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2018年7月19日 (木)

災害後の子どもの心のケア―平成30年7月豪雨(2)心身反応のあらわれかた

被害が甚大なほど、子どもの心身反応は見えにくい期間が長くなります。
それは、心をマヒさせて心が壊れないようにする心の仕組みがあることと、周囲のおとなをみながらガマンし続けてがんばり続けるからです。
2004年10月台風23号で兵庫は淡路から豊岡まで広域の水害が起きました。たまたま、私のゼミの学生が1か月前に、教育実習でお世話になった小学校の地域も被災しました。3分の1ほどの家庭が床上浸水の被害を受けました。1週間後、校長先生に、「子どもたちのサポートに行きましょうか?」と電話をしたところ、「いやー、子どもたちはとても落ち着いています」とのお返事でした。そのとき、それはひとつの反応だろうと思いました。
当時、臨床心理士の高橋哲スクールカウンセラー・スーパーバイザーは、災害直後に各市教委をまわり、今後の心のケアを打ち合わせました。そして、発災から1か月にならないころに、ストレスチェックとハイリスクの児童生徒への派遣スクールカウンセラーによる個別相談をセットで行う計画を立てました。
発災から2週間目の終わりのころ、もう一度校長先生にお電話すると、「子どもが落ち着かない、保健室にいく児童も増えてきたんですと」。やっと反応をだせるようになったんだと思いました。
3週間目に、ボランティアとして、その小学校を訪問しました。小4のクラスがとても落ち着かない。授業をしていても、教室を飛び出す子がいて落ち着かない。それで、ストレスマネジメントの授業をすることにしました。ボランティアの学部生がパペットをつかって、「なんだかこわいんだ!」と演じたところ、子どもたちから「たいふう!」との発言があり、眠りのためのリラックスや落ち着くためのリラックスを体験しました。実は、児童たちは被災体験がそれぞれ異なり、「台風」について話題にすることはなかったそうです。強い雨がふると「こわい」と思っても、それを口にすると、「弱い子だ!」といわれたり、思われたりするので、台風・雨の話題は子どもの間でも避けていたのです。
「こわい気持ちは、命を守る大切な気持ちだと!」と授業のなかで伝えました。
その授業をきっかけに、「昼休みなど、子どもが担任の先生に自分の思いを素直に言うようになった、それからだんだん落ち着いていきました」とフォローアップにいったときに担任先生から、その後の子どもたちの変化を教えてもらいました。
この経験が、ストレスチェックとストレスマネジメントをセットで授業として行うという方法論のきっかけになったのです。その後、2005年のインドネシア・アチェでの経験、2008年の四川大地震での経験、2011年東日本大震災と、子どもたちをサポートするシステムをつくっていきました。
そして、「時期に応じた子どもの心のケア:3段階心理支援モデル」を構築していきました。
岩手県教育委員会は、小学生には19項目版、中高生には31項目版を、ストレスマネジメント授業と個別相談をセットで展開してきました。
熊本地震では、熊本県教育委員会・熊本市教育委員会が、小学生版10項目、中高生版15項目を活用して今日に至っています。強い余震が続いたので、小学生版1項目、中高生版2項目は、オリジナルな項目を採用しましたが、ほかは、岩手で活用した項目と同じです。それらのストレスチェックは、自分のストレスを知り効果的な対処法を学ぶツールとして位置づけています。一方、地域ごとに集計すると、それぞれの特徴が浮かび上がってきて、効果的な対応を考える貴重な子どもたちの声ともなります。
被災地では、ぜひ、統一したストレスチェックを活用し、スクールカウンセラーと担任が協働で行うストレスマネジメント授業を展開してほしいです。

2018年7月17日 (火)

災害後の子どもの心のケア-平成30年7月豪雨(1)

