臨床心理職の国家資格化の新たな動き
2005年2月4日、読売新聞が、「医療心理師国家資格化」と報じた。それが一つの契機になり、臨床心理士を国家資格にするための臨床心理職国家資格推進連絡協議会が発足し、両議連が立ち上がり、臨床心理士と医療心理師の二資格一法案が、上程される寸前までいった。
あれから4年、臨床心理職の国家資格化は止まったまま時が経過した。
その間、司法関係では、被害者参加制度、裁判員制度が動きだした。また、教育関係では、スクールカウンセラーに加えてスクールソーシャルワーカーが配置された。
虐待の認知件数は、毎年、増加を続け、年間の自殺者数は、平成10年から10年連続3万人を超えている。もちろん、社会経済の問題がその背景にあることは確かであり、心理や医療のみでどうにかできることではなだろう。
しかし、虐待や暴力の連鎖を断ち切るためにも、教育施策・社会施策として、新たな社会活動を展開する必要がある。教育の分野においては、道徳教育とともに、怒りや悲しみとの向き合い方や人を傷つけないで解決する方法を幼児期から体験的に学ぶ教育-心の健康教育-が必要だ。しかし、いまの学校教育のカリキュラムの中には、断片的にあるにせよ、一貫した柱はない。
これまでの、基礎心理学と臨床心理学、行動論的アプローチと力動論的アプローチといった対立の軸を超えて、いまの日本に必要な施策を展開することを決断してほしい。
心理療法のアプローチにしても、認知行動療法は、さまざまなエビデンスをだし、その効果を実証してきている。NHK特集やクローズアップ現代にて、うつへのカウンセリングや認知行動療法の有効性が今年になって報じられた。しかし、カウンセラーに、臨床心理学的接近の基本的構えが形成されてなければ、クライエントはその技法を受け入れがたいであろう。
基礎か臨床か、行動論か力動論か、という対立の時代は終わった。それぞれに、国民にとってなにが必要かを基本に、お互いの知見を尊重し合い、臨床心理職の一日もはやい国家資格実現をめざしてほしい。
日本人間性心理学会のニュースレター(No.65)に、野島一彦先生(九州大学)が、最近の資格化の動向を報告しておられる。是非、一読してほしい。
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