであろう。ロールプレイやリラクセーションは臨床心理学や心理学が基盤として学問が発展してきている。

だから、「道徳」と「心理健康教育」の2本柱で、子どもの心の成長を支援し、その基盤の上に、教科教育の充実が求められるのだろう。

英国では、「他人を尊重することや、感情コントロールの方法などを学校活動全体を通して教える体制・環境をつくろうとする政策Seal (Social and Emotional Aspects of Learning) Programme」が着々と普及している。英国政府は、2011年にはすべての小中学校に導入することを目標としているらしい。

中国は、もともと、「道徳」とは別に「心理健康教育」という授業が、地震前からあったのだ。

その点日本はどうだろう。「心の健康教育」は、保健体育で一部教えられているだろう。しかし、そういった扱いでは、全児童生徒への展開はむつかしい。

文部科学省は、諸外国の動向を調査し、早い時期に、「心理健康教育」プログラムを全児童生徒へ導入してほしい。

そのためには、心理健康教育が担える教師を養成し、常勤で配置してほしい。そして、予防的な心理健康教育が展開すれば、教育相談への敷居も低くなり、学校臨床心理士(スクールカウンセラー)への相談へとつなげることができるだろう。

もちろん、スクールカウンセラーは、全員、「心理健康教育」の授業ができることが求められるのはいうまでもない。でないと、心理健康教育教師へのスーパービジョンができないからである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月 7日 (金)

JICAこころのケア調査団・四川へ

11月9日から15日、JICA調査団のメンバーとして中国・四川に行きます。

心のケアに関して、どのような中長期の支援ができるのかが、今回の派遣の目的です。

ちょうど、2005年、インド洋大津波から5ヶ月目に、高橋哲さんや神田さんが、EARTHのメンバーとしてスリランカに、事前会議に行って、6月のプログラムを立ててきたのですが、そういった派遣に、目的が似ています。

四川被災地の「心の支援」へ調査団 JICA兵庫(神戸新聞)

 
 中国・四川大地震の被災者の心のケアについて、どのような支援ができるかを調査するため、国際協力機構兵庫国際センター(JICA兵庫)は五日、兵庫県こころのケアセンターの加藤寛・副センター長ら五人を現地に派遣する、と発表した。派遣期間は、九-十五日の一週間。(森本尚樹)

 現地では、臨床心理士、看護師らが、仮設住宅で暮らしている被災者の心のケアを担っている。調査は、現地の臨床心理士らに、どのような協力ができるかを探るとともに、被災状況やニーズを把握するのが目的。

 九-十二日は四川省の被災地の仮設住宅や学校などを訪ねる。十三-十四日は北京で、医療機関や研究機関、政府関係者と協議する。

 調査団のメンバーは加藤副センター長のほか、同センターの明石加代・主任研究員、兵庫教育大学大学院の冨永良喜教授、県立大学地域ケア開発研究所の渡辺智恵准教授、JICA兵庫の細川幸成調査役。一行に、JICA中国事務所から五人が合流する。

(11/6 09:19)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年8月30日 (土)

防災の日-9月1日

9月1日は、1923年9月1日の関東大震災にちなんで制定された防災の日です。

静岡大学の小林朋子准教授が、毎日新聞-静岡で、かなり詳しく、災害後の心のケアについてコメントしています。

http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20080830ddlk22040111000c.html

9月1日の11時から、民放で、防災の日特集があるそうです。四川の被災地を訪問したアグネスチャンさんも出演するそうです。

災害や事件があった後の「心のケア」活動を整備することは必要ですが、これはもう、日々の「心理健康教育」の成果にかかっていると思うんですね。

これまでは、「心の教育」という名前で、広げようと試みてきましたが、どうも、幅広すぎて、「心の教育=道徳教育」ととらえている学者もおり、それでは、虐待、DVなどは軽減することはできないんですよ。

文科省の「心のノート」改訂にかかわる公募は7月にあっという間に締め切られていたことを最近知って、唖然としています。

http://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/2008/08070405.htm

<「心のノート」改善版の作成にあたっては、文部科学省が別に設置する「『心のノート』改善に関する協力者会議」の意見を反映すること。 >

この協力者会議の意見って、どこに載っているのですか?