7月豪雨災害からもうすぐ2週間になります。猛暑のなか地域が一変した環境での生活(避難所生活、家が損壊してなくても不自由な生活)を強いられているみなさんの健康について、今必要なことを推測してお書きします。
 多くの学校が夏休みをはやめる措置をとっておられます。学校再開まで、子どもさんの健康について、担任教師と共有することが大切だと思います。避難所や家庭でみせる子どもさんのようす、健康について、教師が知ることは、今後のサポートにとても重要になります。
それで、5項目の健康チェックと、保護者さんからみた心配な点、困っている点をメモをする欄のある「保護者さんからみた子どもの健康アンケート」を作ってみました。
幼稚園保育園児、小学生、特別支援学校の児童生徒さんのサポートに、活用いただければ幸いです。

2018年6月26日 (火)

日本公認心理師協会と日本公認心理師会

国家資格の精神保健福祉士、言語聴覚士、栄養士など、それぞれに職能団体があります。
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日本言語聴覚士協会では、
正会員 :「言語聴覚士法(平成9年法律第132号)第2条の規定による言語聴覚士の免許を有する者であって、 当法人の目的に賛同し入会した個人 資格保持者」
準会員「言語聴覚士の免許を有しない者で当法人の目的に賛同する個人」
としています。
「代議員を選出するため、正会員による代議員選挙を行う」とありますので、準会員には、代議員を選出できないようです。
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日本栄養士会の会員は、
「本会の会員とは、栄養士法(昭和22年12月29日法律第245号) 第2条第1項又は同条第3項に定める管理栄養士、栄養士の免許を有し、第 3条の目的に賛同して第9条の手続により入会し、かつ、都道府県栄養士会 の会員である者をいう。 」
とされていて、資格を保持してないものは会員にはなれないようです。
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本年11月30日に誕生する公認心理師資格保持者の職能団体は、どのような会員構成が望ましいのでしょうか。
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心理職の場合、臨床心理士、臨床発達心理士、学校心理士、特別教育支援士、健康心理士など学会連合や学会レベルの国家資格でない資格が現存するわけです。
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公認心理師の試験機関として 日本心理研修センターが指定されましたが、設立時の理事は、上記にあげた民間資格団体の代表の方々が名を連ねています。
もし、日本公認心理師協会として公認心理師の職能団体として発足するのであれば、公認心理師法制定に尽力したすべての心理職の団体が結集すべきです。
仮に、会員を、公認心理師資格取得者と「○○心理士」(上記にあげた民間資格のなかから一つだけ)とすると、それは、他の心理職の民間資格団体となんらかの事前協議があってしかるべきです。しかし、その発想自体が、多職種連携を標ぼうする公認心理師の理念と大きくかけはなれたものです。もし私が〇〇心理士の役員であれば、「他の団体と協働して作りましょう」と提案します。
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私は、日本ストレスマネジメント学会の理事長を務めていました。その学会は臨床心理士、学校心理士、健康心理士、教員、医師、さまざまな立場の方が会員でした。また、熊本地震後の子どもの心のケアでは、学校心理士スーパーバイザーと協働でさまざまな心のサポート授業を作り提案してきました。
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もし、一資格だけの民間資格の「〇〇心理士」を会員に加えるということを構想しているのなら、他の資格保持者と真の協働作業をされてきたのかと疑問に思います。ただ、国家資格公認心理師をつくりたいばかりに、他の職能団体を巻き込んだだけ、と思われても仕方がないです。国家資格・公認心理師の設立を推進してきた一人として、万が一、そんなことがあってはならないと思います。
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私の情報収集の限りでは、定款変更して、会員を公認心理師と「〇〇心理士」とする 日本公認心理師協会には、関連民間団体の理事や役員の方は、強い反発をしています。
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私は、このような同業者の信頼をえられない 日本公認心理師協会の設立に強く反対します。
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日本言語聴覚士協会の準会員は、一つの民間資格に限定してないようです。
私は、日本栄養士会のように、国家資格取得者を会員とする日本公認心理師会の設立を強く願います。
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認知行動療法の専門家も、日本心理臨床学会より日本心理学会で活動している方が多いわけです。
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公認心理師の職能団体は、国家資格・公認心理師法の制定に努力した学会・団体が結集して立ち上げることこそ、ユーザーである国民の利益になるものだと確信しています。
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各都道府県の臨床心理士会での総会で、この問題の議決が進むころでしょう。他団体の意向について情報を収集して、誤った判断をされないようにお願いしたいです。

