目撃者、心の傷に苦しむ ジェットコースター事故(朝日新聞)
目撃者、心の傷に苦しむ ジェットコースター事故(朝日新聞)2007年05月11日
20人が死傷したエキスポランド(大阪府吹田市)のジェットコースター事故は、大勢の行楽客の目前で起きた。「一人が怖い」「涙が止まらない」。目撃した人、直前に乗車した人たちの一部は、いまなお不調に苦しむ。大阪府などは電話相談にも乗り出している。
◇
よく晴れたゴールデンウイーク。5日のエキスポランドは入場者が約5千人を数えた。
事故直後、吹田市消防本部は33人を救急搬送した。コースターに乗っていたのは20人。それ以外の人たちは皆、目撃によるショックで体調不良を訴えた。
大阪市内の女子高生(15)は家族や親類計8人でエキスポランドを訪れた。「急流すべり」を楽しんだ後、いとこと2人で「風神雷神2」の列に並びに行こうとしたところで、事故を目の当たりにした。
両親によると、事故を目撃後、家族のもとに戻ってきた女子高生は興奮気味で事故の状況を説明。「ここが気持ち悪い」と胸のあたりを押さえ、「鳥肌が引かない。体がしんどい」などと訴え始めた。
園内の救護所では「目をつぶるのが怖い」と一点を見つめたまま。まわりには過呼吸の人、叫び声を上げる人もいた。
歩くことができず、ストレッチャーに乗せられ、救急車で市立吹田市民病院に運び込まれた。
放心状態の女子高生を診察した医師は「体に異常はないが、目をつぶらないのが気になる。気になるなら心療内科に行った方がいい」と言った。
その夜、家族が「気晴らしにお風呂屋さんに行こう」と誘ったが、女子高生は「嫌や」と断った。「一人になるのが怖い」とトイレに行くのも嫌がる。「一緒に寝る」と、母親と一緒の布団に入った。以後、登下校も家族が送り迎えをするようになった。
学校では友達がトイレに付き添う。母親が担任教師に相談したところ、病院を紹介され、予約を入れた。
「事故を忘れてくれたら」と、バレーボールの部活動には翌日から参加させているという。
両親は「(記憶は)一生残る。遊び盛りなのに、今後、友達同士で遊園地に行けるだろうか」と心配する。女子生徒は「だいぶ良くなったけど、一人になるのはまだ怖い」と話している。
◇
事故を受けて、大阪府こころの健康総合センターや兵庫県臨床心理士会は電話相談窓口を設けた。
大阪の窓口には、「娘が夜に眠れなくて困っている」という親からの相談のほか、電車や車など乗り物に乗ることさえ怖いといった切実な訴えもきているという。
兵庫の臨床心理士のアドバイスを受けている西宮市内の女子中学生6人のグループは、事故が起きる直前にジェットコースターに乗り、直後に事故現場を目撃した。
生徒らは「事故の光景がフラッシュバックし、涙が止まらなくなる」「夜に事故の夢を見て眠れない」など急性ストレス障害とみられる症状を訴えているという。
臨床心理士の高橋哲さん(55)は対処法として、(1)親が「もう大丈夫」と安心感を与える(2)つらいことを無理に思い出させようとしない(3)記憶にふたをして押さえ込もうとしない(4)深呼吸やマッサージなど身体的なリラックスを心がける、ことなどを挙げている。
大阪府こころの健康総合センターは06・6607・8814、兵庫県臨床心理士会は0798・45・3535。
この記事の中で気になるところは、
20人が死傷したエキスポランド(大阪府吹田市)のジェットコースター事故は、大勢の行楽客の目前で起きた。「一人が怖い」「涙が止まらない」。目撃した人、直前に乗車した人たちの一部は、いまなお不調に苦しむ。大阪府などは電話相談にも乗り出している。
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よく晴れたゴールデンウイーク。5日のエキスポランドは入場者が約5千人を数えた。
事故直後、吹田市消防本部は33人を救急搬送した。コースターに乗っていたのは20人。それ以外の人たちは皆、目撃によるショックで体調不良を訴えた。
大阪市内の女子高生(15)は家族や親類計8人でエキスポランドを訪れた。「急流すべり」を楽しんだ後、いとこと2人で「風神雷神2」の列に並びに行こうとしたところで、事故を目の当たりにした。