改訂にあたっては、「怒りと悲しみのページ」を是非入れてほしいと繰り返し提言してきましたが、この分だと、ダメかもしれませんね。暴力の連鎖を断ち切るような提案が、心のノートに盛り込まれるでしょうか?

思い切った教育行政施策を展開しないと、わが国の将来は、悲観的です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月23日 (土)

四川大地震後の心理援助12-心理健康教育の導入

 第二次派遣で、通訳を務めてくれた張磊さんが「被災地の学校では9月から『心理健康教育』が必須になります」と知らせてくれた。

「それから、四川教育庁(教育委員会)は、9月新学期から授業の一環として、「心理教育」が含まれます。
http://news.xinhuanet.com/edu/2008-08/21/content_9563462.htm
小学校毎学期9時限以上、中学校、高校は10時限以上。
前の三週間は毎週1時限、第4週目から隔週1時限と、必修となります。」


 インドネシア・アチェでは、カウンセラーは、中学・高校は常勤職だった。日本といえば、週8時間としてはじまったスクールカウンセラー事業は、いまや、週5時間に短縮されている。道徳で、保健で、学校教育で、「怒りと悲しみの向き合い方」を一切教えない国がどこにあるだろう。海外からわが国の教育行政をみたとき、とくに、心の健康教育に関しては、貧困としかいいようがない。道徳の副読本の「心のノート」に、「怒りと悲しみとどう向き合ったらいいか」というページが全くないことをみんな知っているのだろうか。

 もっと、どーんと、思い切った教育行政を行ってほしい。

 人は、人生のなかで、怒りと悲しみを抱えることがある。その時、どうすれば、人を傷つけずに、怒りや悲しみを望ましい表現のエネルギーに変えていくことができるのか、

そのことをもっと、教育の中で、具体化していかなければならない。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年8月 2日 (土)

四川大地震後の心理援助11-中国心理学会Hpより

中国心理学会のHpに、日本チームの活動についての総括と感想が記載されています。

吉先生が翻訳をしてくれました。
http://www.cpsbeijing.org/newsletters/index.htm

北京チームの研修だけではなく、今回の派遣全体について紹介してくれました。

高橋先生は災害が身体・心理に与える影響、PTSDの話、それから記憶の問題などについて話した後、被災者への具体的な援助を行う時に、日常会話の大事さについて指摘されましたとか。冨永先生はリラックス方法、それから子どもを援助するときに、紙芝居とおもちゃなどの活用について実習を含めた研修。小澤先生は二次受傷と過労について話され、援助者のセルフケアとリラックス方法を紹介しました。、織田島先生の動作法は主に肩、腰と背中のリラックスについて教授した。岡嵜先生はロールプレイを通して、我々に援助するプロセスの中、出会う困難と責任について考えさせられました。

 研修紹介のあと、4名の参加者からの感想もあります。
その1:「心理援助は文化から栄養を摂取することを学ばなくては」。高橋先生が話された喪失の文化が大変興味深い。日本と中国は葬式の文化も大変似ていることに驚いたが、中国人は自分の民族に合うような理論と実践の体系を作ればいい。
その2:「日本専門家の研修の総括と感想」。援助隊の名所、服装の統一などは大変参考になったが、一番大事なのは被災者と良好な関係を作ること。1日目の午後の質疑応答は大変良かった。その中に私が2つ質問をした。フラッシュバックをどう処理するか、被災者の抑鬱と自殺をどう対応するか。冨永先生と高橋先生は具体的な回答をしたあと、高橋先生はご自分の体験を語ってくれました。抑鬱と自殺の対応は大変難しいことを教えてくれました。
その3:「災害後の援助は日常から」。高橋先生の日常会話の大切さがとてもよかった。「今日は暑いですね」「食欲がありますか?」「疲れているように見えるので、休みが必要ですね」とか。このような会話を通して、被災者たちの状態と反応を観察して、アセスメントして、援助を行っていく。冨永先生はこどもの援助に「パンダの気持ち」を紹介してくれました。可愛いパンダは地震が起きてから、どのような心理の変化があるのか、それからどのようにしたら、子どもたちは安心を得られるかについて教えてくれました。研修がもう終わって1週間も経ちましたが、研修の場面がよく頭に浮かんできます。日本の専門家に大変感謝です。