災害後の子どもの心のケア(8) 大阪北部地震の被災地の学校へ熊本学校支援チーム派遣

2018年6月18日7時58分、大阪北部に震度6弱の地震が発生しました。私は名古屋出張で、ちょうど新大阪を新幹線がでたころに、急停車。京都をでるまでに、5時間新幹線のなかで過ごすことになりました。スマホからの被害情報で「児童が心肺停止」と報じられ、これは大変な災害が起こっていると思いました。
被災地の教育委員会でいち早く支援チームを立ち上げたのが、兵庫県教育委員会です。兵庫EARTHというチームで、阪神淡路大震災後に受けた支援のお礼をしたいと、災害が起こるたびに国内外をとわず、チームが駆け付けます。150名の教職員がメンバーとして登録されています。臨床心理士も数名登録されており、私もその一人です。2004年12月のインド洋大津波後のスリランカとインドネシア・アチェには、兵庫EARTHの隊員として、被災地の教師・カウンセラーの研修講師を担当しました。
その後、四川大地震、東日本大震災、ネパール地震と、兵庫EARTHのメンバーは実践をつんでいき、子どもの心のケアに関して、私は後方支援にまわっています。
私が、熊本県の心のケア会議のスーパーバイザーになっているのも兵庫EARTHが4月15日には先遣隊を送り、その後、何度もチーム派遣をするなかで、5月の終わりに、益城町のある小学校の教師研修の支援にはいることができたのがきっかけでした。
昨日の広安小学校での心のケア会議で、広安小の校長先生が、兵庫EARTHの浅堀先生が小学校で寝泊まりして、避難所運営について助言してくれたことが大変役立ったとお話しされていました。
そして、熊本県教育委員会は、この4月に、熊本学校支援チームを発足させたのです。震度6弱以上の地震が発生したときに、すぐに被災地の学校にはいると取り決めていいたそうです。熊本学校支援チームは、19日の夕方には、大阪にはいっていたそうです。


産経2018.6.20 07:01
大阪北部地震 熊本の学校支援チーム出発 教訓踏まえ
 大阪北部地震を受けて、熊本県教育委員会の学校支援チームが19日、大阪府に向け出発した。熊本地震の経験を踏まえて、学校の被災状況に関する情報収集や、子供の心のケアへの助言などをする。
 チームは、災害時の学校運営などについて専門知識を持つ職員3人らで構成する。
 チームリーダー、大塚芳生氏は県庁での出発式で「被災した児童生徒や教職員の安心、安全確保のためにどうしていくべきか見定め、役割を果たしたい」と述べた。派遣予定は25日まで。
 県学校支援チームは熊本地震を受けて今月4日に発足した。今回が初めての派遣となる。


西日本新聞2018年06月26日 06時00分
大阪の被災地で助言 県学校支援チーム知事に報告 熊本地震の経験生かす [熊本県]
 大阪府北部地震の被災地に派遣された県教育委員会の「県学校支援チーム」の4人と、情報収集などを担った県大阪事務所の担当者が25日、県庁で蒲島郁夫知事に活動を報告した。倒壊したブロック塀の下敷きになり女子児童が死亡した高槻市教委や同市の小中6校などを訪ね、教職員に児童生徒の心のケアなどを助言したという。
 チームは、地震発生翌日の19日から23日まで大阪府に派遣。熊本地震をきっかけに今月発足したチームの被災地支援は初で、リーダーの大塚芳生さんは「児童生徒へのアンケートの方法など熊本地震を基に具体的に説明した」と話した。
 県は20日以降、高槻市にブルーシートや下着などの支援物資を送った。同市の避難所に足を運び、必要な物資の情報を集めた県大阪事務所の奥村嘉宏さんは「熊本地震の経験を生かし、本庁と出先機関が機動的に連携できた」と話した。
 蒲島知事は「この経験を生かしてさらなる支援方法を学んでほしい」と述べた。
大阪府北部地震の被災地での活動を蒲島郁夫知事に報告した県学校支援チームの大塚芳生リーダー(左)ら
=2018/06/26付 西日本新聞朝刊=