両親によると、事故を目撃後、家族のもとに戻ってきた女子高生は興奮気味で事故の状況を説明。「ここが気持ち悪い」と胸のあたりを押さえ、「鳥肌が引かない。体がしんどい」などと訴え始めた。
園内の救護所では「目をつぶるのが怖い」と一点を見つめたまま。まわりには過呼吸の人、叫び声を上げる人もいた。
歩くことができず、ストレッチャーに乗せられ、救急車で市立吹田市民病院に運び込まれた。
放心状態の女子高生を診察した医師は「体に異常はないが、目をつぶらないのが気になる。気になるなら心療内科に行った方がいい」と言った。
その夜、家族が「気晴らしにお風呂屋さんに行こう」と誘ったが、女子高生は「嫌や」と断った。「一人になるのが怖い」とトイレに行くのも嫌がる。「一緒に寝る」と、母親と一緒の布団に入った。以後、登下校も家族が送り迎えをするようになった。
学校では友達がトイレに付き添う。母親が担任教師に相談したところ、病院を紹介され、予約を入れた。
「事故を忘れてくれたら」と、バレーボールの部活動には翌日から参加させているという。
両親は「(記憶は)一生残る。遊び盛りなのに、今後、友達同士で遊園地に行けるだろうか」と心配する。女子生徒は「だいぶ良くなったけど、一人になるのはまだ怖い」と話している。
◇
事故を受けて、大阪府こころの健康総合センターや兵庫県臨床心理士会は電話相談窓口を設けた。
大阪の窓口には、「娘が夜に眠れなくて困っている」という親からの相談のほか、電車や車など乗り物に乗ることさえ怖いといった切実な訴えもきているという。
兵庫の臨床心理士のアドバイスを受けている西宮市内の女子中学生6人のグループは、事故が起きる直前にジェットコースターに乗り、直後に事故現場を目撃した。
生徒らは「事故の光景がフラッシュバックし、涙が止まらなくなる」「夜に事故の夢を見て眠れない」など急性ストレス障害とみられる症状を訴えているという。
臨床心理士の高橋哲さん(55)は対処法として、(1)親が「もう大丈夫」と安心感を与える(2)つらいことを無理に思い出させようとしない(3)記憶にふたをして押さえ込もうとしない(4)深呼吸やマッサージなど身体的なリラックスを心がける、ことなどを挙げている。
大阪府こころの健康総合センターは06・6607・8814、兵庫県臨床心理士会は0798・45・3535。
この記事の中で気になるところは、
1,放心状態の女子高生を診察した医師は「体に異常はないが、目をつぶらないのが気になる。気になるなら心療内科に行った方がいい」と言った。
これは、「人の命が亡くなった光景を目の当たりにしたので、いま起こっている反応は当然の反応です」とまずは、お医者さんに言ってもらいたいですよね。 報道なのでかなりが捨象されて伝えられるので、この通りの応対ではないかもしれません。でも、さまざまな反応が、受け入れがたい事実を受け入れようとしている努力であるとのトラウマの知識を少なくとも対人援助職の人はもつべきですよね。
2,「事故を忘れてくれたら」と、バレーボールの部活動には翌日から参加させているという。
日常の活動に復帰することは、とても大切なことなので、後半は、賛同しますが、前半の「忘れてくれたら」というのは、ちがうんですよね。むしろ忘れられない記憶だから、まわりが「忘れてくれたら」というメッセージをもっていれば、心配かけまいと身近な人に話せなくなりますよね。ここがトラウマケアのもっとも難しい点ですね。本人のペースを尊重しながら、語れるようになること、表現できるようになることは、回復への道のりなんです。でも、むりに語らせると、傷を深めます。安心できる場でこわかったことを語ることは回復につながるんです。
それにしても、高橋さんがスクールカウンセリングで、相談を受けたことをきっかけで、今回の兵庫県臨床心理士会の電話相談がはじまりました。少しでも、トラウマケアの正しい知識を身近な人がもってもらうと、その後の生活によい影響がうまれるでしょう。
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