その4:
「災害後の援助に関するいくつかの注目問題」。①「形而上学」を捨てる。②心理介入をどう受けとめるか。③心理援助者の身分をどう受けとめるか。④心理検査を使うことを慎重になろう。⑤組織の統一と強化を急げ。

以下、最近のことから。

四川の幹部らが神戸と長岡を訪問し、震災復興の情報を収集にこられたそうです。残念ながら、ハードの復興に関心があったようで、心のケアは注目されなかったのかもしれません。ただ、今回の活動と日本政府が提案している「心のケア」の具体的な取り組みをまとめて、みなさんに一部ずつお渡しいただきました。声が届くといいですが。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年7月10日 (木)

四川大地震後の心理援助10-四川大地震復興計画メニュー

昨夜の日中首脳会談で、「四川大地震復興計画」が提案された。外務省のHpに、項目が列挙されている。

B 健康福祉
 3.社会的弱者(孤児、身障者、高齢者)のケア
 4.被災者の自立支援(生活再建支援金制度の確立)
 5.住宅確保への支援
 6.心のケア(PTSD専門医療機関設置、児童・生徒への相談室設置)
 7.災害救急医療システムの建設

 6.心のケア(PTSD専門医療機関設置、児童・生徒への相談室設置)

「心のケア」がはいったことで、今後、日本からの心理援助の提供に、日本政府として、なんらかの貢献が明記されたことになる。

日本心理臨床学会・日本臨床心理士会の第一次派遣(5月26日~6月1日)と第二次派遣(7月1日~7月8日)の活動が、この項目に、反映されたことになる。文部科学省、外務省の担当官には、心より感謝申し上げたい。

さて、第二次派遣の活動報告記者会見が、12日(土)午後5時から、リーガロイヤルホテル広島にて、行われることとなった。四川の被災地の様子と、心理援助を展開する中国心理学会、西南大学、西華大学での研修の成果が報告される。

被災地での活動の一部は、「ある日のコバ研」をお読みいただければと思う。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年6月28日 (土)

四川大地震後の心理援助9-四川地震被災者へのマスメディアの関心を

 阪神淡路大震災から約2ヶ月後、地下鉄サリン事件が起きた。被災地のメディアは、さーっといなくなった。被災者が、興奮期からうつ期にはいるのと時を同じくして、メディアが消えていった。単発のイベントは、祭りのあとの深い寂しさだけを残していった。

 しかし、「四川」という言葉をgoogleで検索すると、おおきなプロジェクトが2つ掲載されていた。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/080627/tnr0806272331018-n1.htm
四川大地震被災者支援へコンサート

http://mainichi.jp/select/world/news/20080628ddm002030084000c.html
中国・四川大地震:復興で協力、日中首脳会談で合意へ

前者は、ジュディオングさんをはじめとする歌手たちのチャリティコンサートの企画だ。

後者は、日本政府のプロジェクトだ。

民官両方で、四川大地震の被災者を支援しようとする試みだ。

 「四川大地震こころのケアーチーム」(日本心理臨床学会・日本臨床心理士会)の第一次派遣、第二次派遣は、できれば、日本政府の支援がほしい。第二次派遣では、格安運賃チケットを手配しても11名の航空運賃だけでも150万円は支出することになる。学会の会計だけで支弁するには、心苦しい。

 いくつかの国際ボランティアへの基金をあたってみた。しかし、どこも、今年度の事業計画は、すでに昨年度の申し込みにて終了しているとの返事であった。少しでも、補助をだしてくれる団体・企業はないのだろうか。

