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2008年6月28日 (土)

四川大地震後の心理援助9-四川地震被災者へのマスメディアの関心を

 阪神淡路大震災から約2ヶ月後、地下鉄サリン事件が起きた。被災地のメディアは、さーっといなくなった。被災者が、興奮期からうつ期にはいるのと時を同じくして、メディアが消えていった。単発のイベントは、祭りのあとの深い寂しさだけを残していった。

 しかし、「四川」という言葉をgoogleで検索すると、おおきなプロジェクトが2つ掲載されていた。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/080627/tnr0806272331018-n1.htm
四川大地震被災者支援へコンサート

http://mainichi.jp/select/world/news/20080628ddm002030084000c.html
中国・四川大地震:復興で協力、日中首脳会談で合意へ

前者は、ジュディオングさんをはじめとする歌手たちのチャリティコンサートの企画だ。

後者は、日本政府のプロジェクトだ。

民官両方で、四川大地震の被災者を支援しようとする試みだ。

 「四川大地震こころのケアーチーム」(日本心理臨床学会・日本臨床心理士会)の第一次派遣、第二次派遣は、できれば、日本政府の支援がほしい。第二次派遣では、格安運賃チケットを手配しても11名の航空運賃だけでも150万円は支出することになる。学会の会計だけで支弁するには、心苦しい。

 いくつかの国際ボランティアへの基金をあたってみた。しかし、どこも、今年度の事業計画は、すでに昨年度の申し込みにて終了しているとの返事であった。少しでも、補助をだしてくれる団体・企業はないのだろうか。

 日本心理臨床学会は、Hpに第一次派遣の報告を掲載している。

http://www.ajcp.info/download/ShisenReport1.pdf

 「お金が欲しい!」と声高に叫ぶのは、どうも品がない。しかし、継続支援には、資金は必要だ。新潟中越地震で、ながく「リラックス動作法」を被災者に提供していった長岡チームに、日本臨床動作学会大会の折に募金を呼びかけ、ボランティアの交通費(高速自動車道を使って若い臨床心理士たちのチームを派遣していたので)にあててもらった。

 兵庫教育大学梶田学長は、第二次派遣のことで、色々と助言してくださった。そして、中国で使う中国語に翻訳した心理援助の冊子の印刷代と国際郵送費などを学長裁量経費で支出してくださった。「国際交流だから、がんばっていってらっしゃい」と声をかけてくださった。ありがたかった。

インドネシア・アチェのコーディネーター・フェルナンデスさんから最近メールがきた。「トラウマのアンケートを316名回収しました」と。ツナミから3年半、被災者の苦しみはどれほど癒えているのか、データを手にする日が待ち遠しい。もちろん、トラウマのアンケートには、心理教育のリーフレット(絵入り)を作成して、担任に読んでもらい配布した。自由記述にどのようなことを中学生が書いているだろう。八月にアチェで開催されるトラウマシンポジウムで発表したい。

いよいよ、来週、中国を再び訪問できる。西南大学の副学長先生、心理学院の李教授はじめチョウ先生、湯先生、おおくの人との再会も楽しみだ。

http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/hyogo/080625/hyg0806250314002-n1.htm
中国・四川大地震で心のケアチーム再派遣 兵庫教育大などの専門家11人

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001169764.shtml
紙芝居で心のケア 「パンダの気もち」中国の被災児童へ

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080614/trd0806141100007-n1.htm
心のケア教材・紙芝居「パンダの気もち」 中国・四川大地震の被災者へ

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2008年6月26日 (木)

四川大地震後の心理援助8-再び中国へ

 7月1日~8日、四川大地震後の心理援助について、中国の心理士へ日本のノウハウを伝えるために、再び中国を訪問します。

 第二次派遣です。今回は、11名でチームを編成し、1-3日は、北京グループと重慶グループの2班に分かれます。

 北京では、中国心理学会の本部で、重慶では、西南大学心理学院にて、それぞれ2日間の研修・意見交換を行います。3日の夜に、北京グループは、重慶に飛びます。4日は、西南大学を訪問中のアメリカチームを交えて、中米日の「被災者への心理援助」に関するシンポジウムが予定されています。その夜、11名で、成都に向かいます。おそらく列車での移動になると思います。

