ディブリーフィング(debriefing)から心理的応急法(psychological first aid)へ
日本トラウマティックストレス学会第7回大会が福岡で開催されている。
基調講演は、「How should we coordinate?」U.Schnyder(チューリッヒ大学)であった。
ミッチェルのdebriefingが、さまざまな検証により、その効果が実証されず、いまは、Psychological first aid(心理的応急法;PFA)が推奨されるという講演であった。とりわけ、感情表出に焦点をあてたdebriefingは、回復を遅らせるというエビデンスも紹介していた。そして、PFAでは、家族や仲間のサポートを重視し、専門家による被災者・被害者への直接的介入を慎重にすべきだと提唱している。すなわち、”家に帰って休みたい”と被災者が言うなら、”専門家とすぐにでも会った方いい”とは、決して言わない方がいいですよと。また、PFAにおいては、”その出来事の詳細を尋ねないでください(Not debrief)”ということが記されている。
あの阪神淡路大震災のあと、debriefingがアメリカから紹介され、違和感を覚えたのは私だけではなかった。今は亡き河合隼雄先生は、”むりに聞きだそうとしないで”とマスメディアを通して、何度もメッセージを送った。
河合先生は力動論的立場のわが国の代表者であるが、当時の災害後の心のケアの視点は間違っていなかった。
もともと救援者のための精神的心理的方法として開発されたdebriefingを、自然災害や事件の被災者被害者に適用しようとした点から、無理があったのであろう。
しかし、PFAにしても、その方法を受け入れることには慎重でありたい。どうもわが国は、アメリカで生まれたものを無批判で取り入れすぎる。わが国にあった、アジアにあった災害支援を確立すべきであろう。
今日は、日本ストレスマネジメント学会と日本トラウマティックストレスマネジメント学会のコラボレーションのシンポジウムを、津田彰先生(久留米大学)と企画している。学派を超えたアプローチを提案したい。
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