 日本心理臨床学会は、Hpに第一次派遣の報告を掲載している。

http://www.ajcp.info/download/ShisenReport1.pdf

 「お金が欲しい!」と声高に叫ぶのは、どうも品がない。しかし、継続支援には、資金は必要だ。新潟中越地震で、ながく「リラックス動作法」を被災者に提供していった長岡チームに、日本臨床動作学会大会の折に募金を呼びかけ、ボランティアの交通費(高速自動車道を使って若い臨床心理士たちのチームを派遣していたので)にあててもらった。

 兵庫教育大学梶田学長は、第二次派遣のことで、色々と助言してくださった。そして、中国で使う中国語に翻訳した心理援助の冊子の印刷代と国際郵送費などを学長裁量経費で支出してくださった。「国際交流だから、がんばっていってらっしゃい」と声をかけてくださった。ありがたかった。

インドネシア・アチェのコーディネーター・フェルナンデスさんから最近メールがきた。「トラウマのアンケートを316名回収しました」と。ツナミから3年半、被災者の苦しみはどれほど癒えているのか、データを手にする日が待ち遠しい。もちろん、トラウマのアンケートには、心理教育のリーフレット(絵入り)を作成して、担任に読んでもらい配布した。自由記述にどのようなことを中学生が書いているだろう。八月にアチェで開催されるトラウマシンポジウムで発表したい。

いよいよ、来週、中国を再び訪問できる。西南大学の副学長先生、心理学院の李教授はじめチョウ先生、湯先生、おおくの人との再会も楽しみだ。

http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/hyogo/080625/hyg0806250314002-n1.htm
中国・四川大地震で心のケアチーム再派遣 兵庫教育大などの専門家11人

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001169764.shtml
紙芝居で心のケア 「パンダの気もち」中国の被災児童へ

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080614/trd0806141100007-n1.htm
心のケア教材・紙芝居「パンダの気もち」 中国・四川大地震の被災者へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月26日 (木)

四川大地震後の心理援助8-再び中国へ

 7月1日~8日、四川大地震後の心理援助について、中国の心理士へ日本のノウハウを伝えるために、再び中国を訪問します。

 第二次派遣です。今回は、11名でチームを編成し、1-3日は、北京グループと重慶グループの2班に分かれます。

 北京では、中国心理学会の本部で、重慶では、西南大学心理学院にて、それぞれ2日間の研修・意見交換を行います。3日の夜に、北京グループは、重慶に飛びます。4日は、西南大学を訪問中のアメリカチームを交えて、中米日の「被災者への心理援助」に関するシンポジウムが予定されています。その夜、11名で、成都に向かいます。おそらく列車での移動になると思います。

 5日~7日は、2班にわかれて、1班は、西華大学での研修、もうひと班は、被災地に出かけ、地域心理援助ステーションを訪問します。

 私たちは、被災者に直接出会いかかわるのではなく、地域で活動する心理士のみなさんに、日本での災害後の心のケアのノウハウを伝え、アジアでの災害後の心のケアについて、いっしょに考えていくのが目的です。

 今阪神淡路大震災を振り返れば、当時、河合隼雄先生が、「地震の絵や作文をかかせることが心のケアではない」とメディアを通じて何度も繰り返しメッセージを送ったことを思い出します。当時、アメリカからディブリーフィングの考えが推奨されて、マスメディアは「怖い感情をはき出しましょう」とメッセージを送りました。しかし、9.11以降、災害後のディブリーフィングは、世界的に、評価されなくなり、むしろ、有害である、との見解も一般的になりつつあります。

 また、河合先生は、「悲しみを中心に据えて日常生活をしっかり送りましょう」と朝日新聞に掲載した記事をいまでも覚えています。それは、神戸児童連続殺傷事件(1997)の時に掲載されたと記憶しています。

 Stroebe M, Schut H が、Dual process modelを提案したのが1999年ですから、それに先駆けていたわけですね。.