 5日~7日は、2班にわかれて、1班は、西華大学での研修、もうひと班は、被災地に出かけ、地域心理援助ステーションを訪問します。

 私たちは、被災者に直接出会いかかわるのではなく、地域で活動する心理士のみなさんに、日本での災害後の心のケアのノウハウを伝え、アジアでの災害後の心のケアについて、いっしょに考えていくのが目的です。

 今阪神淡路大震災を振り返れば、当時、河合隼雄先生が、「地震の絵や作文をかかせることが心のケアではない」とメディアを通じて何度も繰り返しメッセージを送ったことを思い出します。当時、アメリカからディブリーフィングの考えが推奨されて、マスメディアは「怖い感情をはき出しましょう」とメッセージを送りました。しかし、9.11以降、災害後のディブリーフィングは、世界的に、評価されなくなり、むしろ、有害である、との見解も一般的になりつつあります。

 また、河合先生は、「悲しみを中心に据えて日常生活をしっかり送りましょう」と朝日新聞に掲載した記事をいまでも覚えています。それは、神戸児童連続殺傷事件(1997)の時に掲載されたと記憶しています。

 Stroebe M, Schut H が、Dual process modelを提案したのが1999年ですから、それに先駆けていたわけですね。.

 第一次派遣で出会った中国の人たちとの再会を心待ちにしています。そして、あらたに出会う中国の人たちとの出会いも楽しみです。

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2008年6月13日 (金)

四川大地震後の心理援助7-抗震救済衆志成城

 四川大地震の心理援助は、中国国民の大きな関心事のようです。連日、CCTVで、子どもの絵を分析する心理学者(?)の映像が流れていました。

 阪神淡路大震災のとき、アメリカからディブリーフィングを推奨しにやってきました。怖い感情をはき出させることが回復につながると訴えたのです。6000人以上が亡くなった喪失の空間で、感情をはき出させることを強いることは、無理がありました。

 マスメディアも、子どもに地震の絵を描かせようとしていました。当時、私は、避難所にでかけて、おとなを主に対象に「リラックス動作法」を行いました。兵庫教育大学の学生ボランティアチームは、避難所になっている学校に毎日出かけて、子どもと遊びをとおして、かかわり続けました。当時子どもたちが、自由に描いた多くの絵は、動物の親子、花、といった心がほっとする絵が多かったのです。

 世界で災害が起きた後、望ましい心理援助(心のケア)のあり方をを簡潔に伝えたくて、3つにまとめました。それを、帰国後、吉先生に送ったら、すぐに、中国心理学会の重鎮に送ってくれました。

 それが、いま、中国心理学会の「衆志成城、抗震救災」のページに掲載されています。ありがたいことです。

「衆志成城、抗震救災」とは、民衆の志を集めて、万里の長城になる、という意味で、みなの心を結集して、この困難を乗り越えよう!というメッセージだそうです。

阪神淡路大震災のときもそうでしたが、人と人の絆こそ、困難を乗り越える力になる、と実感しました。中国は、そのことをいち早く、メッセージとして、全国民に送ったのです。すばらしいことです。

http://www.cpsbeijing.org/newsreport.htm

中国心理学会
 http://www.cpsbeijing.org/ の「衆志成城、抗震救災」のマークをクリックすれば、「災害後心理援助三原則」が掲載されているところを見れます。

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2008年6月11日 (水)

四川大地震後の心理援助6-感恩の歌

 西南大学の教員・学生の真剣なまなざしと、あたたかな心は、チームメンバーに深い感動を与えました。派遣最終日の前日、西南大学のボランティアチームが、私たちに手話つきの歌を披露してくれました。吉先生をみると、ぼろぼろと涙を流していました。その歌詞をあとで、湯先生が翻訳して送ってくれました。ボランティアチームは、一日の活動を終えて就寝する前に、みなでこの歌を歌うそうです。

    「感恩の心」の歌は、http://youtube.com/watch?v=zmxNPPwvwd0&feature=related です。

  西南大学の湯永隆先生が、歌詞と日本語訳を送ってくれました。

感恩的心

作词:陈乐融 作曲:陈志远 编曲:terence teo

 我来自偶然 像一颗尘土
 有谁看出我的脆弱
 我来自何方 我情归何处
 谁在下一刻呼唤我
 
 天地虽宽 这条路却难走
 我看遍这人间坎坷辛苦
 我还有多少爱 我还有多少泪
 要苍天知道 我不认输
 
 感恩的心 感谢有你
 伴我一生 让我有勇气作我自己
 感恩的心 感谢命运
 花开花落 我一样会珍惜
 
 我来自偶然 像一颗尘土
 有谁看出我的脆弱
 我来自何方 我情归何处
 谁在下一刻呼唤我
 
 天地虽宽 这条路却难走
 我看遍这人间坎坷辛苦
 我还有多少爱 我还有多少泪
 要苍天知道 我不认输
 
 感恩的心 感谢有你
 伴我一生 让我有勇气作我自己
 感恩的心 感谢命运
 花开花落 我一样会珍惜
 感恩的心 感谢有你
 伴我一生 让我有勇气作我自己
 感恩的心 感谢命运
 花开花落 我一样会珍惜