災害後の子どもの心のケア(7)熊本地震後の子どもの要サポートの状況

昨日、熊本県教育委員会・熊本市教育委員会共催の熊本地震後の子どもの「心のケア会議」が益城町広安小学校で開催されました。
会議に先立ち、小4年のクラスで、「心のサポート授業」が公開されました。たくさんの報道カメラに、授業前に、ハイテンションになっていた子どもたちに、担任の先生は、(授業の休憩時間ですから)「あと2分、さわいでいいですよ」と声をかけ、「心のサポート授業がもうすぐはじまりますが、サポートってどういう意味ですか?」と問いかけ、児童のいくつかの発言を受けて、「支えあうことですよね」と。そして、チャイムがなり、児童の挨拶で授業がはじまりました。「1週間前、大阪でなにかありましたよね」、「地震!」と児童から声があがりました。そして、2年前地震があって、それから、がんばってきたこと、うれしかったこと、を振り返ってみましょう」。活動をはじめるにあたり、スクールカウンセラーが心を落ち着けるリラックス法の実技がありました。そしてワークシートに、児童たちは一心不乱に、書きはじめました。7分間でしたが、まだまだ書きたいと。2分延長。4名の班になり、発表することになりました。ここでスクールカウンセラーが発表の心構えについてのメッセージ。真剣に聴くこと、聴いたあと拍手をすること、つぎの人が、感じたことを一言返してあげること、などを伝えて、分かち合いがはじまりました。
がんばってきたこと、大変なときにうれしかったこと、それを書いていくうちに、気持ちがあふれてくる児童に、スクールカウンセラーが寄り添っていました。そして、なんにんかの児童が発表。担任の先生とスクールカウンセラーの協働授業を参観させていただき、私も胸が熱くなりました。
そのあと、平成30年5月時点での、スクールカウンセラーによる支援が必要な児童生徒数の資料をもとに、心のケア会議がすすめられました。上益城郡では、震災以降最多となりました。詳細にみると、小1、小2、小3の児童に要サポートが多いのです。小3は、震災当時入学したばかりの児童です。小1は幼稚園・保育園年中、小2は年長の子どもたちです。
これは、東日本大震災の子どもたちと全く同じ傾向を示しています。岩手では、沿岸部の児童が約25%ほど、つよいトラウマ反応を示していました。例えば、”つなみ”という言葉を聞いただけで、うるうるしてしまう、といった反応です。
おそらく、幼児さんにとって、地震や津波といった出来事は、相当な恐怖だったんだと思います。地震がどんなことで起こるのか、知識がないわけですから。
やはり激震地では長期的な支援が必要だと思いました。

2018年06月25日 20:13 現在
熊本地震で被災した子どもたちを調査した結果心のケアが必要だとされる人数が上益城郡の小中学校で地震以降最多となっていることがわかりました。

2018年6月19日 (火)

公認心理師法44条

(名称の使用制限)
第四十四条 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。
もし、「日本公認心理師協会」と称する団体の会員を、「公認心理師」及び「〇〇心理士(民間資格)」とすると、国家資格公認心理師を取得していない「〇〇心理士」が、名刺に、「日本公認心理師協会会員」 と記載し、クライエントに提示すると、これは、第44条に抵触することになるのではないでしょうか。
私は、法にふれるおそれのある団体の設立には反対です。
心理職の関連団体が結束して、公認心理師資格取得者を会員とする「日本公認心理師会」を設立することを切に願います。