 第一次派遣で出会った中国の人たちとの再会を心待ちにしています。そして、あらたに出会う中国の人たちとの出会いも楽しみです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月11日 (水)

四川大地震後の心理援助6-感恩の歌

 西南大学の教員・学生の真剣なまなざしと、あたたかな心は、チームメンバーに深い感動を与えました。派遣最終日の前日、西南大学のボランティアチームが、私たちに手話つきの歌を披露してくれました。吉先生をみると、ぼろぼろと涙を流していました。その歌詞をあとで、湯先生が翻訳して送ってくれました。ボランティアチームは、一日の活動を終えて就寝する前に、みなでこの歌を歌うそうです。

    「感恩の心」の歌は、http://youtube.com/watch?v=zmxNPPwvwd0&feature=related です。

  西南大学の湯永隆先生が、歌詞と日本語訳を送ってくれました。

感恩的心

作词:陈乐融 作曲:陈志远 编曲:terence teo

 我来自偶然 像一颗尘土
 有谁看出我的脆弱
 我来自何方 我情归何处
 谁在下一刻呼唤我
 
 天地虽宽 这条路却难走
 我看遍这人间坎坷辛苦
 我还有多少爱 我还有多少泪
 要苍天知道 我不认输
 
 感恩的心 感谢有你
 伴我一生 让我有勇气作我自己
 感恩的心 感谢命运
 花开花落 我一样会珍惜
 
 我来自偶然 像一颗尘土
 有谁看出我的脆弱
 我来自何方 我情归何处
 谁在下一刻呼唤我
 
 天地虽宽 这条路却难走
 我看遍这人间坎坷辛苦
 我还有多少爱 我还有多少泪
 要苍天知道 我不认输
 
 感恩的心 感谢有你
 伴我一生 让我有勇气作我自己
 感恩的心 感谢命运
 花开花落 我一样会珍惜
 感恩的心 感谢有你
 伴我一生 让我有勇气作我自己
 感恩的心 感谢命运
 花开花落 我一样会珍惜

 日本語訳:

  感謝の心

 歌詞:陳楽融 曲:陳志遠 编曲:terence teo

 偶然から生まれた 小さな塵のように
 私の脆弱なことは誰がわかるだろうか
 どこから来て 心はどこへ行き着くだろう
 次の瞬間私の名を呼んでくれるのは誰だろうか

 広い天地に 狭い道
 人生のつらさはたくさん見てきた
 私はまだ愛せるか 私はまだ涙を流せるか
 天に告げて 私は負けないよ

 感謝の心 感謝するよ あなた
 一生そばに居てくれて 自分らしく生きる勇気をくれた
 感謝の心 感謝するよ 運命
 花は咲いては散るが 私はすべてを大切にする
 
 感謝の心 感謝するよ あなた
 一生そばに居てくれて 自分らしく生きる勇気をくれた
 感謝の心 感謝するよ 運命
 花は咲いては散るが 私はすべてを大切にする

| | コメント (0) | トラックバック (0)

四川大地震後の心理援助5-災害直後の心理援助3原則が中国のマスメディアに掲載されました

吉 沅洪先生からのメールで、災害後の心理援助3原則が、中国の新聞に掲載されていることがわかりました。
以下、吉先生からのメールです。

北京でもっとも発行量の多い新聞、「新京报」に「冨永三原則」が掲載されたようです。そのことが、また新華网xinhuanet に乗っています。

 掲載を投稿してくださったのは、朱永新先生、蘇州大学の心理学教授です。現在中国人民大会常任委員、民進党中央副出席を務めている方です。

 最後に、「这些原则具有重要参考意义。现在,许多心理救援队伍匆匆赶到灾区,有的队伍缺少长期考虑与安排,如果后续工作不能及时跟上,今后将会出现很多新问题。」は:これらの原則は重要な参考意義を持っています。現在、多くの心理援助チームが急いで被災地へ出かけ、その中に、長期な計画と考慮を持っていないものもあります。もし継続な援助がタイムリーにできなれば、今後多くの問題が発生するでしょう。」
 
http://news.xinhuanet.com/comments/2008-06/09/content_8328840.htm

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 世界的にも、これほど、組織的に、災害後の心理援助が行われたことはなかったと思います。中国でTVをみますと、中国の国民すべてが、心理援助に高い関心をもっているようでした。そして、日本の緊急救助隊の母子を囲んで黙祷している場面が、繰り返し、CCTVで流れていました。
 「安心」は、日本語も中国語も、まったく同じで、発音も同じです。中国から日本に臨床心理学を学びにたくさんの留学生が来ています。今回の災害後の心理援助(心のケア)については、地震大国日本が経験してきたことを、精一杯伝える義務があると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月 3日 (火)