 日本語訳:

  感謝の心

 歌詞:陳楽融 曲:陳志遠 编曲:terence teo

 偶然から生まれた 小さな塵のように
 私の脆弱なことは誰がわかるだろうか
 どこから来て 心はどこへ行き着くだろう
 次の瞬間私の名を呼んでくれるのは誰だろうか

 広い天地に 狭い道
 人生のつらさはたくさん見てきた
 私はまだ愛せるか 私はまだ涙を流せるか
 天に告げて 私は負けないよ

 感謝の心 感謝するよ あなた
 一生そばに居てくれて 自分らしく生きる勇気をくれた
 感謝の心 感謝するよ 運命
 花は咲いては散るが 私はすべてを大切にする
 
 感謝の心 感謝するよ あなた
 一生そばに居てくれて 自分らしく生きる勇気をくれた
 感謝の心 感謝するよ 運命
 花は咲いては散るが 私はすべてを大切にする

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四川大地震後の心理援助5-災害直後の心理援助3原則が中国のマスメディアに掲載されました

吉 沅洪先生からのメールで、災害後の心理援助3原則が、中国の新聞に掲載されていることがわかりました。
以下、吉先生からのメールです。

北京でもっとも発行量の多い新聞、「新京报」に「冨永三原則」が掲載されたようです。そのことが、また新華网xinhuanet に乗っています。

 掲載を投稿してくださったのは、朱永新先生、蘇州大学の心理学教授です。現在中国人民大会常任委員、民進党中央副出席を務めている方です。

 最後に、「这些原则具有重要参考意义。现在,许多心理救援队伍匆匆赶到灾区,有的队伍缺少长期考虑与安排,如果后续工作不能及时跟上,今后将会出现很多新问题。」は:これらの原則は重要な参考意義を持っています。現在、多くの心理援助チームが急いで被災地へ出かけ、その中に、長期な計画と考慮を持っていないものもあります。もし継続な援助がタイムリーにできなれば、今後多くの問題が発生するでしょう。」
 
http://news.xinhuanet.com/comments/2008-06/09/content_8328840.htm

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 世界的にも、これほど、組織的に、災害後の心理援助が行われたことはなかったと思います。中国でTVをみますと、中国の国民すべてが、心理援助に高い関心をもっているようでした。そして、日本の緊急救助隊の母子を囲んで黙祷している場面が、繰り返し、CCTVで流れていました。
 「安心」は、日本語も中国語も、まったく同じで、発音も同じです。中国から日本に臨床心理学を学びにたくさんの留学生が来ています。今回の災害後の心理援助(心のケア)については、地震大国日本が経験してきたことを、精一杯伝える義務があると思います。

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2008年6月 3日 (火)

四川大地震後の心理援助4-世界に発信したい災害直後の心理援助基本3原則

5月26日~6月1日、中国重慶・成都・徳陽を訪問しました。

私たちは、被災者を支援する現地の心理士・学生・医師への研修・質疑応答にあたりました。被災者に直接かかわることはしておりません。以下の3点は、支援に入る前から考えていましたが、災害直後の心理援助の原則として、つよく世界に発信したいメッセージです。

1,継続してケアできない心理援助者(グループ)は、被災者への直接関与をしてはいけません(接触するときは、現地の対人援助職者(心理士・教師など)と一緒にすること)。

2,恐怖の感情表現を促すこと(地震の絵や作文を描かせる、地震の時の体験を尋ねる等)は、安全感のない空間(継続してケアできない人、災害直後)では、二次被害を与えるので、決してしてはいけません。

3,トラウマのアンケート(IES-RやPtsr-edなど)は、アンケートのみ実施することは、二次被害を与えます。必ず継続して関与できる人が、トラウマと喪失の心理教育を同時に実施してください。また、個別のカウンセリングが実施できる体制で行って下さい。

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