2018年5月11日 (金)

新潟小学2年女児殺害事件での心理支援のあり方-防犯と心のケアの両輪で

 新潟で小学2年生女児が殺害され犯人未逮捕の状況は、地域を恐怖と怒りと悲しみにつつみこんでいると思います。

 約10年前に発生した小2女児殺害事件後の支援にはいった経験から、警察・地域・学校・保護者の総力をあげて、「防犯と心のケアの両輪」で、この事態に対処してほしいと思います。派遣スクールカウンセラーは、教師や保護者をサポートする仕組みを提案できると思います。詳しくは、「災害事件後の子どもの心理支援」(創元社)を参考にしてください。

2018年3月 3日 (土)

災害後の子どもの心のケア(6)東日本大震災、これからの課題①

東日本大震災からまもなく7年が経過しようとしています。
発災当時1才の幼児が今小学校1年生です。
阪神・淡路大震災のあと数年して、どうも小学生が落ち着かない、という声を被災地・神戸の小学校でスクールカウンセラーをしているときに教師たちから聞きました。
 
東日本大震災では、長期の支援に携わる機会をえて、災害時幼児だった子の長期的支援が一つの重要な課題であることを確信しました。
そして、来年度から発災時0才の子どもが小学校に入学してきます。
震災の恐怖や悲しみを言葉にできない子どもたちです。
 
支援者のストレスに、二次的外傷性ストレスがあります。被災や被害にあった人の体験に寄り添い傾聴することで、同じようなトラウマ反応を抱えてしまう、ということがあります。悪夢をみる、そのことが頭から離れないなどの反応です。
 
これと同じようなことが、祖父母・親たちの震災体験の語りを子どもが聴くことで、悪夢をみたり、不安になったりすることがあるかもしれません。だったら、そんな悲惨な体験を語り継がなければ良いというわけにはいきません。次世代の命を守るためにも、語り継ぎは必要だからです。
 
それで、震災の恐怖や悲しみを伝えるとともに、そこで大人たちは、どんな工夫や対処をしたのか、ありがたかった支援はなにかも併せて、大人たちは語ってほしいのです。
 
それには、学校教育で「語り継ぐ防災教育と心のケア」の取り組みを展開することが一案だと思います。具体的な手順については、あらためて述べたいと思います。

2018年1月17日 (水)

阪神・淡路大震災から23年 災害トラウマを軽減するために

今日は、阪神・淡路大震災から23年です。さきほど、6:43からNHKラジオ 社会の見方・私の視点で、「災害トラウマの軽減のために」というテーマでお話ししました。
植松みのりさんの体験から学んだこともお話しました。事前に、彼女に、了解をえました。臨床心理士である植松さんは、災害だけでなく事件事故のトラウマからの回復の参考になるので是非お話くださいといってくれました。
心の健康教育がわが国では非常に時数が少ないためもっと充実していかなければならないことと、文科省の災害後の心のケアガイドラインに、被災地ではすぐに避難訓練をやってはいけないと書いてあり、熊本地震後の実践も取り入れ、防災と心のケアの専門家が智恵をだしあいガイドラインを改定しないといけないと提案しました。
1ヶ月ほど、インターネットで、聞くことができるようです。
 

2017年8月 6日 (日)

2017年度安全セミナー「防災・減災~心理支援と防災教育から」(1)

 
2017年9月6日(水曜日) 13時30分から16時30分まで
東灘区民センターうはらホール(JR住吉駅南側徒歩2分)で開催されます。
諏訪清二先生と冨永が1時間ずつ講演をして、対談をします。
申し込みしめきりが8月14日と迫っているようです。まだ席はあるようですので、多くの参加をお待ちします。
 