四川大地震後の心理援助4-世界に発信したい災害直後の心理援助基本3原則

5月26日~6月1日、中国重慶・成都・徳陽を訪問しました。

私たちは、被災者を支援する現地の心理士・学生・医師への研修・質疑応答にあたりました。被災者に直接かかわることはしておりません。以下の3点は、支援に入る前から考えていましたが、災害直後の心理援助の原則として、つよく世界に発信したいメッセージです。

1,継続してケアできない心理援助者(グループ)は、被災者への直接関与をしてはいけません(接触するときは、現地の対人援助職者(心理士・教師など)と一緒にすること)。

2,恐怖の感情表現を促すこと(地震の絵や作文を描かせる、地震の時の体験を尋ねる等)は、安全感のない空間(継続してケアできない人、災害直後)では、二次被害を与えるので、決してしてはいけません。

3,トラウマのアンケート(IES-RやPtsr-edなど)は、アンケートのみ実施することは、二次被害を与えます。必ず継続して関与できる人が、トラウマと喪失の心理教育を同時に実施してください。また、個別のカウンセリングが実施できる体制で行って下さい。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2008年4月20日 (日)

ディブリーフィング(debriefing)から心理的応急法(psychological first aid)へ

日本トラウマティックストレス学会第7回大会が福岡で開催されている。

基調講演は、「How should we coordinate?」U.Schnyder(チューリッヒ大学)であった。

 ミッチェルのdebriefingが、さまざまな検証により、その効果が実証されず、いまは、Psychological first aid(心理的応急法;PFA)が推奨されるという講演であった。とりわけ、感情表出に焦点をあてたdebriefingは、回復を遅らせるというエビデンスも紹介していた。そして、PFAでは、家族や仲間のサポートを重視し、専門家による被災者・被害者への直接的介入を慎重にすべきだと提唱している。すなわち、”家に帰って休みたい”と被災者が言うなら、”専門家とすぐにでも会った方いい”とは、決して言わない方がいいですよと。また、PFAにおいては、”その出来事の詳細を尋ねないでください(Not debrief)”ということが記されている。

 あの阪神淡路大震災のあと、debriefingがアメリカから紹介され、違和感を覚えたのは私だけではなかった。今は亡き河合隼雄先生は、”むりに聞きだそうとしないで”とマスメディアを通して、何度もメッセージを送った。

 河合先生は力動論的立場のわが国の代表者であるが、当時の災害後の心のケアの視点は間違っていなかった。

 もともと救援者のための精神的心理的方法として開発されたdebriefingを、自然災害や事件の被災者被害者に適用しようとした点から、無理があったのであろう。

 しかし、PFAにしても、その方法を受け入れることには慎重でありたい。どうもわが国は、アメリカで生まれたものを無批判で取り入れすぎる。わが国にあった、アジアにあった災害支援を確立すべきであろう。

 今日は、日本ストレスマネジメント学会と日本トラウマティックストレスマネジメント学会のコラボレーションのシンポジウムを、津田彰先生(久留米大学)と企画している。学派を超えたアプローチを提案したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年2月29日 (金)

柏崎こころのケアセンター開所式-専門相談員に臨床心理士がいないという寂しさ

 新潟日報(2008.2.14)によれば、柏崎こころのケアセンターの開所式が14日に行われたと報じています。その記事をみると専門相談員は「作業療法士と看護士」とのこと。

 うーん!臨床心理士が国家資格であれば、ここは、臨床心理士が配置されていますよね。阪神淡路大震災のあと精神科医のN先生がながくセンター長を務めたのですが、N先生はよくおっしゃっていました。「臨床心理士はとてもがんばったんですよ」と。だから、こころのケアセンターには、何人もの臨床心理士が活動しましたよね。

 はやく心理士の国家資格ができないと、いろんなところで、市民の「こころのケア」に、心理士が関与できないことになってしまいますね。 

被災者の心のケア施設が開所

 中越沖地震被災者を支援する「柏崎地域こころのケアセンター」が柏崎市役所前の民間ビルに設けられ、14日、開所式が行われた。センターには作業療法士と看護士の専門員二人を配置。近く電話で悩み相談を受け付けるホットラインを開設するほか、PTSD(心的外傷後ストレス障害)予防の講演会などの事業を行っていく。

 センターは県精神保健福祉協会が中越沖地震復興基金から補助金を受け運営する。同地震で災害救助法が適用された柏崎市や刈羽村など10市町村が対象エリアで、設置期間は2011年まで。

 開所式には保健所や病院関係者ら30人余りが出席。同協会の田中政春中越支部長は「被災者の心のケアは中長期の視点で行う必要がある。関係者が密接に連携していきたい」とあいさつ。同センター事業運営会議の運営委員長の松田ひろし・柏崎厚生病院長は「地元精神科医療機関としても協力したい」と述べた。

 県内の心のケアセンターはこのほか、新潟(新潟市)と、中越大震災復興基金で設けられた中越(長岡市)、魚沼(小千谷市)があるが、中越と魚沼両センターは来月、魚沼から名称変更する小千谷地域こころのケアセンターに統合される。

新潟日報2008年2月14日

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年2月16日 (土)

子どもの心のケアシンポジウム(文部科学省)

文部科学省は、「子どもの心のケアシンポジウム」を2008年3月21日に開催します。

そこで、基調講演「災害時における心のケアについて」 【14時10分~15時10分(60分間)】 をします。

 災害(事件・事故を含む)後の心のケアのあり方と、平時の「心の授業」について話そうと思っています。

その後に、シンポジウムが開催されます。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年1月19日 (土)

生きていること-震災特集から

1月17日朝日新聞夕刊に、感動的な記事が掲載されている。

震災で亡くなった米津漢之君(当時小1年生)のお父さんが漢之君の母校芦屋精道小学校で、17日の朝、児童の前で語りかけた。「20歳の君の姿を見ることができないのが本当に悔しい」と。お父さんが亡き息子たちのことを語ろうと決めたきっかけは、漢之君といつもペアで行動していた小6の少女の作文だった。

この少女の作文がすごい。最後を引用しよう。

「生きていること。それは、困難のかべにぶつかりそれを乗りこえること。約束された死までの時間を輝くものにすること。

 死んでしまうこと。それは、輝く人生を終え、他の人の心の中で、永遠に生きてゆくこと。」(吉田さん)

少女の作文がくれた勇気 子を失った父親は語り継ぐ

続きを読む "生きていること-震災特集から"

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年1月11日 (金)

阪神淡路大震災から13年-じーんとくる記事

もうすぐ阪神淡路大震災から13年目の日がくる。

読売新聞関西に胸がじーんとくる記事が掲載された。

山下吏良さんの体験を聴きたくなった。あれから13年。それぞれの13年。こういった記事に出会うと、事件後のメディアスクラムのマスメディアのイメージが変わる。

確かに、メディアは、人とひとの心をつなぐ力がある。

あのとき始まったもの――「心のケア」

<上>仮設でマイク向けた記者は自衛隊の臨床心理士になった

 山下吏良(りら)(35)は、昨年12月末、広島県江田島市の海上自衛隊幹部候補生学校を卒業した。2か月の訓練期間中、臨床心理士である山下に、上官や同僚がよく話し掛けてきた。何年も前に大災害現場で遺体収容に携わった体験を語り、「今でも涙が出る」「寒気がする」と。ひそめるような声の調子が、弱音を許されず、何年も抑え込んできただろうことを思わせた。
 自衛隊が臨床心理士の採用を始めたのは2004年。山下を含め9人が隊員らのカウンセリングに当たる。ひたすら強くあることを求められてきた組織が今、隊員の「心のケア」に目を向ける。「以前なら考えられなかったこと」と、防衛省の担当者がいう。
 日本人の「心」を取り巻く環境が、1995年1月17日の阪神大震災を機に一変した。山下はその震災を、テレビ局記者として体験している。
 発生当初、神戸大学病院の呼びかけで全国から精神科医が駆け付けた。目的は慢性の精神疾患患者への支援で、一般被災者に起こる事態は想定していなかった。