私はこの4月から日本ではじめて開設された大学院・減災復興政策研究科で、減災・防災の日々です。教員や大学院生は災害が起こるとすぐに被災地に行きボランティアで支援をします。この3月まで33年在職した兵庫教育大学ではクライエントさんへの心理面接を大学院生といっしょにやってきましたが、この大学院では、フィールドワークが、実践です。
この6月末に3名の大学院生をつれて熊本地震後の小学校で「防災と心のサポート」の授業を小1・小3・小5のクラスで、担任の先生と協働で授業をしました。
さて、9月6日の講演・対談ですが、私は「減災の心理学と復興の心のケア」とタイトルをしました。これまで被災後の子どもの心のケアに従事してきましたが、30年以内には南海トラフ巨大地震の発生率は70%といわれています。
南海トラフ巨大地震では死者32万人が想定されています。
しかし大阪府は早期避難しなければ13万人、早期避難すれば8千人の死者想定をしています。海溝型地震は津波を引き起こし、津波が人の命を奪います。
 
しかし2005年インドネシア・アチェを訪問したとき、日本で津波があっても、地震があれば津波が起こる という知識を日本人はもっているので、これほどの死者はでないだろうと思っていました。
しかし、2011年3月11日2万人近い死者をだしてしまいました。
 
災害後の心のケアだけでなく、心理学は減災に貢献できないかと。
私は東日本大震災の教訓を南海トラフ巨大地震に活かせないかと考えています。
片田先生が釜石で防災教育を実践され、「釜石の奇跡」(この言葉は当事者は奇跡でなく訓練の成果といってこの言葉をもちいることをきらっています)といわれる成果をもたらしました。片田先生の論文を読んでみました。気仙沼での津波警報での避難行動の調査研究から、正常化バイアスをどう乗りこえるかが津波防災の鍵であると述べていました。
正常化バイアスとは、危機が迫っていても、「自分はだいじょうぶだ」と考える傾向があること、平時の行動をする傾向があるという心理です。
 
「地震がきても津波が来るかもしれないと知っていても自分はだいじょうぶ」と思っていまうことが人間の心にはあるらしいのです。
 
私は岩手を月に1回は訪問しています。地震発生時、津波浸水地域にいた人も3分続いた地震の直後にすぐに高台に避難した人はどれほどいたのでしょうか。長い地震を経験して、人は何を考え、どう行動したのか、そのリアルなプロセスを、南海トラフ巨大地震が想定される地域の人々いや全ての人々に伝える必要があるのではないでしょうか。
 
南海トラフ巨大地震は、東日本大震災より、津波到達時間が短いといわれています。
ですから、すぐに人が逃げる行動を選択するために、どのような情報を事前に伝えたらいいかを考えています。それには、一人一人の地震発生から避難行動をとるまでの行動だけでなく「思い」を伝えることではないかと考えるようになりました。
 
そして万が一大災害が起きたとき、長期的な支援体制を構築し、心のケアにあたっていく必要がります。学校再開後なにをするのか、どのような健康アンケートをもちいて個別ケアにつなげるのか、被災体験の表現はいつごろから、どのようにやればよいのか。これまでの国内外の災害後の子どもの心のケアに携わってきた経験からお話します。
そして災害後の心のケア・ストレスマネジメントは人生のなかで経験する強いストレスへの対処に活用できるのです。
 
日本では、いじめを苦にした子どもの自殺が相次いでいます。文部科学省はいじめを早期発見して対応する施策をとっています。いじめはいじめる人の心の問題です。なぜいじめをやめられないか、それはいじめの打撃がどれほどのものかを知らないから、想像できないからです。いじめは災害と同じような打撃を人に与えます。「毎日地震が続いている状況であなたは勉強に集中できますか?」「地震は地球が起こしていてとめられないが、いじめは人が起こしているのでとめられます」。そういったことも話したいと思います。平時のストレスマネジメントが災害危機で活用できるのです。
 
諏訪先生との出会いと対談の内容については(2)でお知らせします。

«災害後の子どもの心のケア(5)被災地出身の若手臨床心理士の集い