 幹部候補生学校卒業後、山下さんは海上幕僚監部所属となり、自殺した隊員の家族、同僚のケアに当たる

(広島県江田島市で)=前田尚紀撮影

 突然泣き出す人や余震に震えが止まらぬ人、不眠の人。医師らは、避難所の異変に驚いた。邦訳された数少ない専門書を奪い合うように読み、PTSD(心的外傷後ストレス障害)について学ぶと、まさに目の前で起こっていることが、それだった。
 「PTSDについて詳しく知る精神科医はほとんどいなかった」。04年にできたPTSDの研究機関「兵庫県こころのケアセンター」副センター長、加藤寛(49)が打ち明ける。
 ましてや一般の人が知るわけはない。
 「何をする人たち」と、兵庫県臨床心理士会理事の高橋哲(56)らは避難所でよく質問された。カウンセリングだと説明し、話を聞こうとすると、「病気扱いするな」と煙たがられた。
 だが、そんな空気は、急速に変わる。
 おびただしい量の震災報道の中で、新聞やテレビはPTSDの事例を詳しく紹介した。「心のケア」というやわらかな言葉とともに、心の傷と癒やしへの関心が一気に高まった。
 震災の年、文部省(現文部科学省)は子どもの心に目を配る学校カウンセラーを全国の小・中・高校に配置し始めた。
 大きな事件事故や災害の際、自治体が臨床心理士会などに心のケアの専門家の派遣を要請することは、いわば定石となった。緊急時に学校に派遣できる精神科医や臨床心理士、保健師らの「こころの緊急支援チーム」を持つ自治体もある。
 震災から10年近く後の04年10月、高橋は中越地震の被災地に駆け付けた。「よく来てくれた」と被災者に歓迎された。あの震災の影響の大きさを、つくづく感じずにはいられなかった。
 テレビ局記者時代の山下の、痛恨の思い出。96年1月、震災1年の企画取材をしていた。神戸市内の仮設住宅で被災者にマイクを向けた。「あなたの夢や希望を教えて下さい」
 「あるわけないやろ」。震災で妻を失った男性は、涙をうかべた。大きな喪失を体験した人に相対する覚悟も準備も、まるでなかったことを悔いた。
 00年10月、別の局のキャスターとして、鳥取県西部地震を取材した。避難所で、今度はカメラを回さず、ぽつんと独りでいる高齢女性の隣に座った。
 女性は、余震が怖く涙が止まらないことや、いつ家に帰れるかわからない不安を話し、「聞いてもらってホッとした。ありがとう」と、笑みをうかべた。
 「人を癒やす仕事がしたい」。山下がテレビ局を辞めて臨床心理士になるために大学院に入学したのはその3年後。自衛隊を選んだのは、被災地のために黙々と汗を流していた隊員らの姿を思い出したから。
 「自衛隊を泣きたいときに泣ける組織にしたい」と思う。
 震災後に設置が始まった臨床心理士養成の大学院課程は、今146校。臨床心理士は震災前の4倍の約1万6000人に達する。精神科医や臨床心理士、保健師ら250人で02年に設立した「日本トラウマティック・ストレス学会」の会員は1200人になった。「心のケアバブルのよう」。震災前からPTSDに目を向けてきたある医師は、激変ぶりをそう言い表した。
 心の傷に対処しようと策を重ねてきた13年。それは、私たちの心が何と寄る辺のないものかと知る道のりでもあった。
 (敬称略)

 見回せば、震災を機に生まれ、あるいは大きく変容したものがいくつもある。あの地震はどんな時代に起き、何を変えたのか。
(2008年01月11日  読売新聞)

ホーム>関西発>特集>阪神大震災13年

| | コメント (1) | トラックバック (0)